第21話
《あるわよ。妖精ってイタズラ好きって位なら可愛げあるけどシャレにならないヤツって本当にシャレになってないからね。迷惑の規模で封印期間が延びるのよ。急にそんな事聞いて……何かあった?》
《あったってより、……今、封印水晶の目の前にいる。トルベッケトラース通商衛星国の国境の町コンセプシオンの領主の館の地下にある封印の間。》
《あぁー、あのバカね。今から行くわ。》
目の前にアニーが転移魔法でやってきた。
エプロンしてるんで料理中だったみたい。
「「アニーさん、おはよう!」」
「はい、おはよう。」
目の前に現れたアニーに元気にハモって挨拶する双子。
ニコニコの笑顔で返事をして頭を撫でるアニー。
「ユーとミー、ごめんね急に。私は今からこの水晶とお話があるからちょっと待っててね。」
「「ん? わかった!」」
聞き分けよく離れていく双子。
少し離れた場所で武器を取り出して、シャドーボクシングのように敵を設定してイメージトレーニングをしながら動き始める。
俺とアニーと妖精は思念で会話する。
【何よあんた、まだ反省したりないの?】
【反省してるわよ。それよりいつまで封印するのよ! もう1500年は過ぎてるでしょ! 私は千年封印刑のはずよ!】
【うるさいわね。デカい声だして】
【確かにうるさい。頭がキーンってなった。】
【それはごめんなさい。でも早く出して!】
【あのさぁ、あんたは1500年の封印刑なのよ】
【それでも過ぎてるじゃない、早く出して!】
【龍の森で行われた古龍の世界長老会議であんたの刑は1500年と決まった。それは最低限の期間なの。それからは反省してるかどうか、また古龍の世界長老会議で審議されて決まるのよ。会議が終わってないのに私がどうにかできるわけないじゃない。】
【なんでよ。早く会議してよ。】
【知らないわよ。そもそも反省の色すら見えないあんたが出れるわけないじゃない。言っとくけどね、あんたより前に封印された妖精で解放されたヤツなんてみたことないの。もうずーっと数万年も封印されてるの。】
【…………え?】
【妖精で本気で反省するヤツなんて見たことない。だから永遠に封印される。噂を聞いた事ないの?】
【……噂、聞いたことある。……本当に?】
【じゃ封印から解放された妖精にあったことあるの?】
【ない。ない。ない。嘘!】
【そもそもあんたのせいでどれだけの人が死んだの? しかも反省してない。】
その後はアニーが一方的に叱ってた。
大説教。
妖精は水晶の中で正座している。
アニーと氷龍と水龍が滅ぼした超大国。
ハイエルフの恐怖をみんな知ってるはずなのに、なぜ無謀な侵略戦争を引き起こしたのか……この妖精が裏でイタズラしまくったから。
本来なら誘拐事件を起こした犯人グループ全員が自決で終わり。
そのはずだったが、この妖精が犯人グループの親族の悔しい気持ちを煽り、更には欲望の強い貴族を唆して味方につけてと裏でむちゃくちゃな事をしていた。
それが原因で超大国は消滅。
三千万人以上の死者を出した大惨事を引き起こした。
アニーは超大国の首都を滅ぼした後に霊峰山の森に帰って燃やされた森を修復する作業へ。
氷龍と水龍は全世界で暴れまわって霊峰山の森に帰る。
アニーは龍の森に連絡しに行く前に、どこかに妖精が隠れてるんじゃないかと焼け野原になった首都を探し回っていた。
首都の地下深くにこの妖精が結界を張って隠れてる所を発見して水晶に封印。
龍の森に連れていった。
森の会議には妖精王も現れて謝罪。
その後の裁判で妖精は様々な刑が執行される。
まずは名前剥奪。
他にも色々あるが最後に1500年の封印刑となった。
それで反省の色が見えないなら解放なんて無理だわな。
しかし……
アニーによれば反省なんて関係ないようだった。
妖精はどこからも生まれる。
消滅しても生まれ変わる。
その妖精の輪廻転生を封印して止めるのが封印刑。
だから解放なんて永遠にされない。
……エグい刑だな。
遥か昔にはもっと妖精がイタズラしまくって森と世界を何度も何度も衝突させて文明が消滅していた。
妖精も捕まって消滅させられる。
しかしながら妖精がイタズラを止めないので妖精の輪廻転生を全て止めようと世界中の妖精を捕獲して封印した時代があったらしい。
妖精王も何もかも全て封印されたら、イタズラがなくなり世界中で戦争も数が減り少なくなった。
無くなるまでいかないのが人族らしい。
犯罪も劇的に減り平和な時代が訪れた。
そうしたら祝杯をあげる龍王と古龍の長老達の前に『管理者』が現れた。
【流石に全ての妖精を封印するのはやめて欲しい。】
「そうは言われてもね。しかしながら世界は平和になったんだ……何か問題でも?」
【全部の妖精を封印されると魔素の流れがより複雑になる。システム的に違う流れになるから勘弁して欲しいんだけど。】
「じゃあ、世界中に住む生物を滅ぼす為に世界を原始の森で埋め尽くす。それなら妖精は何も出来ない。」
【無茶言わないでよ。】
「こちらも譲歩するつもりはない。妖精を止める気もないならな。妖精を止めるか、世界の生物を止めるか。」
【そんな二択はやめてよ。】
「じゃあ、妖精の輪廻転生を止めてくれ。そうすれば次から次へと消滅させてすぐに終わる簡単な話だ。」
【それこそ無茶だよ。簡単には出来ないから無理だ。】
「あれも無理これも無理でなくて、そっちからこちらが納得できる答えを出してくれ。」
【うーん、そうなると……うーん。いや、無理だね。でも、こっちなら……いや、そうだ。問題を起こした妖精だけ封印にして欲しい。それならシステムには影響ない。】
「今まで問題を起こした妖精は永遠に封印から解放するつもりは一切ない。それに今まで全て放置し続けた妖精王も同罪。解放するのはそれ以外の妖精のみ。」
【もちろんそれで構わない。】
「更には今後妖精を審議する裁判権をもらう。」
【それも当たり前な話だね。もちろんそれで構わない。】
「最後に……今後の話だな。表向きの刑は裁判で決めるが一切解放はしない。消滅もさせない。永遠に放置する。封印刑が終った後に罪を犯した妖精に永遠に解放しないと言い渡す。罪を犯した妖精を永遠に贖罪させる刑だな」
【うーん、それも仕方がない。しかしながら、解放された妖精の中から1番強い妖精が妖精王になるのでそれは勘弁してもらいたい。】
「わかった。それは了承した。」
なんていう神々の話し合いがあったようだ。
それは俺も初耳だわ。
妖精に擁護は出来ないしな。
イタズラ位に済まない罪だからな。
アニーは最後に妖精に告げる。
【今、私が言ったように貴方は永遠に解放されない。あなたが心から反省すれば妖精の輪廻転生の輪から外れて消滅できるかも知れない。けどね、あなたはこれから思念も飛ばせなくなるし、ハイエルフからも誰にも見えなくなる。全てから隔絶される。あなたが今後どうなるのか誰も知らないの。それがあなたの犯した罪。】
妖精が泣き叫んでいた声も泣きながら水晶の壁を叩いていた姿もアニーの封印で消えた。
その後でアニーは転送魔法で水晶をどこかに送る。
めちゃくちゃヘビーな気分だわ。
いたたまれない気分だわ。
「「話し合いは終ったの? 水晶どっか行っちゃった。」」
「うん。終ったわ。あの水晶はお星さまになるの。」
「「へーー!」」
双子と会話しながらアニーから思念が送られてきた。
【流石に重い話だったかな?】
【いたたまれない気分で心が重いよ。】
【実はこの話は途中から違っていてね……】
アニーの話だと龍王が要求したのは、封印した妖精のみを輪廻転生の輪から外して消滅させられないか? できれば心から反省した妖精のみをって事らしい。
管理者は少しシステムをいじる必要があるが妖精を放置した自分にも責任があるとして承諾した。
そして全てを絶望させてから封印強化。
本当に反省した妖精のみを管理者が消滅させる事にしたらしい。
だからアニーが送ったのは龍王の住処で龍王は管理者が監視する次元の狭間に送るみたい。
ふー、って胸を撫で下ろした。
それなら気分が楽になったわ。
是非とも深く深く反省していただきたい。
「それでホープラーとユーとミーの3人は、こんなとこで何してたの?」
あっ、ヤベェ……領主忘れてたわ。
1時間ぐらい。
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