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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第74話

俺の手元に残る剣の刀身に銘は打たれてい

なかった。

と言っても、例え世界的な有名人で誰がどう見ても鍛治師のカリスマだったとしても俺は全く知らない。

そっち方面はあまり興味がないので調べる気にもならないけど……

残されている刀身を太陽の光に当てたりして調べてるとグレタが問い掛けてきた。


「水龍の胃袋の消化液でよく溶かされることなく残されてたもんね。」

「まぁ、素材がオリハルコンだからね。しかも子供の水龍の胃袋の消化液では半年は掛かるよ。」

「え? あの水龍ってまだ子供だっの?」

「3才だって言ってたな。」

「3才? 水龍って3才であそこまで大きくなるものなの?」

「食いしん坊だから大きくなったんだとさ。」

「食いしん坊って……」

「俺も初耳だわ。」

「……世界は広いわね。」

「確かに。世界はホントに広いよな。」


ここで俺は水龍との話をグレタとレオンに説明した。


「そういう事があったのね。それで……その剣ってどんな凄い剣なの?」

「凄い? オリハルコン製の剣としては『この程度?』って疑問が湧くレベルの剣だね。銘も打たれてないから失敗作なのかも。水龍も鮫を食べたら引っ掛かったと言ってたし。」

「鮫って……」


ここでレオンも話に加わってきた。


「ホープラーから見ると失敗作のレベルなのかも知れないけどね……オリハルコン製の剣でここまで作られて失敗作ってのはありえ無いよ。素材がもったいないから直ぐに打ち直すと思うし。なんなら納得いくまで何度も打ち直せるのがオリハルコンじゃないの?」

「ああ、オリハルコンなら打ち直すのは簡単なんだけど……魔力が膨大に、そして繊細に使う事が出来る鍛治師でないと実際は質が落ちてるよ。」

「……そんなに魔力が必要なのか?」

「オリハルコンを素材として自由自在に使う為には魔力が人間なら魔法使いのトップレベルの魔力が必要になるよ。だからオリハルコンやミスリルなどの魔法金属は、ドワーフやエルフ達みたいに魔力豊富で魔力の扱いに長けた種族でないと取り扱いがえらく難しくなるよ。」

「初めて聞いたな。」

「私も初めて聞きました。」

「日緋色金(ヒヒイロカネ)は全くの逆で魔力が少しでも干渉してしまうと、日緋色金の伝説的な強度が失われてしまう。だからこそ魔法金属の加工に長けた種族でないとボロボロになるよ。日緋色金はエルフには扱えない。ドワーフの一部の長老達のみが加工技術を持ってる。ただし……ハイエルフを除く、なんだけどな。」

「ってことはホープラーなら加工出来るって事か?」

「そりゃもちろんだよ。ドワーフに魔法金属加工技術を教えたのは、他の大陸に住むハイエルフが古龍の長老に要請されたからだよ。龍の森の古龍から直接聞いたから間違いない話だよ。」

「マジか……」

「まっ、実際に見ればわかるよ。」


俺が左手に持つ剣の残骸に魔力を込めて鍛治師スキルを使い始めると、剣の残骸が徐々に光り始め魔法金属加工を皆の目の前で開始する。


古龍の素材も組み合わせる事もない、オリハルコンのみの加工なんだから、ハイエルフの俺からすれば精魂込めるって程の難しさは皆無。


ハイエルフか古龍にしか読めないハイエルフならではのサインを刀身に打って修了。

サクッとロングソードを作製してレオンに手渡した。


俺のサインを打ったのでハイエルフと古龍がこのロングソードを見れば俺の関係者だって一目瞭然となる。

これは俺が信頼する相手だとハイエルフと古龍にしかわからないサイン。

レオン以外の人間が持つと違うサインが出てくるので、ホントに信頼する相手にしか渡せない逸品。


……逸品って程ではないかもしれないけどね。


「このバーキットで拾ったオリハルコンだから領主のレオンにあげるよ。」

「いや、流石にこんな国宝級の剣はもらえないよ。ただでさえ収納袋も借りてるのに。」

「レオンも目の前で見てたように、何の飾り気もない剣で短時間でサクッと作った剣だからそんなに大層なもんじゃない。壊れたら直してあげるから、ほらほら受け取った!」

「……わかった。家宝にするよ。」

「おう。子孫にも伝えといて、壊れたらいつでも直してあげるからって。」

「ああ、伝えておく。ありがとう。」


やはりレオンも武人。

少し遠慮していたけど剣を見ていて使いたくなったんだろう。

アイテムボックスで余ってる龍の森の外縁部で拾った木材を使って鞘とグリップを作り、これも龍の森の外縁部で拾った枯れた蔦を巻いてグリップの滑り止めとした。

これらもサクッと作ったので武骨そのもので、違う意味で良い味わいが出ているようになった。


だけどレオンが装備するミスリル製の白いフルプレートアーマーと、今着ている騎士服に装備しても違和感が出ないように、武骨ながら落ち着いた雰囲気に仕上げてる。


レオンが腰に装着してスラリと剣を鞘から抜き出すと、何の装飾もないロングソードが重厚な存在感を示す。


うん。

レオンがロングソードを見て嬉しそうにニヤけてるのは気に入った証と言って良いだろう。

俺の隣で同じようにレオンを見てるグレタも、俺と同じようにニヤけるレオンを見てニヤけている。


周囲にいる騎士団団員は羨ましそうに見てるが、流石にこのクラスの逸品は彼等には渡せない。


レオンは盾職(タンク)で盾とフルプレートアーマーはミスリル製の業物を装備していたけど、剣のロングソードは大したこと無い数打ちレベルの粗末なロングソードを使用していた。

レオンに聞いたら盾とフルプレートアーマーに金を掛けすぎて、貯金を使い果たしたからしばらく貯金生活だって笑ってた。


だから騎士団に支給されるロングソードを使って貯蓄していた。


レオンは盾職だけど力持ちの象獣人らしく、巨大なタワーシールドを構えて突撃して、ロングソードを叩きつける戦闘スタイル。

ただ、ロングソードは壊れたら次ってぐらいに重さだけに拘(こだわ)っているようだと、以前に模擬戦をしてみて気が付いた。


ただし今度はロングソードの方が性能が上になったから、もしかしたら戦闘スタイルに変化が出てくるかもしれない。


レオン達と模擬戦を繰り返すユーとミーが、レオンがロングソードを力任せにバキバキ折るので気を遣うと言ってたしね。

ユーとミーの双子が手加減スキルを習得してしまう程の脆さだしな。


これで遠慮しなくて済むと双子は喜びそう。

ユーとミーがニヤつく姿も想像してるとニヤニヤが止まらなくなる。


「これで用事は済んだね。」

「だね。」

「ああ、ホープラー……いやいやいや、まだ重要な用事が俺には残ってるよ。せっかく新たな武器を貰ったんだから、模擬戦しよう!」

「「「「我等も一緒にお願いいたします!」」」」

「まぁ、そうなるよね」

「だよな。」


また馬車に乗り込んでまずは領主の館へ。

レオンが騎士服から装備を着替える。

騎士団の団員達もバーキット騎士団本部に戻り装備を着替えて東門に集合。


集合場所の東門の外にはバーキット騎士団の全団員が集合していて……港には来てなくて本来なら今日は休暇中のバーキットの正騎士団団長のルーベンソンまでいるな。

呼ばなかったら後で怒られるからと団員が呼びに行ったんだろう。


俺とグレタも領主の館で着替えさせてもらってるので、すでに戦闘スタイルには変化してる。

俺は本来の戦闘スタイルは弓と小太刀だけど、模擬戦だからジョルとスパーリングした時と同じで、龍の森で拾った枝で作った小太刀の木刀を使用する為、小太刀の木刀を左手に持っている。


龍の森の中心部の俺の住処近くで拾った枝だから固さとしなやかさのレベルが段違い。

俺が作ってレオンにあげたオリハルコン製のロングソードと遜色ない。

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