第30話
グレタは朝食後にもはや日課となるモフモフを堪能してから出勤。
領主の館の執事室に直接転送魔法で送る。
通勤時間の分までモフモフを堪能出来るので喜んでいる。
今日は何の予定もないので龍の森の北側にある岩山に向かった。
ここら辺は冬場は寒くて雪が積もり、山頂は5千メートルクラスの山。
だから夏場の3ヶ月ほどしか探索出来ないから今まで何も手付かずで放置してた。
俺と一緒に双子も頑張って登ってる。
エイス達は流石に無理なので魔法で浮かせてる。
双子もバテるまでは一緒に登ってるけど、バテたら魔法で浮かせての登山。
また登りたいとリクエストされたら一緒に登るのを繰り返す事にした。
空気が薄くなる前に結界で全員を包む。
3時間程で双子は浮かせた。
千メートルは越えたが世界樹はまだ上が見えない。
2千メートル辺りになって岩山に住む恐竜とワイバーンの姿が見えなくなった。
昼食は登りながらサンドイッチを頬張る。
ユー達は蔦を20平方メートルぐらいのシート状に広げたら、そこで昼食を食べた後に昼寝してる。
まだまだ山頂には程遠いし、一番低い世界樹の天辺すら見えてない。
相変わらずデカい。
天を支えてると表現される事もあるのも理解できる。
ユーとミーも何回か登山したが今は岩が大きすぎて諦めて蔦のシートの上で魔法の練習で瞑想してる。
陽も傾いてきたので今日の登山は終わり。
住処に帰還。
今日はカツ丼で簡単に済ませて風呂も入らずにクリーン魔法で済ませた。
翌朝の散歩は生憎の小雨。
なので散歩の出発時間は遅くて歩く時間も短め。
それでも楽しそうに歩いてはしゃぐ2匹と1羽に癒される。
龍の森の住処には広範囲に渡り雨が入らない結界がある。
結界は住処よりもかなり広い。
全部のスライム池には結界に降ってきた雨が転送されて循環される。
スライム池の餌やりの日課を終えて住処に戻るとグレタは寛いでた。
今日はアニーと一緒にやってきてる。
今日の朝食はアニーとグレタの希望で和風になった。
ご飯とお味噌汁、キュウリと茄子の浅漬け。
塩鮭に味付け海苔で生卵。
アニーも卵かけご飯にハマってきてる。
最後に卵かけご飯を掻き込む時以外は、マナーは良くないが会話は止まらない。
塩鮭は俺は好きだかあまり評判はよろしくない。
減塩のシャケの方が良いらしい。
俺は塩っからい塩鮭を白米と一緒に食べるのが好きなんだけどな。
塩サバは評判良かっただけになんか悔しい。
グレタはイカの一夜干しが大好物なんだと。
初めて見た時はなんじゃこりゃって思ったらしいが、あまりの美味しさに絶句してた。
ユーとミーは何でも美味しそうに食べる。
好き嫌いなんて一切ないんじゃないかと思うぐらいに美味しそうに食べる。
もずくの酢の物も平気だしクジラのベーコン、イカの塩辛も平気で食べてた。
今のところ苦手と言った食べ物はない。
無理しないでいいよと言ってあるが、こりゃダメかなって顔で食べてる所を見た事ない。
食後はいつものようにモフモフしてグレタは出勤。
アニーはグレタをジャリストンに送った後に別の場所に用事があるようだ。
双子は今日はリッチさんから午前中は歴史の勉強の時間。
昼からはダンジョンで個別の訓練。
エイス・フーロー・ライチは双子とともにダンジョンに行き浅い層で2匹と1羽が協力して戦う練習。
リッチさんがまとめて面倒見てくれる事になった。
リッチさんの管理するダンジョンに余ってたオークや森林狼の身体を吸収させたし、龍の森で生存競争に破れて残されてた恐竜の死体も吸収させるとダンジョンのレベルが上がり、さらに広くなったとダンジョンコアに喜んで貰えた。
リッチさんはそういった事を一切してこなかったので、ダンジョンのレベルが上がるって事を知らなかったと驚いてた。
俺とダンジョンコアはダンジョンマスターがそんな事も知らない事に逆に驚いたけど。
とはいえリッチさんの恐竜の死体集め散歩が増えただけでダンジョンにあまりいない事は変わらなかったりするが。
俺はリッチさんに皆を任せてから昨日の続きからの登山。
ハイエルフの体力に任せての強引な登山なのでピョンピョン跳んで登ってる。
雨雲の上にいるので天気は最高。
時々する休憩の時間は座りやすそうな椅子ぐらいの大きさの岩に座り周囲を眺めがらのコーヒーは美味しい。
龍王によるとこの岩山は『龍の岩山』と呼ばれてて名前の通り龍の森の一部。
龍の岩山よりも北側にも龍の森は続いている。
それよりさらに北側には広大な草原があり馬型の魔獣が数多く住んでいる。
その北側に巨大な湖があって北側にある草原の国と分けられている。
そっちは行った事のない国なので俺は知らない。
アニーによると草原の国は部族毎に別れて生活してるし、生活習慣が部族毎に違い争い事が多く国と言ってもほとんどまとまってないようだ。
他国から侵略を受けた時だけ全ての部族が一致団結して敵を排除するが、侵略が終わるとまたバラバラになって争い出す変な国らしいと言われた。
国としての名前もなくただ草原の国と呼ばれてる。
龍の森との境目にある草原まで船で渡り、その草原で強力な馬の魔獣に気に入られて連れ帰ると英雄になれるって習慣があり、スレイプニル、バイコーン、ペガサス等々色々いる。
ユニコーンだけは女にしか懐かないはずなんだが、男の娘について行くユニコーンもいるので一概には言えない。
私もよく分からないとアニーに言われた。
部族によって違いはあるが様々な若者が成人の儀式として取り入れたりしてる部族もある。
ただ……ハイエルフには絶対に懐かない。
むちゃくちゃ恐れられてるらしい。
馬系の魔獣は頭が良く人を小馬鹿にしてるヤツが多くいて、調子に乗ってた全ての馬系の魔獣が何万年か昔に1人のハイエルフにバキバキにシメられた事があって……馬系魔獣の中に恐怖の伝説と共に語り継がれているんだと。
だからハイエルフの気配を感じると逃げ惑ってパニックになる種族もいるらしい。
スレイプニルには特に怖がられてるとアニーが笑ってた。
たぶんむちゃくちゃシメられたんだろうと。
そんな事を思い出し、ニヤニヤと笑いながら登山を続ける。
日が沈む前には山頂にたどり着いた。
一番高さの低い世界樹の天辺がようやく見えた。
世界樹の下になぜ日陰がないのかようやく理解できた。
下からは葉っぱが生い茂っているように見えてたが実際は違った。
ほとんど透明だった。
うっすら木の葉っぱの形が見えるだけで透明。
魔素が流れていってるのがわかる。
上空に集まっている汚れた魔素……魔法等を使うと魔素は少しずつ汚れている。
それが上空に集まり世界樹に吸収されて浄化している。
太陽の光の力を使い、光合成のように魔素を浄化して枝から幹へと集められ地面の下まで流されて龍脈へと続いているのか。
浄化してる色が葉っぱに見えてるだけ。
これは新発見だな。
山頂から眺める沈む太陽は雄大だ。
龍の岩山の西はアーリンドル王国。
雲がはってて雲しか見えないが、雲に沈んで行く夕陽を見て登って良かったと思った。
世界樹の真実といい、ここでしか見れない景色だからね。
太陽が沈みきったら住処に帰る。
今日はグレタをアニーが連れてきてるのでリッチさんは遠慮して住処にやってこなかった。
ユー・ミー・エイス・フーロー・ライチの全員を転送魔法で送ってくれただけみたい。
グレタはまだ弱いのでリッチさんに魂を吸われてしまう可能性が高い。
アニーがいるので結界を張って貰えば大丈夫なんだが、まだ早いだろうとリッチさんの方が遠慮してるようだ。
アニーが確認の為にリッチさんに念話魔法で聞いたら遠慮しちゃったらしい。
まぁ、時間が無いわけでもないし徐々にで良いだろう。
俺もリッチさんに念話で謝っておいた。
アニーとグレタが住処にきた理由は、明日の日の出を龍の岩山の山頂から一緒に眺めようって俺の誘いにのったから。
なので今日はアニーもグレタも俺の住処に泊まる。
食後は俺、アニー、グレタの3人で酒を呑むが登山で疲れていたせいもあり俺と双子はそうそうに眠る。
《日本ではお酒は二十歳になってから。》
俺がうとうとしかけるとアニーとグレタはガールズトークになっていったようだが、結界で声が聞こえなくなったのでよくわからない。
起床は4時前。
山頂からの日の出予定時刻は4時18分なので皆で転移。
今日は天気が良く5千メートル級の岩山なので、まだ暗いしうっすらとしか見えない。
少しずつ明るくなり風景が色づいてくる。
そんなに凹凸は感じないので平面に精巧に描かれた地図のように見える。
太陽の光が水平線を越えて日が昇りはじめると町や道が輝き光りはじめた。
誰も声を出さない。
感動の時間だった。
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