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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第85話

オリックス魔獣とワイバーンが帰って行くのを見守ってからバレリオが問い掛けてきた。


「こんな事はよくあるんですか?」

「時々だね。俺が近くにいたからワイバーンも間に合うと思って連れてきたみたいだし。普通はワイバーンも見捨てるか食べるかのどちらかだと思うよ。」

「ワイバーンならパクパクって食べちゃいそうですけど。」

「ワイバーンって人にはあまり知られていないけど意外と少食だよ。定期便で働いている小型のワイバーンは毎日あれぐらいの魔獣を1頭分ぐらい食べるけど、野生のワイバーンはオリックス魔獣だと3日に1頭ぐらいしか食べないよ。」

「そうなんですか。初耳でした。」


などの雑談をしながら散歩を再開する。

バレリオ達はまだエイス達に乗ったままの散歩。

レナートからも質問される。


「恐竜がほとんど見えませんね。」

「龍の森の岩山の北側であるこの辺はそんなに恐竜はいないね。恐竜がいるのはいるんだけど……もっと岩山側に生息してるから、大草原側にはあまりやって来ないんだよね。」


そう言って龍の森の巨大な岩山を指差す。


「「めちゃくちゃデカイ岩山ですよねぇ」」


兄弟だからなのか感想がハモっていた。

ユーとミーの双子とは違い動きはハモっていないけど。


バレリオとレナートは早朝のトレーニングをするためにエイス達から降りてロングソードを構えて幾通りもの型を演舞。


俺はエイス達とボール遊びをしながら型の姿勢の悪い部分を指摘して指導した。


バレリオ達もエイス達も満足できたようなので、朝の散歩(パトロール)とトレーニングは終わり。

皆を連れて転移魔法でアーリンドル王国の首都フェリクスにあるカラマンリス家の館に帰還した。


俺は客室へバレリオ達は自室に戻り着替えてからダイニングルームで朝食へ。


イングリッドとグレタは昨晩遅くまで話が盛り上がったのは良いけれど、ついつい飲み過ぎてしまったようで2人とも額を揉んでいる。

食欲もなさそうで顔をしかめたまま。


見かねて2人に爽快(リフレッシュ)魔法で体内に残っているアルコール分解を促進させた。


「飲み過ぎ注意だな。」

「ホープラー、ごめん。」

「ホープラー様、申し訳ありません。ついつい話が盛り上がって止めるタイミングを間違えました。」

「お腹の子供に変な影響がないように今後は飲み過ぎ注意な。お酒は適度な量で楽しんでくれ。」

「そうだったね……ごめんね。」


そう言ってお腹を撫でるグレタ。

まだ悪阻(つわり)もないから実感がないんだろうけど、今後は注意してもらうように少し強く言っておいた方が良いだろう。


と少し暗くなったタイミングでシェフが早歩きで駆け込んできて朝食が始まる。


今朝はオーソドックスな貴族風のフルセットの朝食。

カリっと焼き上げたベーコンとソーセージ。

豆の煮込み料理。

目玉焼きとトロトロの半熟オムレツ。

サクサクのクロワッサンとふわふわのロールパン。

等々が大きなお皿に乗せられて目の前に運ばれる。

オレンジジュースに〆の紅茶でミルクティー。


朝からボリュームたっぷりのフルセットだな。

さっきまでとても食べられそうになかったグレタとイングリッドも、魔法で全快したので今はバクバクと美味しそうに食べている。


食後は応接室に移動。

もう少し紅茶を楽しんでから別れの挨拶。


「ではお世話になりました。」

「こちらこそわざわざいらしていただきありがとうございます。」


などと挨拶を交わしてから館を後にする。

龍の森に帰ると龍王が俺が帰還した気配を感じて俺の住処に転移してきた。


「ホープラー、済まないが合わせたい人がいるんだけど……予定は大丈夫?」

「グレタと休みを満喫中で予定はエッシェンバッハ辺境伯家に食事に行くぐらいで……別に日程も決められていないから急ぎの用事はないけど。グレタも同席して良いの?」

「それは構わない。前々から挨拶をさせてほしいと頼まれてた人がいてね、是非とも時間をもらえないかということで……連れてきても良いかな?」

「えっ……っと誰なの?」

「当代の『魔王』だ。龍の森の王に挨拶したいと以前から頼まれていたんだけど……魔族に嫌悪感を抱くハイエルフも少数だけど存在するから慎重になってたんだよね。」


前世の記憶なのか魔族に対して敵対心が消えないハイエルフがいるって聞いた事があるな。

俺の知り合いのハイエルフにはいないけど。

俺自身も輪廻転生の中で魔族の魔王になった事もあるし、魔族として生まれて迫害を受けながら世界統一した経験もある。

だからなのか俺には魔族への嫌悪感や敵対心は無い。


「グレタは大丈夫?」

「私は多分大丈夫だと思う。魔族とは会った事がないからよく分からないってのが本音かな。」

「それならもしダメそうなら言ってくれたら、私が責任持って奥さんを別の場所にいるリッチさんの所に転移魔法で送るよ。」

「はい。」

「じゃあ龍王、連れてきてくれ。」

「わかった。」


龍王が転移魔法で移動してから戻ってきた時に魔王を連れてきた。

当代の魔王は吸血鬼の始祖。

今は明らかに魔王っぽい鎧兜を装備しているのではなく、人族と同じような豪華な貴族服を着ている。

彼がこのジャスビレンドの世界を統一して統一通貨を産み出した人物。


「やぁ、初めまして。龍の森の王の調停者(ハイエルフ)でホープラーだ。よろしく。それでこっちは俺の妻のグレタ。」

「ホープラーの妻のアーリンドル王国ジャリストン領主グレタ・フォン・ジャリストン子爵です。以後お見知りおきを。」

「ご挨拶ありがとうございます。始祖魔王国の当代魔王の『モーガン・アルバラートミラン』です。ホープラー様も奥様もお気軽にモーガンとお呼び下さい。」

「モーガンね、わかった。」

「わかりましたわ。」


グレタも平気そうだったので、それからは雑談が始まる。

モーガンは吸血鬼の始祖の魔王で、年齢も古龍の長老達に匹敵する最古の魔族の1人。

その他の魔族の『自称』魔王とは違い龍族からも魔族の王として認められている。


ちなみに自称魔王は魔族の種族ごとに名乗っている奴がいるようで、モーガンも把握できていないほど存在しているらしい。


魔族の大陸には魔王会議なるものがあり、主要種族から各魔王が集まるけど呼ばれないほどの弱小魔族の長も魔王を名乗っているから、モーガンも把握できないぐらいいるとの事。


魔王会議に呼ばれる主要魔王は12人。

モーガンを合わせると13人の魔王が集まり、各種族の争い事の調整や貿易不均衡などの是正などが会議されている。

その他にも人族や亜人と呼ばれる獣人や小人族、妖精族に分類されるエルフやドワーフなどの種族との貿易などの規定作り等々、戦争が減り平和に話し合いで解決するための会議で話されている議題は多くて、毎年1ヶ月以上も集まって会議されているんだと。


だけど人族と違い寿命が長い種族が多い魔族。

急がないで時間を掛けてゆっくりと解決しようという、モーガンの呼び掛けから始まる魔王会議の発足なので、双方の意見を取り纏め百年以上掛けて解決させる事もざらにある事みたい。

2百年以上前からまだ解決してない問題も残っている。


モーガンが千年ほど前に世界統一で見せつけた強大な力。

圧倒的な力が世界中から畏怖されているので、全ての種族から一目置かれているから喧嘩を売られることもない。

しかも世界戦争時に凄まじい魔法を使いすぎて、吸血鬼の始祖として『黄泉縛り』と言われる強制的な眠りにつき、3百年ほど眠らされている間に世界統一魔王国は崩壊してる。


目覚めた後は再統一する動きを見せなかったので、魔王の弱体化の噂が出回ったが……

始祖魔王国に攻め込んできた当時最強と言われた勇者チームと、勇者を護衛するための軍隊すら魔法の一撃で蒸発させた事で再び世界最強の力を証明している。


確かにモーガンは強い。

リッチさんと同レベルぐらいの強さがあり、龍の森に住む古龍の長老に引けを取らないだろう。

龍族においてもトップクラスの強さにいる。


モーガンはリッチさんと面識があるらしくて、リッチさんの事を『冥王(めいおう)』と呼んでいた。

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