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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第41話

ソフトボールサイズのアイスクリームをいくつかに割って、一部分をアイスコーヒーメガジョッキの上に浮かべてコーヒーフロートにしてスプーンで溶かしながら飲む。

ブラックの部分も溶けた部分もどっちも美味しい。

トーストの上にもアイスクリームの破片を乗せて食べるけど……これもまた美味しいな。


アイスコーヒー、アイスクリーム、トーストの全部がそれぞれ美味しかったのでこのお店はアタリだな。

龍王からもらったマップに書き込んでおいた。

この龍王のマップ、既にラハティカンナス獣人国として書き込まれているマジの優れもの。

この新たなる首都の名前もまだ確定してないので、名前すら書かれて無い癖にこの喫茶店は書いてある。

ここは旧デバッケルフラート教国の時も喫茶店だったらしく旧名はカッコ付きで書いてあるくせに。

全世界に凄い数の龍王の手下が山ほどいるんだろうね。


トーストとアイスクリームを食べ終えて残りのアイスコーヒーを味わって飲みながら物思いにふける。

なかなか無くならないなこのアイスコーヒー……美味しいから我慢するまでもなく飲んじゃえるけど。


キャーと女性が駆け込んできて助けを求めるテンプレが突如として発生。

ゲヒャゲヒャと笑いながら山賊みたいなボロい皮鎧を装備したオッサン2名も続いて来店。


午前の静かな時間の静かな店で、少しだけもて余し気味のアイスコーヒーと格闘しながら優雅な一時の邪魔をされてムカついたので、海までオッサン2名を放り投げてやろうかと立ち上がろうとしていたら……店の奥に座って優雅に紅茶を楽しんでいた若いイケメン冒険者のお兄さんが立ち上がりオッサン2名を店の外に連れ出した。

顎で表に出ろと指図する。

ブチ切れたオッサン2名は激怒。

大騒ぎで後をついていく。


おぉーと沸くギャラリー。


店内にいたお客と外にいたギャラリーも突然の見世物に沸き立つ。

俺もギャラリーの1人。

対決ムードにワクワクテカテカしてたら、オッサンの仲間がもう1人いたみたいでイケメンの後ろから飛び蹴り。

まさかの予想もしてない事態にイケメンはモロに蹴りを食らって倒れた。

3人掛かりで蹴りまくられ防戦一方に追い込まれるイケメン。


暴れたくなった俺も参戦決定。

つかつか歩いて行ってオッサンの1人に軽く腹パン。

10メートル程空中を飛んでギャラリーの向こう側に消えた。


突然仲間が飛んでいったので呆然とするオッサン2名。

大興奮で大騒ぎのギャラリー。

俺は顔を上げたイケメン冒険者の顔を見てニヤリと微笑みながらサムズアップする。

笑いながら立ち上がるイケメン。


たぶん高レベル冒険者のイケメンだな。

あれだけ一方的に蹴られていてもケロッとしてる。

通りすがりで見物してたゴツい冒険者のギャラリーが飛んでいったオッサンを小脇に抱えて俺の足元に放り投げてきた。

俺の顔を見てニヤリと笑うゴツい冒険者。

ゴツい冒険者にもサムズアップ。


3対3の状況に動揺が隠しきれない小汚ないオッサン3人を余所に、イケメンと俺とゴツい冒険者の3人でアイコンタクト。

おもむろに最初はグーとジャンケンを始めた。


3人いてもな……こんなん1人で充分だし。


俺がジャンケンに勝ったので悔しがるイケメンとチッと舌打ちするゴツい冒険者。

俺が一歩前に出るとイケメンとゴツい冒険者は3人のオッサンの後ろに回り、お前らぜってぇー逃がさねぇーシフト。


俺はニヤニヤしながら顔を上げて見下して、右手の人差し指でクイクイとこっち向かってこいやのポーズ。


周囲のギャラリーもやんややんやの大興奮。


しかしながら……流石の獣人国だな。

周りのほとんど全員が何らかの獣人だ。

3人の小汚ないオッサンもイケメンもゴツい冒険者も。


少し離れた場所にエルフの3人組が怪訝な表情で俺だけを注視してるけど、何か変な変装用の魔道具を装備してる事がバレてるっぽい。

中身がハイエルフとまではバレてなさそうだけどね。


獣人国では亜人も多く、エルフやドワーフ等の国民も多いと聞いてる。


3人のオッサンは向かってこないで土下座した。

その瞬間に俺は後ろに向かって裏拳。

コッソリと近寄ってきて俺に後ろからナイフを突き立てようとしていたもう1人のオッサンの顎先にヒットしてその場に崩れ落ちた。

前に向き直り……

「バカかオッサンども舐めんなよ。何度も同じ手が通用するわけが無いだろ。」

オッサン達の後ろで頷いているイケメンとゴツい冒険者。


……いや、イケメン。

お前は食らってたやん。


土下座してた3人は腰のショートソードを抜いたところで左右の2名は後ろから飛び蹴りしてきたイケメンとゴツい冒険者に吹き飛ばされて戦闘終了。

正面のオッサンは叩きつけてきたショートソードを額の手前で俺が左手の人差し指と親指の2本で摘まんで当たる寸前で止めて固定。


まったく動かなくなったショートソードを動かそうとグリップと鍔(ガード)を両手で持ってフンガーフンガーと踊るオッサン。

あまりの必死さと滑稽さに周囲が大爆笑。

後ろにいるイケメンは上を向くほど身体を仰け反らして手を叩いて大爆笑してるし、ゴツい冒険者は腹を抱えて座って悶絶してるのだが……とうとう耐えきれなくなって寝っ転がって大爆笑して息も絶え絶えになってる。


面倒になった俺はフンガーオッサンに腹パンして空中で一回転させて土下座体勢に戻してやった。


警備隊がホイッスルを吹き鳴らしながら近付いてきたので俺は、ショートソードをイケメンに渡しススっとすぐさまお店に戻る。

残された2名にアイコンタクトして後は任せたとサムズアップ。

イケメンとゴツい冒険者は笑いながら俺にサムズアップして警備隊の方に歩いて行って説明をし始めた。


喫茶店に戻るとすぐに若い女性が俺に挨拶にきた。


「助けていただきありがとうございます。」

「ごめん。何のことやら。俺はコーヒー飲んでるだけだから。店の外にいるイケメンさんにお礼を言った方が良いよ。」


俺が訳有りだと察してくれたようで店の外に出ていく女性。

店内のお客さん達も続々と戻ってくるが俺の事にはふれない。


いやぁ、皆善い人達だ。


アイスコーヒーとの格闘も終わりを迎えそろそろ立ち上がろうかとした時に、イケメンとゴツい冒険者が店内に入ってきて、俺のテーブルの空いてる席に腰掛けた。


「よ! 助かったよ。警備隊は少し苦手でね。」

「いやいやいや、僕の方こそ助かりました。」

「いやいや、全然まったく効いて無かったでしょ。ニヤニヤ笑ってたし。ギャラリーを盛り上げようとしてるだけとは気付いていたけど、俺も暴れたくなったからね。ごめんごめん。」

「ワシはコイツとは腐れ縁でな。面白そうだから参加したわ。何も出来んかったけど。」


それから自己紹介。

俺は『さすらいの旅人ホープラー』と名乗ったので笑われた。

俺がまだ18才と聞いてビックリしてたけど。

イケメンは豹獣人のSランク冒険者だってさ。

だから強いんだね。

『ヨハンネス・チッコリーニ』という名前。

ヨハンと呼んでと言われた。

ゴツい冒険者の方はサイ獣人で、こちらも同じSランク冒険者。

『ベルトランド・シュペングラー』

長い名前だからベルだけで良いと言ってくれた。


ヨハンとベルは同じチームの冒険者。

2人の嫁が1人づつ加えて4人の冒険者チーム。

4人共にSクラスの冒険者チームで、チームもSランクの結構有名なチームだと恥ずかしげに言われた。


5日程前にこの大陸に渡ってきたんだと。


昨日まで魔獣狩りを試していて、こっちの大陸でも稼げそうだと本拠地を移す手続きを昨日の狩りの後で決めて登録した。

それで昨日は夜遅くまで酒を飲んで騒いでいたので、ベルはさっきまで寝てたと。

ヨハンはいつもの時間には起きてこの店で寛いでいた。

嫁さん達はスイーツの有名な店に朝から突撃していったらしい。


んで、騒動に巻き込まれた。


先ほどのオッサン達は問題多い冒険者らしくて即逮捕されてお持ち帰りされた。

絡まれてた女性も警備隊に証言してくれたので

すんなり話は終わったようだ。


彼らの良い人ぐあいは……俺にあまり質問してこない。

話し方は終始失礼の無い感じなので別の国の王族のお忍びのように思われてる感じ。


彼らの奥さん達がくる前に俺は手を上げて退散する。

縁があればまた会うだろう。

作者からのお願いです。


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