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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第46話

蔦縛りの草魔法は火山地帯以外の場所では有効性が高い。

後、当たり前だが実体を持たないゴースト等の魔物には何の効果もない。


全身に火を纏う魔獣にも突き刺さった矢が敵の生命力を奪って蔦を生やすので、火を使って蔦を焼くと自分自身の身体の内側から焼く事になるのでダメージは倍増する。

……まぁ、蔦を放置したら全生命力が奪い取られるので焼く以外の選択肢はないけど、矢に込められた魔法は一度焼いたら終わりなんて生易しくないが。

矢を引き抜いてから蔦を焼く必要がある。


連携と訓練は戦闘を終える毎に上昇する。

高レベル冒険者でしかも同郷の幼馴染って言ってたから阿吽の呼吸で伝わるのだろう。


夕方になる頃にエルマが複数の魔結晶に貯めていた、自分自身の魔力を使い果たしたので訓練は終了。

クラブハウスに全員を連れて転移魔法で移動した。

まずはクラブハウスのお風呂で汗と埃を落とす。

ここのクラブハウスには男湯と女湯で2つあるので待たないでもすぐに入れるのがありがたい。

龍の森の住処なら温泉なんだけど、流石にこのラハティカンナス獣人国ではワガママだろう。


お風呂を終えると皆で晩御飯を食べに出かける。

今夜はガッツリと肉が食べたいと全員の意見が一致したので、4人がオススメするステーキハウスに歩いていく。


俺は魔道具で存在を薄くしてコソコソとヨハン達の後ろをついていくが、相変わらず4人は顔が広くて知り合いが多いし、兄弟弟子も多くいるのでなかなか店まで辿り着けない。

目的の店はわかったし、それほど知り合いは増やすつもりもないから、ヨハン達にウインクしてから少し大回りしてから後で店に入った。

付与魔法の事で話がしたかったエルマがほんの少しだけ寂しそうな顔を一瞬見せたがすぐに諦めて先に店へ行く。


ステーキハウスは盛況だけど店内はかなり広いので並ばずに座れた。

1人用のテーブルも広めに作られている。

肉が焼ける音や匂いが堪らなく食欲を誘う。

メニューには様々な肉の種類や部位が記載されているが、値段は共通で分かりやすく1枚で1000B(バイ)。


魔獣の種類や肉の部位等の希少性で大きさが変わるようなシステムとなっている。


1枚毎に注文する方式で肉の種類も豊富。

テーブルの上には様々なステーキソースが置いてある。


俺はまずはステーキセットを注文。

1枚目はトロールにした。

パンはかごを持った店員がテーブルの合間を歩き回ってるし、スープはワゴンを押した店員が歩き回っているのでセットを注文した客はどちらも食べ放題となってる。


食べ放題用の立て札をテーブルに置いて注文を受けたウェイトレスが去って行く。

立て札を確認したウェイターがワゴンに乗ってる4種類の寸胴を運んでくると同時にウェイトレスがスープカップをテーブルに運んできた。

最初はオニオンコンソメスープ。

両手で運べる大きなかごに焼きたてパンを運んでいるウェイターを呼び止めて、まだほんのり温かいクロワッサンとロールパンをもらう。

ウェイターはバターがのった小皿とバターナイフをテーブルに置いて立ち去る。


ロールパンを食べ終えた頃にトロールのステーキが運ばれてきた。

トロールのモモ肉で150グラムほどのステーキ。

見た目は鳥のモモ肉っぽい。

ステーキにナイフを入れて切り分け口に運ぶ。

ブラックペッパーがきいたその味は、見た目のそのまま鳥のモモ肉だった。

ほんの少しの歯ごたえと優しい味。

ニンニクのきいたトマトソースを途中からかけて味の変化を楽しむ。


次に頼んだのはオーク肉のステーキ。

オーク肉は豚肉のステーキ。

ミノタウロスは牛肉だった。

この店の一番の売りのステーキは美味しいのはわかるけど、食べ放題のクロワッサンとロールパンがかなり美味しくて何個も食べた。


俺が美味しい肉を満喫している少し離れたところでヨハン達は飲んで歌っての大騒ぎ。

周囲のお客を次々と巻き込んでいき、最終的には店にいるお客全員での騒ぎになってる。

もちろん俺も巻き込まれてる。

ケンカになったりとか暴れる人達は誰もいないが、大声で歌っている人達はいるので店内は喧(やかま)しい。

このステーキハウスは旧デバッケルフラート教国の頃は、讃美歌などを歌う教会横の集会場だったので防音の結界が建物を包んでる。

なので外には音は漏れにくい。

だからこの店で歌って騒いでの大騒ぎが出来るんだな。

誰彼構わずお酒のグラスを片手に歌ってる。


俺も何人かにお酒を奢ってもらった。

ビールやワインを俺に注ぎながら話しかけてくるが、あまり俺がのってこないのですぐに諦めて別の人のところに移動していく。

あまりお酒が得意ではなく曖昧な笑顔で対応されたら早々に諦めるわな。

それが狙いなんだし。


《日本ではお酒は二十歳になってから》


せっかく奢ってもらったのでゆっくりと味わって飲む。

ビールは昨日と同じ味。

飲み易くて美味しい。

キンキンに冷えたジョッキからののど越しがたまらない。


赤とロゼのワイン。

ワインはあまり得意じゃないけどこれは2つとも美味しいワイン。

ワインも前の大陸から丸ごと移動してきてるので、今後はまだ飲めない状態。

旧デバッケルフラート教国の葡萄畑がそのまま残っているが、品種も前の大陸の品種とはまったく違うようで、前の品種も持参してきてるのでこれから新たな品種を作り出して、さらに上を目指すと職人達が隣のテーブルでグラスを掲げて意気込んで歌っている。


新たな大陸に移動したのをきっかけにしてより良いものを作り出して欲しいものだ。


ヨハン達が時折様子を見にくるが、俺が美味しそうに黙々とステーキを食べているのを見て安心して戻っていく。


触らぬハイエルフに祟りなし。


酔っぱらいがかなり増えたので絡まれたりしていたら止めようとしてるんだろう。


俺は時間をかけて色んな肉を味わう。


ミノタウロスのお尻の肉が一番の高級品らしくて、1000Bだと50グラムしかないけど……まさしく絶品だったわ。


昨日魔獣狩りしたミノタウロスのケツを思い出すと嫌な気持ちになるけど……味は上品な甘さと溢れる肉汁と噛みごたえのある食感といい……まさしく絶品だな。


意外なのがトロールのタンが丸っきり牛タンだった。

これも高級品で1000Bで80グラムほど。


両方ともおかわりした。


腹がいっぱいになったので料金を支払い店を出た。


料金を支払いながらエルマに念話を飛ばすと……兄弟弟子達と話が盛り上がりもう一軒飲みに行くらしいので、俺はクラブハウスに戻ることに。

クラブハウスの鍵は持ってないけど俺には必要ないし。

ハイエルフが侵入できない場所を探す方が大変だと思う。

歩いてクラブハウスに戻りながら街の暗がりに入り、そのまま安全を確かめると転移魔法で自分の部屋に戻ることにした。


土足なのでスリッパに履き替える。

これは日本人として残っている感覚だな。

建物の中で土足のままだと何故かリラックスできないんだよな。

龍の森の住処は建物は何もない。

お風呂の着替え用で小屋を作っただけ。

ベッドなんて木の枝を魔法で横に広げて柵まで魔法でついてるところに布団敷いて寝てるし。

住処のあちこちにベッドがあるので、その日の気分によって違うベッドで寝てる。

ユーとミーもあちこちにベッドがある。


俺はクラブハウスの自分の部屋で飲み直す事に。


《日本ではお酒は二十歳になってから》


アイテムボックスから輪廻転生で別の世界で手に入れた秘蔵の酒を取り出した。

100年物のブランデー。

錫のグラスで味わって飲む。

錫のグラスだと100年熟成されたまろやかなブランデーのまろやかさがさらに増したような気がして味わい深く感じる。

おつまみは生ハムとドライフルーツの詰め合わせ。

生ハムは原木から切り出した。

生ハムのしょっぱさとドライフルーツの甘さが、ブランデーの味を引き立てている。


今日も窓の外の建設現場を眺めながらお酒を味わう。

チェーサーは室温の麦茶。

麦茶の苦味が口の中をリセットしてくれる。


俺がお酒を楽しんでるとヨハン達が帰ってきて俺のいる部屋に突撃してきた。

少し酔っぱらってご機嫌みたいだな。


俺の飲んでいたブランデーを飲むと絶句。

4人に錫のグラスをプレゼントしてブランデーを注ぐ。

テーブルの上の生ハムやドライフルーツを皆で味わってまったりとした夜のお酒を楽しんでる。

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