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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第17話

ユーとミーが疲れ果てて電池が切れたかのようにポテっと寝てしまったので、布団をアイテムボックスから取り出して寝させる。


俺は原始の森での生物の飼い方をアニーから色々と注意を受けた。

アニーは酒を呑み始めたが俺はそのままコーヒーを啜る。

「何か飼いたいのは決まってるの?」

「まずはスライムだね。汚い話で悪いが10年分のゴミがすでに溜まってる。」

「めちゃくちゃ溜め込んでたわね。」

「龍の森中を探しまわってたからな。スライム求めて西へ東へだよ。」

「何よそれ。あの森は原始の森でも特殊だからね。大量のドラゴンが遊びまわってる龍の楽園よ。」

「確かにドラゴンは大量だな。話すと面白いヤツばっかだけどね。」

「ホープラーの周囲にいる恐竜もドラゴンの亜種だから、龍以外の生物はあの森の外縁でしか暮らせない。」

「外縁でも余所から見たらヤバい生き物ばかりなんだけどね。」

「そう、それ。中心部に世界樹が複数生えてるなんて、世界中のどこにもない。龍の森だけ。だからこそという、とても濃い濃度の魔素が漂う神秘の住処ね。」

「龍王も言ってたな。1万年以上生きる古龍は龍の森の世界樹で囲まれたテリトリーの魔素が薄くなるだけでおかしくなってしまうらしい。」

「おかしくなるの?」

「穏やかな心が封印されたかのようになってブチ切れやすくなるんだと。しかしテリトリーの外に出て魔素の薄い場所で活動してても、ブチ切れる事にはならない。穏やかなままなんだよ。例え何年間か過ごしていても。」

「……」

「龍王は『世界樹を守るため、龍脈の魔素を守るため』に作られたシステムじゃないかと言ってたな。」

「えっ……」

「龍の森の世界樹は世界中の世界樹と魔素で繋がってる。これが『龍脈』。龍脈は龍の森が中心になってる。世界中の魔素が濃い場所は『龍脈』によって繋がり維持されてる。魔素が原始の森を育て維持し、そして古龍という守り神を囲ってる。この魔素が世界最強種族の古龍を穏やかにしてる。だから原始の森の魔素が薄れるような行為を受けた時に反撃するシステムが古龍なんじゃないかと龍王は考えてるようだ。」

「確かにそれなら説明がつくね。」

「まぁ、答えを聞いた訳じゃないから、あくまでも私の妄想だと龍王は最後に言ってたけどな。」

「世界樹・龍脈・原始の森・古龍・そして魔素の関係ね。面白いわね。」

「何万年も生きてると自分が何のために生きてるのかとか考えてたら行き着いた先なんだと。答えのない問題だしな。」

「私もホープラーに聞いちゃったから、これからこの問題を考え続けることになるわね。」

「まぁ……俺達は無限の時間を過ごすからな。何万年も過ごしてるとそうなるかもね、」

「龍王の理論だと私達ハイエルフもシステムの一部なのよね?」

「だろうな。原始の森維持と外部との交渉役かな?」

「でもそう考えると、なぜ今まで龍の森にハイエルフはいなかったのか、そして10年前になぜホープラーは生まれてきたのかって、更に疑問になるんじゃない?」

「うん。龍王は俺(ホープラー)には実は隠された何らかの使命があるのかもと……」

「問題が増えたわね。フフフ」

「もて余す時間の楽しい使い方だな。」


そんな雑談を終えて俺は布団で熟睡するユーとミーの双子と5匹のスライムをもらって龍の森に帰ることにする。

「ホープラー最後に楽しい話をありがとう。」

「じゃあ、またなアニー。」

「またね。」


全員を連れて龍の森の俺の住処に転移する。

いつもの枝のベッドにユーとミーを乗せる。

少し歩いた広い空き地にちょっと深めの池を掘って、魔力で作った水で池を満たす。

隣でぽよんぽよんしてたスライム達が池に入っていく。

スライムが入ったのを確認すると池に両手を入れて魔力を水に薄く流し始めた。


スライムはしばらく浮いてたが……何分か経つとフヨフヨ泳ぎ始めたので、水から手を抜く。

これでアニーに聞いた『スライム池の作り方』が完了。

5日は毎日魔力とエサが必須。

後は時々魔力を流し込むか、霊峰山の森の霊峰水を流し込めば維持できる。

最低でも月5回は必要なので、遠出は暫くしない方が良いようだ。

半年かかるが流し続ければ永遠に外敵から襲われなくなるんだと。


毎日魔力とエサを追加すると2ヶ月で完了するらしい。

だけどめちゃくちゃ分裂するのが早くなるから池を広げるか、他の池を作った方が良いらしい。

栄養過多の状態でスライムも少し小さくなるし、そのまま続けるとスライムのスタンピードになる。

アニーには何回か失敗した実験データがあるみたいだな。


餌は何でも良い。

魔力が満タンの魔石を食べさせると、1ヶ月は何も食べなくなるから注意と言われた。

取り敢えず異常種オークの内臓をボトボトっと池に落とすと、5匹のスライムがスーっと泳いできて内臓を体内に取り込んだ。

追加で入れて5匹のスライムに満遍(まんべん)なく行き渡らせた。


これでOK。

後は明日の朝に確認するとして寝よう。


いつもの木の枝ベッドに布団を敷いて寝る。


翌朝確認するとスライムが取り込んだ内臓は半分溶けてた。

意外と早いな。

追加で魔力と内臓を入れる。


5日続けたらスライムは倍の10匹になった。

アニーに言われた通りここから慎重にスライム育成する。


半年経ってスライム池は3つ。

スライムの数はすでに数えてない。

今後は少し離れた場所にスライム池を何個か作ると増えたスライムは勝手にあちこちに移動して、勝手に食べられてしまうから増えすぎて困る事はなくなるんだとさ。


フー、完璧にできた。

後は次に何を飼おうかな。

ユーとミーはスライムを1匹飼ってる。

俺も側を離れなくなったスライムを1匹飼ってる。

池に手を入れて魔力を流してると、流した魔力しか食べなくなる個体が必ず出てくるんだと。

俺と一緒にユーとミーも魔力を流してたのでスライムがそれぞれついてきた。


それはもう自分の側で飼うしかない。

ほっとくと消滅しちゃうらしい。

与えるのは自分の魔力だけになるから、むちゃくちゃ懐くようだ。

確かに歩いてるとぽよんぽよんとついてくるし、走ると慌てて必死になって追いかけてくるから……可愛くてどうしても愛着が湧く。


それで懐いたスライムには仕事ができる。

『枕』

むちゃくちゃ気持ちが良い。

安心安眠枕。

タオルもいらない。

ほんの少しひんやりしてて熟睡出来るので、手放せなくなる。


アニーももちろん飼ってる。


この個体は特殊なスライムに進化してるので大きさも変えられる。

だから小さくしてポケットで持ち運べる。

ついでにめちゃくちゃ長生きするようだ。

飼い主の魔力以外は一切食べないので飼い主の生命と共に消えてく。


だからハイエルフのスライムは死ななくなる。

普通のスライムは長生きしても10年ぐらいなのに、アニーのスライムは2千年以上生きてるらしい。

俺のスライムも永遠に生きる。

俺の新しい家族ができた。

スライムの名前は絶対に決まってる。

もちろん『スラリン』一択。


戦わせるつもりは一切ない。

どこの世界に安眠枕を戦わせるヤツがいるんだ?

鍛えたら強くなるかも知れないが、俺は安眠枕(スラリン)に戦いを求めてない。


それで何を次に飼うのか。

スライム育成に半年かけているときからずっと悩んでる事。


龍の森の外縁にはモフモフな生き物がロックライガーを始め色々いる。

だけど俺が飼いたいからとお願いすれば多分もらえるだろうけど……パワハラどころじゃないな誘拐に近い。

家族からは引き離せないので悩むまでもなく始めから却下。

親を失くした子供もいるだろうが、モフモフな生物は大抵群れの生物なので……親を失くした子供は群れの中で育てられるので、俺の出る幕はない。


難しい。


ジャリストンに行けば鳥は一杯いるけど、あそこは特殊で街全体で鳥を飼ってるので、俺が入っていって奪い取るのは頭が狂ったヤバい行為だろう。


スラリンを膝の上でぽよんぽよんと撫でながら、椅子に座ってうーむと考える。


ハイエルフなので木を使った疑似生命を作る事は可能だ。

山林モンキーの守護をさせたエルダートレントもその1種だしな。

ある意味魔物なんだけどね。

木のゴーレムも作れる。

自分が乗り込めるようなロボットみたいな木製ゴーレムも簡単。


ただモフモフとはむちゃくちゃ遠くなる。


こんな感じに悩みまくった半年。

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