21.放課後の学校はなぜだかドキドキする。
何なんだ今日は。
やたらと恋愛フラグのようなものが立っている。
もしかしたら、ここでアリスさんに
「何かあったんですか?」
なんて聞くことができれば俺は主人公になることができるんだろう。
でもそんなことができないから俺は俺なんだ。
威張ることではないかもしれないが・・・
俺は草の上に静かに座っているアリスさんをちらちらと見ながら素振りを続けていた。
少し疲れたので俺も草の上に座って休む。
当然、アリスさんとは距離があいている。
「セイタさん。
そんなに離れていないでもっとこっちに来てくださいよ。」
そんなことを言いながらアリスさんが自分の横の草をポンポンと叩く。
「い、いいんですか?」
「もちろんです。
ちょっと話しませんか?」
「し、失礼します。」
俺はアリスさんの横に行くと腰を下ろした。
「ごめんなさい。
練習の邪魔をしてしまって。」
「いえ、大丈夫ですよ。
もう今日の練習は終わりですから。」
「そうですか。」
「はい。」
「そう言えばセイタさんは今オーク狩りをしているんですよね。」
「そうなんですよ。
最近ギルドの直営宿に入ってきた魔法使いの女性でナハナさんという方と一緒に狩りに行ってるんですよ。」
「そうなんですか。
パーティーを組んでいるんですか?」
「いえ、まだパーティーを組めてはいないんですが、出来たら組みたいなとか思ったりなんかして・・・
ただ、ナハナさんは腕の良い魔法使いのようですから僕なんかと組むのはもったいないんじゃないかと思ったりするわけで・・・」
「そんなことないですよ!」
アリスさんはこっちを向いてしっかりとした口調で言ってきた。
「セイタさんは優秀な冒険者だと思いますよ。
技術の習得も早いですし、こうやってまじめに練習もしてるじゃないですか。」
「そう言っていただけると嬉しいです。」
「だから自信をもって頑張ってください。
私、セイタさんのこと応援してますから。」
「あ、ありがとうございます。」
人に褒められ慣れてないせいかひどく恥ずかしい。
が、それでもアリスさんに褒められたことはとてもうれしく感じた。
「よーし!
明日からも頑張りますよ。
アリスさんもギルドで待っててくださいね。
きっとたくさんモンスター狩ってきますから!」
「はい、待ってますね。
気を付けて頑張ってください。
それからゴードンさんにもたまには会ってあげてくださいね。」
「はい!」
「じゃあ私はそろそろ帰ります。
ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ。
・・・お、送っていきましょうか?」
「ありがとうございます。
でも、大丈夫ですよ。
私の家もすぐそこなので。」
「そうですか。
では、おやすみなさい。」
「はい、おやすみなさい。」
アリスさんはそう言うと一人で帰っていった。
なんだか遅い時間にこうやって女性と話していると学校の放課後のことを思い出す。
数は多くないが、たまたま放課後の教室に残っていた時に何度かこういうこともあった。
別にその子と特段何かあったわけではないがなんだか思い出に残っている。
少し、日本のことを思い出して感傷に浸っていたが、明日も狩りがあるし、俺は汗を拭いて宿に帰った。
最近は女性とも普通に会話ができるようになっている。
もしかしたら自分に自信がついてきたからだろうか。
頑張っている自分を自分で認めることができるから、それが行動につながっているのかもしれない。
そんなことを考えながら眠りについた。
それから1週間ほどオーク狩りの日々が続いた。
幸いにも怪我無く狩りができている。
お金のほうもだいぶたまってきた。
一回の狩りで大体金貨7枚。
俺の手元には50枚ほどの金貨があった。
「うーんまだまだ武器を新調するには足りないですね。」
「そうだな。
私ももう少し必要だな。」
「明日からは2匹狙ってみますか?」
「一匹目を倒した後の状態にもよるが、そうだな。
明日は借りるマジックバックを大きくしてみるか。」
次の日。
俺たちは金貨1枚のマジックバックを借りてオークを狩りに行った。
このマジックバックであれば最大でオーク3匹は入るだろう。
結局俺たちは2匹のオークを狩ってギルドに帰った。
「いやー、一気に稼げましたね。」
「明日からもこの調子でいくか。
いや、それとも新しい狩場に向かうか?」
「僕たちの能力でこの近くだと・・・トレントとかですかね。」
「そうだなぁ。
トレントは素材としての価値もあるし、オークの次に狙うモンスターとしては悪くないかもな。」
「まあ、明日の狩りの様子で考えますか?」
「ああ、もうしばらくはオークを狩って、その間に作戦を考えよう。」
「ところで、ナハナさん。
僕たちってまだパーティー組んでないですけど、トレント狩りも一緒に行ってくれるんですか?」
「そ、そう言えばそうだったな。
私もてっきり忘れていたが、セイタとはまだパーティーじゃなかったな・・・」
「正直言いますよ!」
「お、おう。」
ナハナさんがまじめな顔でこちらを見る。
「ぼ、僕はナハナさんとパーティーを組みたいと思っています!
よ、よろしければ、よろしくお願いします。」
「ぷっ、アハハハハ、
よろしければ、よろしくお願いします!ってどういうことだよ。
変な言葉だな、ぷっ。
こちらこそよろしく。」
「え、いいんですか?
僕なんかで。」
「まだ出会って短いが、私はセイタのことを信用しているぞ。
セイタは私のことを信用できないのか?」
「いえ、そう言うわけじゃないですけど。」
「じゃあ、いいじゃないか。
私はセイタに背中を預ける覚悟はできているぞ。
まあ、私とセイタが背中合わせで戦うことなどめったにないだろうが。」
「ありがとうございます!
僕もアリスさんに背中預けます!」
「まあ、そう言うわけでこれからもよろしく頼むぞ。」
「はい。」
俺はナハナさんとがっしりと握手をし、パーティーを結成した。




