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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第93話

グレタと一緒に部屋を出ると来客用の部屋へと執事が先導してくれる。

豪華な饗応の部屋へと通される。


朝からコース料理は少しキツイ。

量は少ないけど次々と運ばれてくる料理に終わりがわからないのでキツイ。

回りは脳筋ばかりなので量も俺の数倍皿に乗って出されているのに、足りないのかおかわりを要求するヤツラがほとんどだ。


そろそろ限界でヤバいと思った頃に漸く朝食が終了した。


俺もそこまで食は細い方ではないが、脳筋軍団の中に入ると少食のカテゴリーに入れられてしまうな。


「そういえばグレタやラーフィー王から聞いたが、エッシェンバッハ辺境伯領は温泉が有名なんだって?」

「はい。有名な源泉が3つございますね。源泉の温度が低いけどピリピリとした感覚がたまらないと評判の炭酸泉や、冬場に人気のトロトロになって美人になると評判の温泉などもございます。もうひとつは温度が高くて源泉のままでは入浴出来ないので町の中の温泉の水路を通りながら冷まして適温にする温泉もあります。その温泉では湯の花が沈殿していくので定期的に採取して取り除きご家庭で使用できる入浴剤として販売されていて名産品となっていますね。」

「うお、マジか! 全部入りたいな。悪いがルドヴィークの記憶を覗かせてもらうよ。」

「え?」


ルドヴィークの記憶を探り3ヶ所の温泉の場所を調べた。

3ヶ所とも遠見魔法で実際に調べてマップに登録したので、これでいつでも入りにいけるようになった。


「ルドヴィークありがとう。3ヶ所とも時期を見て入りにいくよ。」

「え? あっ、はい。で、では通達を出しておきます。」


グレタはエッシェンバッハ辺境伯領の温泉には行った事がないようなので、この休暇中に行ってみようかとの話が盛り上がる。


ルドヴィーク達も温泉のおすすめポイントなんかを教えてくれて朝食後も少し雑談が続く。


それで昨夜から一晩中尋問して知り得た情報を全てまとめた報告書が届けられた頃、俺は出かける時間となりルドヴィーク達も視察の時間となったので今日はお開き。


まずはアニーのところ。

アニーは住処である霊峰山の森ではなくて、汽水湖の森の北側にある砂漠とオアシスと遊牧民の国『リンタネンキュトラ共和国』にユー達といる。

グレタと転移魔法で飛んだ。

リンタネンキュトラ共和国の首都『アンデルラーム』はこの国最大のオアシス。

周囲の半分を砂漠に囲まれていて、残りの半分は草原となっている国土。

このオアシスが草原の砂漠化を防いでいる。


オアシスの回りで育てられている食料が国の食料の半分以上を賄っている。

草原の国のように様々な部族が入り乱れて殺し合いを続けていたが、アニーの子孫の中でも砂漠に強いダークエルフ達が幾つかの部族を説き伏せて共和国を建国。

アニーによって『砂漠で火の魔石に魔力を込める』という永遠に外貨を稼ぐ手段と、砂漠から莫大な富を産み出したことで、長い時間をかけて国家統一を話し合いのみで果たしたという全世界的にも珍しい国家。


建国にあたりアニーだけでない他のハイエルフの子孫であるエルフが複数移民してきて国の基盤を整えてくれたのも大きい。


食料輸入を莫大な富で賄える様になったのが、国家統一できた理由だろうとアニーは笑いながら教えてくれた。


大自然という人では全く太刀打ちできない力の中で、生き抜いてきた砂漠の民だからこその『時間をかけて話し合いで解決する』民族なんだとアニーは自慢していたけど……本来は争い事を好まないエルフやダークエルフ達が建国に関わっているからこそだと思うが。


国の基盤を賄う為に世界中から様々な種族が来ていて……表沙汰にはなってないが、少数の魔族すら住んでいる多民族国家。

多民族が選挙を行う大統領制の共和国となっている。

まだ全国民が100万人にも満たない小国なので選挙が出来るようだ。

国土も半分が人の住めない砂漠で国民が増えすぎても、今の食料生産では賄えない。

今でも半分は輸入に頼っている現状。

全食料品輸入の半分を旧ラハティカンナス獣人公国が賄っていたので、今回のラハティカンナス獣人公国の危機にリンタネンキュトラ共和国は三国同盟を利用して国民大移動を大成功させた。


ラハティカンナス獣人公国は国土を倍増させて新たな国土で農業を再開させている。

旧デバッケルフラート教国は農業大国だったし、膨大な農地がそのまま使えていけるし、新たに農地開拓する余地は物凄く多く残っている。

ラハティカンナス獣人公国の国民は農民が多くいる。

テイム魔獣を使った農業ノウハウは豊富に持っている。

既に去年植えられていた小麦などは春過ぎの6月に収穫可能。

それに旧デバッケルフラート教国が植えていた作物の全てはハイエルフによって収穫されていて、無償で4国同盟に配られている。

ラハティカンナス獣人公国はそのまま農業大国になり、4国同盟の農産物を賄い続けていく。


4国同盟では……

ラハティカンナス獣人公国が農産物。

リンタネンキュトラ共和国が塩と火の魔石。

アーリンドル王国が木材と馬。

トルベッケトラース通商衛星国が魚介類と海上輸送。

と、住み分けされた同盟となっている。


アニーのいる館に直接転移魔法で飛んだ。


転移部屋となっている空室を出るとユーとミーは午前中の勉強中。

リンタネンキュトラ共和国の学者がやってきて、ユーとミーに砂漠の事を教えてくれていた。

学者の先生に挨拶するとアニーは別の部屋で会議中らしいと教えてくれた。

俺はグレタと共にアニーのところにむかう。


今夜突入予定の海沿いに立つ倉庫の詳細な地図を大きなテーブルの上に広げて、斥候や情報員達が知り得た情報を元に練った作戦を説明していた。

ユーとミーは既にアニーと詳細を詰めており、今は同時に別の出入口から突入する騎士団のチームに説明している。


俺とグレタが部屋に入ってくると騎士団の全員が一糸乱れぬ姿勢で敬礼する。

……かなりの精鋭部隊だな。


そういや人間至上主義者達からの攻撃はゲリラ化しているので、ゲリラ制圧の為の精鋭部隊の発足をリンタネンキュトラ共和国からお願いされていて、騎士団から精鋭達を集めて鍛えてるとアニーから聞いていたな。

彼らがそうなんだろうな。

隣のグレタも感心している。


「邪魔して済まない。アニー、俺は後で良いから続けてくれ。」

「わかった、ホープラー。では、少し待っててくれ。」


部屋の隅にある椅子にグレタと並んで座った。


アニーに何度か質問したりして次々とフォローやバックアップ人員が決められていく。

それでも30分もしない程度で会議が終わった。


アニーが今日の夕食は早めに取ると時間を指定。

それまでは自由に待機と言って部隊を解散させた。


俺とグレタはアニーに呼ばれて別の部屋へ移動。

ここの館はアニーの館。

土地を大金を払っで購入して建物も時間をかけて職人に作らせた。

俺も何度か遊びにきたことがある。

小さな応接室に行くとメイドか入ってきて紅茶とクッキーを出してくれた。


「忙しいところに悪いね。」

「ホープラーが動きだしてから全世界で奴隷撲滅の動きが加速しているんだよね。私には喜ばしい事だから、この忙しさは大歓迎だよ。」


俺は今朝届けられた報告書のコピーをアニーに渡す。

パラパラと斜め読みしたアニー。


「ホープラーに最初報告を受けた時になんて厄介な薬だと警戒していたけど……偶然が偶然を呼ぶ産物だったみたいね。」

「あぁ、俺が詳細に鑑定したし犯人や研究者チームの記憶を探ったから間違いないよ。毎晩飲み過ぎたお酒がキーだ。人体実験で他に成功例はないから間違いない。」

「とは言ってもこんな計画は潰す。」

「あぁ、国ごと潰すってマリベルも怒ってたよ。」

「まぁ、マリベルならブチギレ案件だわね。怖い笑顔で笑うマリベルが目に浮かぶよ。とは言うもののホープラーは参加しないでね。グレタと新婚生活を楽しみなさいな。」

「他のハイエルフからも全ての作戦から閉め出されちゃったよ。」

「ホープラーは初めての結婚だからね。初めての時は私もそうだったわね。」

「だから、この後はマリベルの宮殿に招待されてる。マリベルの宮殿で軟禁されてる間に全部終わっちゃう感じかな?」

「マリベルの立てた予定ではね。マリベルがホープラーになにも出来ないように監視するのよ。」


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