第38話
エイスは影水虎という魔獣。
闇魔法と水魔法をある程度使いこなせる。
俺とリッチさんの英才教育の成果で、より強力な混合魔法も使えるようになり同種族の中では飛び抜けた存在になってる。
俺に頭を擦り付けて甘えるし、俺が寝てると猫のようにフミフミまでしてくる。
1才を越えたら大きさが自由に変えられるようになったので、俺に甘えたい時は子供の時のように小さくなってじゃれついてくる。
寝る時も小さくなって俺や双子の布団の中に潜り込んでいるようだが、朝になる前に布団から出ていってしまうので見たこと無いツンデレさんだ。
フーローは炎風狼という種族。
自身の身体を炎で纏い風魔法で空を駆ける事が出来るが、魔法を飛ばして遠距離攻撃は出来ない種族だったんだが……
フーローも俺とリッチさんの英才教育の成果で炎の矢や風の刃など初期段階の遠距離魔法攻撃ぐらいなら100メートル以上は飛ばせるようになった。
顔の前からだけでなく前足や後ろ足、尻尾の先からも魔法が飛ばせるように訓練したので、攻撃の幅は大きく広がっている。
フーローも1才を越えてから身体の大きさを変えられるようになった。
成体は戦いバージョンの時で俺に甘えたい時は子供の頃のように小さくなって甘えてくる。
小さかった子供の頃のように布団で一緒に寝たかったみたいで、小さくなって俺や双子の布団の中に潜り込んでくる。
大きいままのフーローをクッションにしてもたれて寝てると、スラリンが俺の胸の上に上ってきてプルプルしてるので抗議されてるかもしれない。
俺はプルプルする振動がかえって居心地良くてスラリンを抱き締めたまま熟睡してしまうけど。
ライチは雷閻鳥という種族。
雷の化身と呼ばれるだけあって自分自身を雷に変化させられる、物理攻撃を無効にすることが出来る。
まるで瞬く雷のように連続で瞬間移動する事もできる。
英才教育はライチにも効果があって雷魔法で遠距離攻撃出来るだけでなく、相当な高さまで電圧をあげることが出来るようになってて、龍の森の魔獣や外縁部の恐竜までなら瞬殺できる。
ただ……中心部にいる恐竜は全く効かないみたいだな。
ライチのマックスまで電圧をあげても、静電気でピリッとしたぐらいにしか感じてない。
……あいつら魔法がほとんど効いてない。
ワニ革みたいな皮膚で魔法をほぼ無効化してるようだ。
俺がグレタのラウンドシールドを龍の森の中心部……俺の住処の近くで拾った恐竜の皮を使って加工して作ったと言った時に、魔法抵抗力が強烈過ぎて世界中の職人がほとんど加工出来ないから諦めてるとグレタが言ってた。
加工出来ないから破片を組み合わせてそのまま貼ったりするしか出来ないらしい。
切るだけでも一苦労だから。
ライチは結構早い段階から身体の大きさを変えられるようになってた。
今は身体の大きさを変える事に慣れてきてるので雛まで戻る事が出来るようになってる。
雛まで戻ってから俺や双子の枕元に潜り込んで眠ってるが、起きる頃には顔の上で寝てる事が多いので冬場は大歓迎だが夏場は勘弁して欲しい。
毎朝の散歩の時は2頭と1羽は大きい成体の状態で遊んでる。
エイスはボール遊びが大好き。
エイスが大きくなったのでドッチボールより少し大きいボールになったが、俺が投げると凄い勢いで追いかけてしばらく前足で叩いて遊んでる。
ハッと我にかえってからボールを咥えて俺の前に持ってくる。
フーローはフリスビー遊びに情熱と身体を燃やしてる。
俺がフリスビーを投げると自身の身体を燃え上がらせて空中を走って追いかける。
走った足跡が何秒か燃えてるのでタイムスリップしそうだなと俺だけが笑ってる。
フーローはフリスビーを空中でキャッチすると一目散に俺の元に戻ってくるので一番回数が多い。
ライチは自分が拾ってくる枝で遊ぶ。
投げると自分自身の身体を雷に変えてあっという間に空中でキャッチ。
ただ……俺の元に戻ってくる時に足に掴んでる枝を木や枝に当てて落としてまた拾いに戻ったりしてるので戻ってくるのは一番遅い。
自分自身は雷に身体を変化させて木や枝に当たらずに戻ろうとしてるが、足で掴んでいる枝はそのままなので毎回のように木や枝に当てて落としてる。
最近はボケでわざとやってるかと思ってる。
普段から俺の近くじゃない時は木や枝を避けてるから。
ただ、俺に近い時は自分は雷になって木や枝に当たらずに飛ぶことが出来ますよとアピールしたいだけなのかも知れない。
判断に迷うな。
朝の散歩を終えると住処に戻る。
今朝はグレタは来ていない。
というか、ここしばらく俺の住処には顔を出してない。
グレタは手勢を引き連れて元デバッケルフラート教国進行戦に途中から参加したからだ。
敵国の人間が一切存在しない場所とはいえ、川の北側の草原に魔獣はいるのでメインの敵は魔獣だけの進行戦。
この進行戦をする前にラーフィー国王とミクリー宰相の2人にお願いされた事があった。
『龍の森の北側の草原にいる見栄えの良いスレイプニルかバイコーンが欲しい』
という相談を受けた。
彼らも参加する必要があるのでその時に新たな馬系魔獣で出陣したいんだと。
スレイプニルだと足が8本あってバカデカイから見栄えは良いが動きはそこまで早くないし、直線を走るにはそこそこのスピードで走る事が出来るが全く小回りがきかない。
『小回り? なにそれ? 美味しいの?』
ってぐらい。
ただ……凱旋パレードの時の見栄えは抜群。
やたらとデカイしな。
スピードではなくパワー系魔獣。
バイコーンはメスなら真っ白な個体も多いので見栄えは良い。
馬とそれほど変わらない大きさなのでパレードでも映える。
動きはスレイプニルとは比べたら失礼なぐらい俊敏で山岳部や砂漠ですら駆け抜ける事が可能。
ただし……バイコーンのオスとメスの両方の頭部には、巨大な角が2本生えてるので武器を振り回す時は邪魔になって取り扱い注意となる。
それにバイコーンは異性しか騎乗者として認めない習性がある。
騎乗者が男ならメスで女ならオス。
例外はない。
しかもめちゃくちゃ焼きもち焼きだ。
違う魔獣や馬に乗ってたりした匂いを感知しようものなら、めちゃくちゃ拗ねてしばらくは一切言うことを聞かなくなる。
少々面倒な異性って感じ。
バイコーンに騎乗するにはそのバイコーン以外の騎乗は出来なくなるレベル。
聞かれてないがついでに言うと……
龍の森の北側の草原にはペガサスもいる。
ただペガサスは軍事利用となると、通信兵と偵察兵の足としてしか利用しにくい。
めちゃくちゃ臆病過ぎてパレードですら訓練に訓練を重ねないと使い物にならないほど臆病。
という説明をした。
この程度の知識なら俺の輪廻転生で得た知識にもある。
ラーフィーとミクリーはバイコーンの白いメスを選択。
進行戦に参加決定しているグレタもバイコーンの黒いオスを希望してた。
騎乗する魔獣は……戦場での立ち位置によって種類は選んだ方が良い。
最前線で騎乗して突撃をするならスレイプニルが一番良い。
横並びにして後ろに戦車を付けて魔法兵を複数乗せて一斉に突撃すれば迫力と威力は凄まじく目を見張るものがある。
後方で作戦指揮してたり遊撃軍の所属ならバイコーンの方が退却戦や撹乱で優位になれる。
山だろうが崖だろうが砂漠だろうがバイコーンの持つ脅威のスピードとスタミナで退却しながら敵の横っ面に回り込んで撹乱する事も可能。
鹿も四つ足なら馬も四つ足って訳ではないが……
攻撃場所を選ばず敵の予想外の場所から回り込める。
それは逃走する際にも遺憾なく発揮できる。
大将クラスだとバイコーン一択だな。
道を選ばない最短距離のコースで逃走できるし武器を振るう立場ではないからバイコーンの角は森林での逃走時に枝避けとして最適。
今後を考えても敵国は旧デバッケルフラート帝国のみだし、スレイプニルを並べて突撃しなきゃならない場面はなさそうだしね。
ただ、大問題が1つ残ってて……
俺はバイコーン捕獲に参加できないんだよな。
めちゃくちゃ恐れられてる。
直線距離で12キロメートルも距離をおかれるぐらいに恐れられてる。
近寄れない。
俺は携われないからユーとミーの双子に頼むしかない。
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