第40話
・・・ミー視点継続・・・
ラーフィーさんとミクリーさんがガチの殴り合いを始めたのでユーと2人で慌てて止めた。
グレタさんがミクリーさんに怒る。
「ミクリー宰相、流石にデリカシーが無さすぎます。ラーフィー国王が怒るのも当たり前の話ですよ。」
「いや、ラーフィー、すまん。わざとではないがついつい考えてた事が無意識に口から零れ出てしまった。」
「ユーとミーとグレタ、悪いがここだけの話って事で頼む。」
「「了解!」」
「俺からも頼む。身内ばかりって雰囲気でついつい口走ってしまった。」
「私も身内という範囲に入れてくださりありがとうございます。」
「グレタはもう身内枠だよ。ホープラーと付き合い始めたんだろ?」
「……ラーフィー国王、えー、っと、まぁ、はい。間違いないです。」
これは10日程前にお兄さんから直接聞いた。
お兄さんがとうとう口説いたみたい。
私とユーはもちろん大歓迎。
グレタさん綺麗だし優しいしちょっと天然ボケのところがあるけど……そこがまた魅力的なのよね。
ユーとお兄さんも同じ事を言ってた。
今のグレタさんは真っ赤になって照れて可愛さが倍増してる。
今回の3人の騎乗魔獣捕獲もラーフィーさんとミクリーさんがお兄さんに相談して、2人のバイコーン捕獲ついでにグレタさんも遠征する予定なので、お兄さんからグレタさんに持ちかけた話だと聞いてる。
騎乗馬をバイコーンに変更すると、普通の馬とは比べ物にならないぐらいに生還率が上がる。
だからお兄さんの中ではラーフィーさんとミクリーさんの方がオマケだろうね。
とにもかくにも3人のバイコーン集めは終了したので、お兄さんから渡されている念話魔法ができる魔道具を使用してお兄さんに連絡する。
・・・ミー視点終了・・・
ミーからの念話連絡があったので、ユー・ミー・エイス・フーロー・ライチは龍の森の住処に転送魔法で引き寄せた。
ラーフィーとミクリーとバイコーン2頭はアーリンドル王国首都フェリクスの王宮と王城の間にある訓練場に転送魔法で送った。
グレタはバイコーンと共にアーリンドル王国ジャリストン領主の館の中庭に転送。
そうやって3人は自分が騎乗するバイコーンを捕獲していた。
3頭ともかなり立派な馬体だし名前も後日教えてもらった。
ラーフィーの騎乗バイコーンのシェリルはキレイだったし、グレタの騎乗バイコーンのブラックパールの角は美しい。
……とはいえ出陣式のパレードで遠くから一瞬だけチラッと見せてもらっただけなんだけどね。
10年ぐらい経過すれば近くから見ることぐらいはできそう……と勝手に予想してる。
まぁ、ダメならダメで仕方がないけど。
今はもう3人とも出陣しているのでしばらく会ってないけど。
朝食が終わってからユーとミーをアーリンドル王国の首都フェリクスに送った。
王宮の裏にある森林で子供達だけのキャンプをする季節になった。
春夏秋の年3回やってる王族の王位継承者の順位がついてる子供達だけの行事。
王宮の私塾にユーとミーは参加していた流れがあり特別招待枠で毎回参加してる。
始めのうちは俺が主催者となってキャンプのあれこれを教えていたが、3回やって1年もたつと子供達が自主的に動き始めて俺の出番はなくなり終了。
今は子供達だけで遊んで日々のストレスを発散する行事になり大人は全て追い出されてる。
まぁ、恋だの何だの楽しくなってくる年齢だからユーもミーも個別で色々とやってるみたいだな。
毎年このキャンプの時期になると楽しみにしてるから。
逆に大人達は男は男同士、女は女同士で別れて遊ぶイベントになってる。
今回は男は俺以外は全て占領軍として進軍してる。
俺だけで遊ぶ三日間。
何をしようか……変装して遊びにいくか。
まずは耳を普通にして自身の能力を制限する為の魔道具を装備した。
俺が作ったネックレス型の魔道具で体格は変えないが、周囲の鑑定魔法や鑑定用の魔道具を誤魔化す専用の魔道具。
ラーフィーやミクリーと遊ぶためにアーリンドル王国の公式鑑定用の魔道具も騙せたのは確認済み。
この鑑定用の魔道具は世界共通なのでどこの国でも誤魔化す事が可能。
ハイエルフ用の服は脱いで簡易な皮鎧を装備した。
ブーツも皮鎧と同じ皮で作ったので色も焦げ茶色でありきたりな皮鎧。
《ホープラーは『簡易な』とか『ありきたりな』とかの皮鎧&ブーツと思ってるが龍の森の外縁部で拾った恐竜の皮を使用して作製してるので世界的には『非常識な皮鎧&ブーツ』になってる。誤魔化す魔道具を装備してるので周囲にはバレていないだけ。》
冒険者ギルドには登録する事は出来ないけど遊ぶ分にはこれで大丈夫だろう。
出掛ける先はこの大陸に新たに登場してきた国『ラハティカンナス獣人国』に行ってみる事にする。
好景気に沸いてて色々騒がしくなってるようなのでちょっと楽しみ。
皮鎧&ブーツを装備して背中に弓を背負い腰には小太刀。
メイン武器を弓でサブで小太刀と見えるようにしてある。
小太刀はそこそこの業物がアイテムボックスに入っていたのでそれを装備している。
俺の能力は魔道具で制限がかけられてるとはいえ、例えば皆が歩いて移動してるところをハイエルフは超音速で移動できるってぐらいに差がある。
それをどんな魔道具を使って制限しても亜音速位までしか制限出来ない。
なので武器はあっても無くてもあまり変わらないし、冒険者っぽく見せる為だけの装備になってる。
遊ぶ時に邪魔ならアイテムボックスに片付ければいい。
転移魔法でラハティカンナス獣人国の上空に移動。
旧デバッケルフラート教国の首都の政府機関の全部の建物は解体して別の場所に新たな建物を建設中だと噂は聞いてたが……
首都の政府機関の部分はまだまだ全然出来てないね……そろそろ土台が作り終わるかな? って感じ。
民間の都市としては改装がほとんどらしくて、既に一般市民の生活は始まってるようだね。
店もそのまま利用してる店も多く、売り物も数多く並べてありなかなか盛況な店も多い。
野菜・果物・鮮魚が多いけど精肉は魔獣の肉がほとんどで牛や豚などの酪農系の肉はまだ数が少なく見える。
門から入るとステータスカードでハイエルフだとバレちゃうから建物の隙間からスルッと出て周囲に溶け込む事に成功した。
精肉店の前から眺めるとオークやミノタウロスやエミュー魔獣やダチョウ魔獣等々、魔獣の肉がところ狭しと並べてある。
金額はそこそこ。
この国は平原や川が多く森林や山はそれほど多くない。
せいぜいが丘しかない。
だけどその森林や丘が魔獣の巣になってて冒険者が大活躍してると聞いてる。
俺は冒険者っぽいだけなんで何もしない。
冒険者ギルドの前を通ったけど、午前9時を過ぎたこの時間は誰もいなくて閑散としていた。
ヤカラみたいなヤツに絡まれるというテンプレもなく……
って考えていたからなのか、前を歩く人の頭上に植木鉢か降ってくるという王道のテンプレが発生する。
キャーって叫び声が上から降ってくるが、慌てず騒がず前を歩く女性の頭の上でキャッチ。
一緒に落ちてきた土も草花も植木鉢に入れて元々植えられた植木鉢に戻した。
キャーキャー五月蝿いオバサンがドタドタ降りてきたので植木鉢を渡して終わらせる。
しかしながらいつもこのテンプレを見る度に思ってたけど、落としたオバサンってめちゃくちゃ騒がしいよな。
落とされた方より落とした方が五月蝿いってのも含めてのテンプレだな。
俺の後ろを歩いていたオッサンと騒がしいオバサンが呆然とするなか、放置してさっさと歩き出す。
絡まれると余計騒がしくなるし面倒くさくなる予感しかしない。
道の反対側になかなか良さげな喫茶店があったのでスルッと入った。
冒険者が皮鎧程度の装備をしたまま入れるように1つ1つのテーブルやシートが大きめに区画されているのでありがたい店だな。
周りのテーブルを見ると夏のこの時期はアイスコーヒーがグラスではなく、ビールジョッキぐらいのデカイジョッキに入って出てきてる。
俺もテーブルの上にある手書きのメニューを見て確認してから、アイスコーヒーの大ジョッキとトーストを頼んだ。
隣のテーブルにいた若奥様みたいな女性が俺の頼んだメニューを聞いて『え? マジ?』って顔をしたのが印象的だった。
出てきたモノを見て若奥様の表情に納得。
トーストは普通のサイズなんだけど、アイスコーヒーの大ジョッキとは居酒屋の『メガサイズ』だったから。
ついでにソフトボールサイズのアイスクリームがオマケで付いてきたのが……2度目のビックリ。
これはヘビーだわ。
笑えるけどな。
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