第39話
調子に乗って話をアップしすぎて話のストックが切れてしまいました。
頑張って書いていきますので気長にお待ちくださいませ。
よろしくお願いいたします。
・・・ミー視点・・・
ユーと一緒にお兄さんからお願い事をされたのは10才の春が過ぎようとしてる頃。
『ラーフィーさんとミクリーさんとグレタさんのバイコーン捕獲を手伝ってあげて。俺は近寄れないからお願いな。』
任せて! ってユーとハイタッチした。
お兄さんは私達の恩人で家族。
家族からのお願いは全力で応えよう! ってのがお兄さんから教えてもらった事だから、やっと実践できる! ってユーとテンションマックスになった。
お兄さんからいくつかの説明を受けて勉強する。
ラーフィーさんとミクリーさんとグレタさん、それでユーと私の5人で龍の森の北側の大草原までお兄さんに魔法で送ってもらった。
ついでにエイス達まで付いてきた。
お兄さんからの念話が飛んできてボディーガード代わりにラーフィーさん達3人に付けたからと言われた。
お兄さんは大草原の魔獣にはとことん恐れられてるから気付いてないけど、私とユーは逃げられたりはしないけども結構怖がられてるんだよね。
ユーと2人で大草原で訓練してる時に気付いたけど、ガシッて捕まえると暴れたりしないで絶望した表情をして大人しくなる。
あまりの表情になんか罪悪感に襲われる。
たぶん、お兄さんの気配を私とユーから感じてるんだろう。
気配を消せば近づけるけど私たちの服や靴はお兄さんの手作りしか着てないから、それを感じて絶望してるんだと思ってる。
優しい私は怖がられてたりはしないはず。
ユーは怖がられてるけど。
大草原に到着したらすぐにラーフィーさんから聞かれた。
「ミー、それでどうやって捕獲するかホープラーから聞いてるか?」
「お兄さんが言ってたのは……自分の生命の波長が合うバイコーンが必ずいるから、まずはラーフィーさん達と波長が合うバイコーンを探す事から始めないと。」
「探すのか? このだだっ広い大草原の中を?」
「お兄さんは何となく、自分もバイコーンもお互いに感じ合って引かれ合うんだってさ。方角もこっちだってわかるみたいだよ。何か感じない?」
「そういえば、さっきからこっちに行きたいっていう不思議な感覚があるよ。」
ラーフィーさんの話にミクリーさんとグレタさんも頷いている。
何か感じるようだ。
3人がそれぞれの方角へ歩き出した。
ボディーガードのペット達もそれぞれ別れてついていく。
ラーフィーさんにはライチが。
ミクリーさんとエイス。
グレタさんとフーロー。
私とユーは何も感じない。
お兄さんから何か感じたら連れて帰ってきても良いよと言われたけど、ユーも私も何も感じなかった。
まぁ、何回もきてる場所だしね。
感じてるなら最初にきた時に一緒にいたお兄さんに聞いてるだろうし。
ユーと2人で残された。
収納袋に入れてある卓袱台とシートを取り出す。
卓袱台の上に大きなグラスに麦茶をそそいだ。
ユーはアイスコーヒーのブラック。
違いのわかる大人になると、意味がわからない事を言ってめちゃめちゃ無理して飲んでる。
たぶん、途中から諦めて砂糖とミルクをたっぷり入れるはず。
背中にいるスラミーにもたれて両手両足を伸ばす。
全く同じ事をユーもしてた。
ここ最近は訓練で忙しくしててのんびりする時間がなかったので久しぶりの全休。
大草原を駆け抜ける風が草の香りと共に鼻腔をくすぐる。
日差しが強くなってきたので土魔法で支柱を4本立てて大きな布で屋根を張り、タープテントにして日陰をつくったら風は抜けていくのでちょうど良い感じになった。
ユーと2人でうとうとしてるとグレタさんがバイコーンに乗って帰ってきた。
真っ黒で2本の白い角のバイコーン。
鞍や鐙を既に装着してるのでビックリした。
「ん? ミー、どうしたの?」
「もう既に鞍と鐙がつけてるからビックリしてるのよ。」
「ホープラーからもらってたのよ。流石のハイエルフ。少しだけ調整したらピッタリよ。」
「お兄さんからもらっての?」
「昨日、領主の館の執務室に転送されてきたわよ。でも、この装具からハイエルフの痕跡を感じたのか……これを装着したら私に絶対服従になってるのよ。」
「プププっ」
「これなら鞭も要らないわね。」
確かに微動だにしないでキリッて背筋をただしてる雰囲気がある。
おどおどしてる感じはしないけど。
バイコーンの角が普通じゃないね。
真っ白で真珠みたいな艶がある。
亜種なのかも。
「この子の角、変わってるね。」
「そうなのよ。なんか真珠というか……宝石っぽいのよね。」
「お兄さんに聞けば鑑定してくれると思うけど……」
「ホープラーが来たら全力で逃走するかもね。」
「間違いない。」
グレタさんと笑ってたらユーが目覚めた。
ユーが目覚めたのでお座りして退屈してたフーローがユーの顔面を舐めまくる。
ユーがそのままフーローをワシャワシャ撫でてモフモフを堪能。
ユーがフーローの首にぶら下がると、フーローが勢いよくユーを空中に放り投げる。
ユーは空中で体勢を整えてフーローの背中に乗った。
ユーを乗せたらフーローは空中をダッシュして駆け回ったと思ったらどこかに行ってしまった。
あれは楽しいんだよね。
お兄さんは『ロデオ』って言ってたけど
よく分からない。
グレタさんはバイコーンから降りて鞍や鐙を外した。
収納袋から樽と大きなタライを出して樽から水をタライに注ぎ入れバイコーンに飲ませる。
鞍と鐙を外したバイコーンはリラックスした表情になり、ゴクゴクとお水を美味しそうに飲み始める。
よほど緊張していたのかなかなか止まらないわね。
その頃になってミクリーさんがエイスと共に帰ってきた。
真っ白なバイコーンで青白い角。
お兄さんの言う通り見栄えが良いね。
パレードでも映えると納得できるよ。
「お待たせ。いやぁー、苦労したよ。途中で何回かスレイプニルの群れに襲われそうになったけど、エイスが影から姿を現して唸ったら一目散に逃げ出してねぇ、エイスありがとう。」
「襲われた? ってエイスは影の中に隠れてたのね。それなら納得だわ。」
私とミクリーさんがエイスの頭を撫でるとゴロゴロと喉を鳴らす。
フーローに乗ったユーが帰ってきたら2頭のバイコーンが少しだけビクッとしたけど、まだ慣れてないだけだろうから問題はなさそう。
ミクリーさんもバイコーンに装着してあった鐙と鞍を外した。
ミクリーさんが連れてきたバイコーンもリラックスして、グレタさんが連れてきたバイコーンの隣に行ってタライに顔を突っ込んで水を飲み始めた。
「そういえば……グレタさんとミクリーさんはバイコーンに何て名前をつけたの?」
「私は『ブラックパール』って名付けたよ。我が家の家系では騎乗の馬に宝石の名前をつける習慣があるのよ。この子の馬体と角にピッタリの名前になったわ。」
「確かに凄い角だな。俺は『セラフィーナ』女の子だしな。名前の由来は別に無いよ。セラフィーナの顔を見て思い付いただけの直感だ。」
「両方とも聞けば確かにしっくりくる名前。ミーと俺はスライムにしか名前をつけたこと無いからよく分からないけど……名付けって難しいよな。」
ユーが1人でしみじみと語って腕を組んで頷いているけど……気持ちはわかる。
思わず私も同じように腕を組んで頷いてしまった。
ラーフィーさんが帰ってきたのはそれから時間がかなりたって日が傾き始めた頃だった。
なかなか時間がかかっていたので探しにいくべきか皆で相談中にフーローが遠吠えしだしたので、目を凝らして見ると何かが走ってきてたので帰ってくるのがわかった。
ラーフィーさんが連れてきたバイコーンは真っ白な馬体に燃えるように赤い角。
これは亜種じゃない。
……変異種かな?
この大草原には何度も訪れてるけど初めて見た角の色を持つバイコーン。
体格も少しガッシリしてて一回り大きくて立派な馬体。
「ラーフィーさん、お疲れさま。」
「いやぁー、待たせたね。進んでも進んでもなかなか巡り会えなくてな。スレイプニルの群れはたまに突っ掛かってくるのでライチがその度に怒って雷飛ばして脅していたし。……あいつらホントしつけーな。疲れたから少し休憩を挟んだりしてたらこんな時間になってたよ。」
「しかし……ラーフィーも頑張った甲斐があって立派なバイコーンだな。名前はつけたのか?」
「鞍と鐙をつけながら考えたんだけど……シェリルにしたよ。」
「ちょ、おま、それって初恋……」
「おーいミクリー、黙れぇー!」
お兄さんもユーに言ってたね。
男にとって初恋相手は特別な存在なんだってね。
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