3−1 警察①
警察官二人に事情を説明した。
「俺たち東京の大学で郷土史を研究しているんですけど、向こうの山の入り口にある古い神社のことを調べにきたんです。今はこちらの神主さんに話を聞いてました」
「東京から?」
「ええ」
学生証を見せた。警察官二人は、出した学生証を丹念に眺めていた。
「ちょっと署まで来て、話を聞かせてくれない?」
警察官たちの口調には、有無を言わせぬ響きがあった。
「え?たかが駐禁で警察署まで行くんですか?」
「来れない理由があるの?」
「いや、別に……」
隆と徹は顔を見合わせた。行かない選択肢はなさそうだ。警察署では、隆と徹は別々に取調べを受けた。
今日どこに行ったか。
何時ごろに来たか。
他に車を見なかったか。
神主さんと大学にも連絡が行き、俺たちのことを証明してくれたらしい。そのおかげで、やっと釈放になった。
「いや、長時間悪かったね。最近この辺で行方不明事件が相次いでいてね。県外ナンバーの車には警戒しているんだ。観光地ってわけでもないから」
佐伯と名乗った警察官が、外まで送りに出てくれていた。あの行方不明の子供のことらしい。徹と顔を見合わせる。
「俺たちも、市役所でその張り紙見ましたよ。小学生が二人ですよね?」
「そうなんだ。この二ヶ月で子供が二人も行方不明になっている」
「親御さんは心配しているでしょうね。早く見つかると良いのですが」
「そうだな。我々もあちこち探しているのだけど、手がかりひとつなくてね……子供だけじゃなくて、お年寄りも行方不明が出ていてね」
佐伯さんは、いかにも困ったような顔をして、帽子をとって頭に手をやっていた。
「お年寄りもですか?じゃあ三人が行方不明」
「そういうことになるね。お年寄りは認知症だったらしいから、関連性はないとは思うんだが」
お年寄りと小学生だったら、確かに無関係だろう。
「そんなわけで、勘弁してほしい」
「そんな事件が起こっているのでしたら、疑われてもしょうがないですよ。俺たちもちょっと不用意でしたから」
「そうですよ。それよりも、子供が早く見つかると良いですね。早く事件解決することを願っています」
徹が敬礼の真似事をすると、佐伯さんも返礼してくれた。きっと地域に慕われる『おまわりさん』なんだろう。
「引き留めておいて何だけど、遅いから気をつけて帰ってね。この辺、街灯が少なくて暗いから」
時間は夜九時を回っていた。
<つづく>




