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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第7話

まずは玉座に腰掛け、隣に立つ王様に挨拶からだな。

「やぁ、僕はハイエルフのホープラー。5年前から龍の森の王になり、そして龍王に頼まれて龍の森の調停者になったんだ。今日はドラゴン達の依頼を受けてやってきた。」

「初めましてホープラー様。自己紹介ありがとうございます。では私も……アーリンドル王国当代国王『ラーファエル・フェリクス・アーリンドル』と申します。気軽に『ラーフィー』と呼んでください。こちらに控えますはアーリンドル王国宰相『ミクラーシュ・ゾンマーフェルト侯爵』です。」

「私の事はミクリーと呼んでください。」


「ラーフィー王とミクリー宰相ね。隣人さん、よろしくね。」


これは今回の事件の調停をお願いしてきた龍の森に住む古龍の長老達に教えて貰ったこと。

古龍達はアーリンドル国王に対して親しみを込めて『隣人』と呼んでいるようだ。

龍の森のドラゴンとアーリンドル王家は過去から連面と続く『善き隣人』だと聞いてる。


「「よろしくお願いいたします。」」

「僕はまだ10才だからさ、もう少し柔らかく話してくれるとありがたい。」

「「わかりました。」」

「それで今回の事件は審議中だと思うけど審判はどうなった?」

「今から犯人グループの全員を連れてきますので、これからホープラー様を交えての審判を開始いたします。」


宰相が目配せすると巨大な正面扉が開かれて、犯人グループが全員引き連れられて横一列に並ばされる。

俺も軽くカーテンを閉めるように右手を振ると、玉座の後ろに浮かべてあった実行犯グループ全員を犯人グループの後ろに一列に並ばせた。


蔦の魔法を解き気付けをして意識を取り戻させる。

実行犯グループは全員目を覚ますと周りを見渡し全員並んで正座。

両手を前につく土下座スタイルになった。

実行犯グループは15名の全員が軍人らしい。

既に潔く罰を受ける覚悟は済ませているようだ。


犯人グループは引きずり出されて強引に座らされてる。

女の子のように斜めに座り込んでいる。

玉座に座る俺の長い耳を見てビクビクと震えている。


犯人グループ全員の、みっともない座りかたを見て、ラーフィー王のこめかみに血管が浮かび上がり怒鳴ろうとした瞬間に俺が話しかけてタイミングと呼吸を外させる。

口元は手で隠して小声にした。


「ラーフィー王、気にしないで良いよ。彼らはもうすでに未来も時間もない。」

「ぐっ! ……申し訳ない。」

「気にしないで良いよ。では始めて。」

「わかりました。」


王が宰相をチラッと見るとミクリー宰相がまず始めに俺の紹介をする。

その後、今回の森の子供誘拐事件のあらましなどの詳細な情報を正確に話し始める。

何らかの魔道具が使用されていて、宰相の小さな声が耳に直接入り込んでくるので聞き取りやすい。

左右に別れてるほぼ全ての貴族は初耳らしく、俺の名前や調停者(ハイエルフ)などの紹介を聞いて驚愕し、ミクリー宰相の説明が進むにつれて凄い形相で犯人グループと実行犯グループを睨み付けている。

極一部の貴族が『ヤバい』と感じて(うつむ)いている。


首謀者として名前が挙げられた『イガルタ・フォン・ヴァルダルアシュート』が途中で反論しようして、立ち上がろうとするが俺の蔦の魔法で猿轡と全身を絡ませて動けないようにした。

バカの言い訳を聞いてる程の暇はない。

……もうすぐ夕方なんだから。

「重ね重ね申し訳ない。」

ラーフィー王が小声で謝るが、手をヒラヒラさせて大丈夫とゼスチャーする。


イガルタの状態を見てミクリー宰相の説明も一瞬止まるが俺のゼスチャーを見てそのまま説明を続行した。

ミクリー宰相の説明が終わると緊迫した静寂の時間が訪れた。


俺は龍の森の王としての要求を口にする。


「今回の事件のあらましは以上。最悪の状況は免れたとはいえ、無事だから良かったねでは終わらない。今回の事件を受けて龍の森の王として……さらに龍の森の調停者として要求する事がある。ここにいる犯人グループと実行犯グループには自決する慈悲を与える。しかしながら森は、彼らの家族にまで責を求めない。以上」


実行犯グループの全員が土下座したまま一斉に答える。

「「「ありがたき幸せ。森の慈悲に感謝いたします。」」」

犯人グループは呆然として動けないし返事もない。

実行犯グループは全員立ち上がり、近衛騎士に誘導されて、玉座に座る俺に深々と一礼して玉座の間を退出していく。


犯人グループは誰1人として立ち上がる事すらも出来ずにうなだれたまま震えてる。

両側に座る貴族達が物凄い形相で睨んでいて、漂う殺気にあてられて震えて怯えてるだけ。

近衛騎士に両側から両脇を抱えられて、イヤイヤと身悶えるが引きずるようにして退出させられる。


イガルタは俺の蔦魔法を解除したとたんに叫ぼうとするが、後ろに待ち構えていた近衛騎士に太めのロープで猿轡を噛まされて、ウーウー唸ることしかできない。

そのまま引き摺られて行った。


自決の慈悲というのは……

短剣を渡され喉を突いたり切ったり、腹を切ったり心臓を突いたりして自決する事が許される。

立会人からは見事な自決でしたと報告されるだけだ。

自決できない者は立会人が責任を持って胸を刺して殺害。

見事な自決でしたと報告されるだけ。

国の記録的にはどちらもまるで変わらない。

立会人には軍の武術指導者の達人と呼ばれる人達が選ばれるので手早く済まされる。


今日中にも執行されるし今後二度と会うこともないだろう。


ラーフィー王に玉座の裏側にある国王執務室へと移動を請われる。

まだ話したい事があるんだろう。

今後の為に詳細を詰めておく必要がある。

子孫の為にも公式文書として歴史に残す必要がある。


こちら側にも今後二度と同じような事を繰り返させない為に必要な話し合い。


線引きと幕引きだね。

ラーフィー王の後をついていって国王執務室に入る。


ここでも上座を譲られ俺が座ってから、ラーフィー王とミクリー宰相が席に着いた。

先に口を開いたのはミクリー宰相。


「ホープラー様、この期に及んでみっともない所を見せて申し訳ない。」

ラーフィー王とミクリー宰相が揃って頭を下げる。

「いえいえ、大丈夫ですよ。往生際の悪いみっともない男だからこそ、こんな事件を引き起こしてるんでしょうから。責任は本人達に取らせますし。我々は今後の話し合いをしましょう。」


俺の言葉に感謝を述べもう一度頭を下げると、今後に向けての話し合いが始まる。


こちら側の要求は……

『犯人グループと実行犯グループの全員の自決でもって今回の事件は終了』

『国や犯人達の家族に責はない』

『二度と同じような事を繰り返させない』

先程の玉座の間で要求したそのまま。

それ以上は求めてない。


国の責任はない。

と、俺が断定したのでホッと胸を撫で下ろす2人。

しかし二度と同じような事を起こさないという要求は対応が難しいと俺も感じてる。

だけど森側の要求として絶対に取り消すことが出来ない。


今回の事件は政争と跳ねっ返りのバカが絡んだ事件。

誰もが理解してる事実として……どこの世界にもバカは一定数いる。

3人いれば派閥が出来ると言われてるように政争はなくせない。

この絡みを無くすなんて絶対に不可能だろう。


落とし処の判断に迷うよ。


森として家族への責は取らないが国として多少なりとも責任を負わせ罰を受けさせるしかないだろう。


うーん、いいとこ罰金刑だろうな。


主犯のヴァルダルアシュート侯爵家をはじめ今回の問題を引き起こした犯人達の実家は裕福な家が多く、資産も膨大で金額ではなく全資産からの割合による罰金刑となる。

これには俺は口出ししない。

資産もいらないしな。


不動産を含む全資産の半額を年割で提出させるようだ。


現金即回収と言うのは簡単だか、市中にまわる膨大な現金を国家に集めるように動かすと経済がおかしくなる。

騒ぎを拡大させてしまう。


なので今回回収する金は現金のみでなく、土地、資源、人材と多岐にわたり提出させて、普段資金が乏しい人材育成や地方の用水路開発、資源開発などの分野にまわされる事がここで決まった。


うん、まぁ、自由にして。


「悪いけど……誰もが一目でキツいと思えるぐらいでないと。模倣犯みたいなカスが出てこられるのが一番困る。森は全力で報復する事になる。しかも次は一切の手加減も慈悲も出来ない。僕も調停者ではなく報復者として破壊行為に参加せざるを得ない。」


最後は脅迫になっちゃったけど、慈悲を与えて舐められるのが一番困るよ。

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