挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ワールド・ティーチャー -異世界式教育エージェント- 作者:ネコ光一

十三章 闘武祭

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

88/179

冒険者の都

十三章開始です。
 ガラフ。

 そこは大勢の冒険者が集まり、別名として冒険者の都とも呼ばれている都市である。
 そして冒険者が集まる理由はこの都市の中心に存在する闘技場があるからだ。

 闘技場では頻繁に魔物同士の戦いが見られたり、人同士による小さな試合が行われているが、一番盛り上がりを見せるのが『ガラフ闘武祭』だ。
 ガラフ闘武祭とはガラフで年に一度行われる大会で、世界中からの猛者が集い、戦い合って頂点を競う武の祭典……と言われている。

 俺達はちょうどその闘武祭が始まる時期に来たらしく、都市に近づくにつれて街道に旅人がよく見られるようになっていた。
 そんな状態なので、都市の入口である門には入国審査待ちの列が続いており、俺達は馬車に乗ったままその列に並んで順番が来るのを待ち続けていた。

「どうぞシリウス様」
「ん? ああ、ありがとう」

 俺が御者台に座ってぼんやりとしていると、隣に座ったエミリアが紅茶を渡してくれた。それを飲みつつ一息吐くと、すかさずクッキーが口元に差し出されたので口にした。

「お味は如何でしょうか?」
「ふむ……美味いな。程良い甘さで、砂糖に頼り過ぎていないところが良い」
「本当ですか! ではこちらもお願いします」
「こっちは……ハーブを混ぜたのか。少々苦味があるが、この紅茶に良く合うな」
「えへへ……やった」

 俺の称賛にエミリアだけでなく、馬車内の調理台でクッキーの生地をこねているリースが手を合わせて喜んでいた。先に食べたのがエミリア、後で食べたのはリースが作った物らしいな。
 ちなみに俺達の馬車にはオーブンを設置してあるので、クッキーどころかケーキでも作れるようになっている。

「それにしても上達したものだ。お菓子に関しては俺より上手くなったんじゃないのか?」
「そんな事ありません。簡単なクッキーならまだしも、ケーキや他に関してはとても……」
「そうだね。あの絶妙な甘味はまだ無理だよ」

 料理とは計量を間違わなければ確実に出来るものだが、俺の場合は計量カップなんて物を使わず全て経験による目分量で作っているからな。しかし料理なんてそういうもので、個人によって味が変わるからこそ奥が深いのだ。つまり俺の真似をする必要はないのである。

「経験を重ねていけば自然と上達するさ。その為に今度からの菓子や食事は二人に任せてー……」
「「それとこれとは話が別です」」

 その返事は予想していたが、息がピッタリだなお前達は。
 最近は作ってもらう頻度が増えたが、昔も今も毎日の食事はほとんど俺が作っている。別に弟子達は作りたくないわけじゃなく、俺の料理を食べないと落ち着かないそうだ。俺が料理するのが好きで率先して作っているのもある。
 作ったのを美味しいと言って食べてくれるのは嬉しいが……先日レウスが母ちゃんの味だな! とか言い出して苦笑してしまった。

 それからしばらくすると、門に人を増やしたのか列が早く進み始め、俺達の順番までもうすぐになった。

「そろそろ順番が近そうだが……レウスはどこまで行った?」
「確かあちらを走っていましたがー……ああ、帰ってきました」

 馬車の後ろへ視線を向ければ、訓練として走っていたレウスが汗を流しながら帰ってきた。馬車の前で立ち止り、リースの魔法で出した水を飲みながら呼吸を整えている。

「はぁ……はぁ……ただいま兄貴」
「おかえり。ちょうど良いタイミングだぞ」
「良かった。途中で揉めている人達がいてさ、見ていたら時間かかっちゃったよ」

 レウスの話だと列の待ち時間に耐え切れず、些細な事で喧嘩している傭兵や冒険者が結構いたそうだ。
 俺達は全体的に平均年齢が低いので甘く見られそうだし、更にホクトを含め銀狼族のエミリアとレウスがいるから結構目立つ。
 見た目は悪くしているがちょっとした財産になりそうな馬車もあるので、俺達を狙って近づいてくる冒険者や商人がいたが、全てホクトの威圧によって撃退している。
 今は昼間で人の目があるからアホしか寄ってこないが、都市に入ったら色々と警戒をしておかないと駄目だろうな。
 俺は弟子達に有り得る想定を幾つか説明し、対処法を伝えてからガラフへと入国するのだった。



「さて、まずは宿の確保だな」
「ですね。しかしこれでは……」

 予想通り町中は人が溢れ返っていたが、馬車が通る道はしっかりと区分けされていたので俺達は立ち止る事なく進めていた。
 しかし、宿を探すとなると困難を極めており、すでに四つ目の宿を巡っていたが……。

「駄目だ兄貴。あそこの宿はすでに満室だってさ」
「こちらは部屋は空いていますが、馬車を預けるスペースが無いそうです」
「ふむ……予想はしていたが、困ったものだ」

 従魔であるホクトと馬車が預けられる宿がどこも満室なのである。
 闘武祭が開かれるちょうど良い時期にこれたので見学してから旅立つ予定なのだが……宿を確保出来ないのは困るな。馬車で寝泊まりする事も出来るが、どちらにしろ馬車を置く場所が無ければ意味がない。
 最終手段として町の外に馬車を置いて寝泊まりする可能性を考慮していると、不意にホクトが軽く吠えて俺に呼びかけてきたのである。

「ん……どうした?」
「兄貴、あそこだ」

 視線を向けてみれば、荷物を抱えた十歳くらいの人族の少女が冒険者らしき男達に絡まれていたのである。
 いや……逆だ、少女の方が冒険者達に絡んでいるようだ。

「何でよ! どうして家じゃ駄目なのよ!」
「悪いな、向こうの方がやっぱり良さ気なんだ」
「どうせあいつ等に何か吹き込まれたんでしょ!」
「煩いな、その通りだよ。あちらさんの方が待遇が良いし、闘武祭に参加する俺達にあの宿はありえねえよ」
「あんな連中の口車に乗るなんて、貴方達本当に冒険者なの! 噂程度で気にするなんて男らしくないわよ!」
「ちっ、いい加減にしろ」

 子供なので冒険者達も流していたようだが、言われ放題なのも癪に障るらしい。
 今にも手が出そうな雰囲気だったので止めようと思ったが、その前にレウスが飛び出し割り込んでいた。

「その辺にしておけよ。相手は子供だろ?」
「あん? 関係ない奴は黙ってろ。子供だからって許してたら調子に乗るだけだし、これは教育なんだよ」
「だったら口で言えば十分だろうが。その手は何だってんだ!」
「大人に口応えするような子供にはこれが一番だろうが」
「私は調子に乗ってない! 目先の情報に踊らされるなって言っているの!」

 レウスが間に入って収まるかと思いきや、冒険者達の暴走は止まりそうにない。
 これ以上騒ぐとレウスが暴れそうになるので、俺はエミリアに馬車を任せて言い争いをしている冒険者に背後から近づいた。

「ちょっとすいません。こんな所で騒げば注目を集めますし、この辺りで止めてはどうですか?」
「くそ! その獣人といい、さっきから何だってんだ!」
「まあまあ、これで一杯でも飲んで落ち着いてくださいな」

 俺はそっと人数分の鉄貨を握らせ、にっこりと微笑みかけてやった。
 握らされた鉄貨に冒険者達は納得するかと思いきや、一部はまだ納得していなかったり、まだ俺から貰えるのではないかと悪い笑みを浮かべる奴もいた。
 やれやれ……若いな。大人しく引き下がれば良いものの。

「納得しましたよね?」
「「「うっ!?」」」

 俺が笑顔のまま一瞬だけ殺気を飛ばせば、冒険者達は逃げるようにして俺達の前から走り去った。
 あの程度の殺気で逃げる連中だし、放っておいても問題はあるまい。

「勝手に飛び出してごめん兄貴。おまけに金まで払わせちゃって……」
「お前が行かなければ俺が行くつもりだったし、あれくらいの金額なら大した問題じゃない。それよりー……」
「……ごめんなさい」

 一番の問題は大人の冒険者に喧嘩を売るような少女に問題があると思い、俺が少し目を細めて視線を向ければすぐに女の子は謝ってきたのである。

「反省しているならいいが、今度から気をつけるようにな」
「ちょっと色々とあってイライラしちゃって。それより、助けてくれてありがとうございます」
「こっちが勝手にやった事だから気にする必要はないさ。それじゃあ、次は気をつけるんだよ」
「じゃあな」
「……あ、あの!」

 レウスを連れて馬車へ戻ろうとする俺に、少女は大きな声を出して呼び止めてくるのだった。



「次の道を左だよ」
「わかった。ホクト」
「オン!」

 俺達の馬車は先程の女の子を加え、町の一角を目指して進んでいた。
 喧嘩していた少女……名前はカチアと言う少女が俺達を呼び止めてきたのは、冒険者である俺達に宿を勧める為だったのだ。
 詳しく聞けば、カチアの実家は宿を経営しているらしく、揉めていた冒険者達はカチアの宿の宿泊客だったらしい。

「私が買い出しに出ていると、家に荷物を置いていたあの人達が荷物を持って町を歩いていたの。おかしいなと思って聞いてみたら、近くの宿に移るから家の宿を引払ったと言い出して……」

 カチアの宿の経営状況はあまり良くないらしい。更に宿を引払った人はさっきの冒険者達だけでなく、ここ数日で数組もいたそうだ。

「それで皆同じような事を口にするの。向こうの方が待遇良いとか、私の宿だと試合に勝てない……とか。絶対あいつ等が変な噂を流しているんだよ!」
「あいつ等って誰なのかしら?」
「近くに出来た宿の支配人。家に何度か訪れて私達の宿を買い取ろうとしているんだけど、私達が断るから邪魔をしているんだよきっと! お兄ちゃん達もいずれ誘われそうだけど、はっきり断ってほしい」

 エミリアの質問にカチアは悔しげにしていた。町の役人や上の人に相談はしてみたが、あくまで彼等は客を誘導しているだけらしく、結局はどこに泊まろうが客の自由という事であまり真剣に取り合ってくれないらしい。
 しかし何も知らず関係のない俺達からすれば、商売によるただの生存競争に過ぎないのだ。直接手を出して俺達に危害を加えてきたのなら、遠慮なく介入して後悔させてやるつもりだがな。

「断るかどうかは君の宿を見てからだな。それだけ言うからには自信があるんだろうね?」
「当たり前でしょ! 今はちょっと寂れちゃってるけど……部屋は奇麗でゆっくり寝られる広さだし、お母さんの料理がとっても美味しいんだから」
「料理……楽しみね」
「馬車を置く場所はあるのか?」
「もちろんあるよ。鍵付きの小屋が外にあるから、そこに馬車を置けるよ」

 そこまで質問したところで、俺達はカチアの家である宿に到着した。
 馬車から降りて周囲を確認するが。ここは町の中心部からそれほど離れていないし立地条件は悪くない。旅人が泊まるには十分な広さの建物だし、一階では食堂と酒場も兼ねているようだ。
 闘武祭で町が沸いている今なら普通に満室になりそうな宿なのに、今は寂しそうな雰囲気なので、カチアが寂れていると隠しもせず言いたくもなる。しかし宿自体は奇麗なので、手入れが行き届いている証拠だろう。

「悪くないな」
「兄貴、ここで決めるのか?」
「いや、大事な質問が残っている。ホクトは……この従魔は宿に入っても大丈夫なのか?」

 従魔扱いなので外の馬小屋とかに置くべきだろうが、俺にとってホクトは大切な相棒だ。お互い近くにいると安心するので、俺は宿泊する度にホクトを宿の内部に入れてもいいか聞いているのである。
 カチアは俺の質問に驚きつつも難しい顔で考え始めていた。

「う、うーん……この子は従魔なんだよね? 外の小屋じゃ駄目なの?」
「無理にとは言わないさ。だけどホクトは人以上に頭が良い子だから、襲わない限りは決して襲ってこないから安心だよ」

 もし宿の主人が犬系の獣人だったら一発だろう。そういう宿を探してホクトを全面に押し出せば、客を追い出してでも部屋を用意してくれそうだが、流石にそこまでやるのは憚れる。

「私の言う事も聞くの?」
「言う事を聞くのとは違うね。従魔だけど、人と同じように接してみればいい」

 基本的に俺の命令は絶対服従だが、きちんとした理由があるなら他の人の言う事を聞いてくれるのだ。そして俺以外にもよく命令を聞いてくれるのがリースだったりする。俺がいない時はよく撫でていたりブラッシングをしているからである。

「よ、よーし。じゃあホクト、その馬車はあそこに入れておいてね」
「オン!」

 カチアが宿の敷地内にある倉庫を指すと、ホクトは全員が降りているのを確認した後に馬車を倉庫内へと運んでいた。そして馬車の車輪を輪留めで固定し、俺達の前まで戻ってくるとカチアが手を叩いて絶賛していた。

「わあ、凄い! 本当に頭が良いんだ!」
「だから言っただろう? それにほら、触り心地も抜群だ。触ってみるといい」
「いいの?」

 ホクトは触りやすいように体を屈めたので、カチアは恐る恐る手に触れたが、すぐにその感触に病みつきとなってホクトに抱きついていた。

「凄いふかふか! 気持ち良いよ!」
「ふふ、姉さまもこんな感じでしたね」
「お気に召したところで、ホクトが宿に入ったところで大丈夫なのかな?」
「うーん……私じゃ何とも言えないかも。別に禁止にしているわけじゃないから、お母さん次第……かなぁ?」

 完全にホクトの虜となったカチアが真剣に悩んでいると、宿の入口が開いて一人の女性が姿を現した。人族でまだ三十を過ぎた若い人妻のようで、カチアと似ている点からおそらく母親だろう。

「何か騒がしいと思ったら、帰っていたのカチア?」
「あ、お母さんただいま! お客さん連れてきたよ!」
「まあ! って、その前にお客様ならまずは挨拶でしょ?」
「あっ!」

 やはり出てきた女性は母親だったようで、カチアは母親に言われて自分の役割を思い出していた。
 レウスが代わりに持っていた荷物を返してもらい、慌てて母親の横に並んで頭を下げてきた。

「えーと、それじゃあ改めて……いらっしゃいませお客さん!」
「娘が失礼しました。ようこそ、風の岬亭へ」

 笑顔が眩しい親子に迎えられ、俺達は宿である風の岬亭の内部へと案内された。



「従魔を部屋にですか?」
「はい。俺の相棒ですので、なるべく近くにいてやりたいのですよ」

 建物内へと案内された俺達は、宿のカウンターを挟んでカチアの母親と向かい合っていた。
 宿は外見だけでなく内部も奇麗で、現時点で不満は見当たらない。後はホクトを部屋に入れられるかどうかであり、目下交渉中である。

「ホクトは凄いんだよお母さん! 大人しいし私の言う事も理解してくれるし、何より触ると気持ちいいんだよ!」
「……その従魔は本当に大丈夫なのでしょうか?」
「人の言う事はきちんと理解しますし、襲われない限りは決して手は出しません。更に付け加えるなら、手加減出来ますので血を流さずに相手を行動不能にできます」

 もっと付け加えるならば、この感触抜群の毛はほとんど抜けないので室内が毛だらけになる心配はないし、タオルを渡せば自分で肉球を拭いて足跡がつかないようにしてくれるのだ。

「当たり前ですが、何かあれば主として責任はとります。無理にとは言いませんが……どうでしょうか?」
「正直に申しますと、家は従魔について細かい取り決めをしていませんし、お客様のように部屋まで連れて行きたいと言われたのは初めてなんです。他の宿の考えでは外の小屋と言いたいところですが……」

 母親は難しい顔をしていたが、玄関の扉前で大人しく座っているホクトを一瞥し、続いて宿内を一度見渡してから苦笑していた。

「あまり口にしたくありませんが、現在家は御覧の通りお客様がほぼいらっしゃいません。なので、他のお客様から苦情がこなければ構いませんよ」
「やった! 流石お母さん!」
「お客様の前で騒がないの! それで家に宿泊希望でよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「ありがとうございます。ではこちらの紙に必要事項の記入をお願いします」

 笑みを浮かべて差し出された紙には、名前と人数、そして宿泊日数を書く欄があった。隠す理由もないので手早く記入し終わって紙を返却した。

「お名前はシリウス様、四名様で宿泊日数は闘武祭が終わるまで……ですね。部屋割りは如何しますか?」
「二人部屋を二つお願いします」
「わかりました。でしたら料金はー……」

 外はどこの宿も一杯だし、ここの経営状態から多少は値段が高くても気にするつもりはなかった。しかし宿泊料金については良心的な値段だったので、俺は益々ここが気に入った。偶然とはいえ当たりを引いたものだな。
 とはいえ、馬車も預けるしホクトの許可も得れたので銀貨を二枚程上乗せしておいた。

「あの……少し多いようですが?」
「ホクトの件を許してもらえましたし、ここに来るまで娘さんに町を案内してもらいました。そのチップですよ」
「しかしこれは……いえ、お客様からの御好意ですし、ありがたく頂戴いたします」

 素直に受け取ってくれた母親はカウンターから出て、俺達を部屋に案内してくれたのだが、その道中で俺達に振り返って頭を下げてきた。

「申し遅れましたが、私の名前はセシルと申します。数日ですが、よろしくおねがいします」
「いえ、こちらこそ。ところでこの宿の従業員は何人ほどですか?」
「私と夫を含めて四人ですが……現在宿がこのような状況なので、夫と残り二人は闘武祭の準備を手伝いに行っております」

 時期限定のアルバイトみたいなもので、闘武祭の準備を手伝えば給料が貰えるらしい。
 その得られる金でここ最近は何とかなっているようだが、やはり今の経営状況では厳しいとセシルさんは嘆いている。

「去年はこの宿も満室で、忙しくも充実した日を過ごしていました。ですが御覧のあり様ー……って、すいません。お客様に愚痴るなんて失礼ですよね? お詫びとしてもっと大きな部屋が良ければ変更されて構いませんよ?」
「いえ、俺達は広くなくてもー……」
「でしたら!」

 いつもなら俺と同じ部屋になりたがるエミリアが妙に大人しいかと思いきや、ここで一歩前へ踏み出していた。
 そしてセシルさんの耳元に口を寄せ、何か注文をしている。

「……なるほど、そういうわけですか。でしたらございますよ」
「お願いします。詳しくは後で……」
「わかりました」

 エミリアは満足気に戻ってくると、続いてリースの耳元に口を寄せて何か話しかけていた。

「ええっ!?」
「大丈夫よ。私も補助するから……ね?」
「でも……」

 聞いたところで答えてくれそうにないので、妙に騒がしい二人は気にせず俺は先を歩くセシルさんを追いかけた。

「なあ兄貴、姉ちゃん達は何で騒いでいるんだ?」
「気にしたら負けだ。それより部屋に荷物を置いてから町の観光に出かけないか? 闘技場を見に行ってみよう」
「……そうだな。何か今聞いたら怒られそうな気もするし」

 流石のレウスも、今の姉に話しかけてはいけないと本能的に理解したようだ。



 それから俺達は部屋に荷物を置いてから再び町へと繰り出した。
 相変わらずの人混みだが、荷物が無くなった俺達は身軽に行動が出来たので、道中にある屋台で買い食いしながら町を歩き回り、俺達は闘技場前へとやってきた。
 ガラフの闘技場はエリュシオンの学校にあったものより立派な建造物で、思わず見上げてしまう大きさであった。

 しかし、俺達は闘技場なんかより更に気になる物を見つけてしまったのである。
 そう……見つけてしまったのだ。
 最初に見つけたのはレウスであった。

「なっ!? あ、兄貴あれ!」
「…………」

 それは剛剣ライオルを模した巨大な石像だった。
 その大きさは俺の身長より三倍近くもあり、闘技場のシンボルの如く存在感を放っている。若干若く見える石像の爺さんは愛用である大剣を天高く掲げており、まるで英雄のような扱いである。
 近づいてみると、台座部分にこう刻まれていた。

『闘武祭の連続覇者……剛剣ライオル』

 近くにもう一つ石像があり、非常に勇ましく雄々しい表情で剣を構えている。
 待て待て……これは違うだろ。

「ライオル? この石像の人って……レウスの剣を教えてくれた人なんだよね?」
「に、似てるけど違う! あの爺ちゃんはこんな格好良くないぞ!」

 レウスの言う通り、本物はこんな格好良いポーズで剣を振るんじゃなくて、基本に忠実な上段で構えだ。更にこんな勇ましい表情ではなく、楽しそうに笑いながら剣を振ってくるのがライオルだ。
 味方ならとにかく、敵になったら悪魔とも呼べるこの爺だが……世間ではどれだけ美化されているんだろうか?

「お? そこの兄ちゃん、立派な武器を持っているね。兄ちゃんも剛剣に憧れているのかい?」

 何とも複雑な思いで俺達が石像を見上げていると、近くを歩いていた爺さんが突然話しかけてきたのである。
 一瞬身構えたがただの通りすがりのようで、レウスの剣に視線を向けながらにこやかに笑って俺達に近づいてきた。

「え? いや、全く」
「いやいや隠さなくても、君みたいに剛剣に憧れて大剣を持つ者は沢山いるぞ。周りを見て御覧」

 周囲に目を向ければ、確かに大剣を背負う者が多い。つまり……ライオルの影響で大剣を使う者が増えていると?
 ちなみに補足するなら、レウスは本気で憧れていない。むしろ恐怖の象徴であり、彼にとって倒すべき敵である。

「お聞きしたいのですが、お爺ー……この御方の像はどうして建てられたのですか?」
「知らないのかい? 見たところ旅人のようだけど、もしかしてここへ来たばかりかな?」
「その通りです。闘武祭に優勝した者の像が建てられるならばもっと像がある筈なのに、この御方の像しか建てられていないのは何故でしょうか?」
「そりゃあ世界一の剛剣だからってのもあるけど、台座に書いてある通り、闘武祭で三年も優勝し続けた輝かしい記録を持っているからさ」

 どうやら爺さんは会話好きでライオルのファンらしく、まるで自分の自慢話のように色々と説明してくれた。

 数年前……突如ガラフに現れたライオルは闘武祭に参加し、並み居る強豪を全て一撃で倒して優勝。そして優勝した時に自分は剛剣のライオルだと言い放ち、来年また参加するから強者を待っていると宣言したそうだ。

「十年以上も前に剛剣が世間から消えた時は残念だったけど、再びここで姿を現した時は凄まじい盛り上がりを見せたなぁ……」

 そして宣言通り、一年後にライオルは現れ闘武祭に参加した。一部の者は善戦したそうだが、危なげなくライオルは勝ち進んで二度目の優勝を果たしたらしい。
 三年目は二年目とほぼ一緒の流れだったそうだが、優勝の表彰式で放ったライオルの宣言が大きく違っていた。

『修行の旅に出るから、もう参加せん』

 そう言い放った後、ライオルは姿を消した。
 だがライオルが見せた圧倒的な力は人々の心に残った。そして三年連続優勝という功績を称えようと思ったガラフの責任者は事前に本人へ交渉をし、闘技場前に像を建てる許可を貰っていた。それが目の前にある石像なわけだ。
 三回も同じ結果を見せられて観客は飽きなかったのだろうかと思ったが、ライオルの凄まじさに観客は沸く一方だったそうだ。

「いやぁ、あの一撃の凄まじさを見た時の私は体が震えていたよ。これが世界一の剣なんだな……ってね」

 そしてライオルの三年連続優勝(暴走)以来、剛剣に憧れて大剣を持つ冒険者が増えた……というわけだ。

「君も闘武祭に参加するつもりかい? だったら頑張ってくれよ」

 一頻り説明して満足した爺さんは、笑みを浮かべたまま俺達の前から立ち去った。

 さて、爺さんの説明では非常に美化されたライオルであるが、俺は何度も戦っているので変態の性格をよく知っている。
 おそらく三年も闘武祭に参加した理由はこんな感じだと思う。


 一年目……強い奴がいるかと思い参加。しかし想像以上に弱かったので、剛剣の名前を出して次はもっと歯応えのある相手が参加するのを待った。

 二年目……ちょっと強くなっていたが、まだまだ弱い。次に期待。

 三年目……あまり変化が無く、一々ここへ来るのが面倒になる。要するに飽きた。


 ……という感じだろう。
 真実は時に残酷で、何も知らない方が幸せな時もある。正直に言えばどうでもいいので、真相は胸の奥へ仕舞っておくとしよう。

「闘武祭……か」

 闘技場の内部も見てみようと俺達は歩き出したが、レウスだけ立ち止って像を見上げ続けていた。
 何度も言うチャンスはあったのに口にしないから、本気でやる気がないのかと思っていたが……どうやら違っていたようだ。

「レウス、参加しても構わないぞ」
「いいのか兄貴? 目立つのを嫌っているんじゃ……」
「それは過去の話だ。俺を気にせず遠慮なく参加するといい」
「ありがとう兄貴!」

 全身で喜びを表しながらレウスは走り出し、参加登録を行っている受付へと走って行った。

「ふふ、あんなに嬉しそうに。ですがシリウス様、本当に参加させて良かったのですか?」
「自分の実力を知る良い機会だろうし、別に構わないさ」
「シリウスさんは参加しないのですか? 二人揃って優勝と準優勝を狙えますよ」
「特に理由がないからな。それに、あの像を見ているとやる気が無くなるよ」

 正体を知っている人物がここまで美化されている現実に、何だか色々と力が抜けていた。そんな俺にエミリアとリースは勿体なさそうな顔をしていたが、こちらの脱力を見て苦笑しつつも納得してくれた。
 それから登録を終えて戻ってきたレウスの胸には、参加証明である番号の刻まれた金属製のバッチが付けられていた。そしてレウスから参加に関する説明を聞きながら、俺達は闘技場の観光を再開した。



 夕方になり、観光を切り上げた俺達は風の岬亭の前まで戻ってきた。
 セシルさんが告げた夕食の時間まであと少しなので、それに合わせて戻ってきたのである。

「ふむ……少し早かったか?」
「だったら兄貴、俺はちょっと庭で剣を振ってくるよ」
「わかった。遅れないようにー……」
「おいあんた達、ちょっといいかい?」

 闘武祭開始まで残り三日。張り切って素振りをしようとするレウスが歩き出そうとしたところで、俺達は冒険者らしき男達に声を掛けられた。

「誰だ?」
「いや、俺達は最近ここへ来た冒険者だよ。それよりあんた達はこの宿に泊まる予定なのか?」
「そうだが……それが何か?」

 冒険者と言うわりには、妙に胡散臭い連中だ。確かに見た目は動きやすい冒険者の格好をしているが、迫力と体躯がそれに見合っていない。
 別の仕事をしている者が無理やり冒険者になったか、冒険者成り立ての新人といった感じだな。隣に控えているホクトが全く反応していないので、少なくとも敵意は無さそうだ。
 それでも静かに警戒していると、冒険者達は宿を見上げながら静かな声で伝えてきた。

「いや、忠告しようと思ったんだ。この宿に泊まるのは止めた方がいいぞ」
「何故だ? 少なくとも俺達に不満がないぞ?」
「実はこの宿は待遇が悪いって噂だぞ? それにこの宿に泊まった者は、闘武祭に勝てないって言われているんだってよ」

 冒険者達は他にも風の岬亭の悪い箇所を挙げ続けた。そしてとある宿の名前を出し、そこの宿泊料は相談次第で風の岬亭より安くしてくれ、闘武祭に参加すれば勝ちやすいと言って紹介してくれた。
 なるほど……こいつ等がカチアが言っていた連中か。
 そうなるとこいつ等の正体は冒険者じゃなくて、客を引き抜く為の雇われ冒険者か宿の従業員辺りだろう。

「そのバッジがあるからには、獣人の子は参加するんだろう? だったらこんな小さい宿は止めてー……」
「根拠は?」
「……え?」
「根拠だよ。闘武祭に勝てないって言われる根拠はあるのか?」

 宿の良し悪しだけで勝敗が決まるわけがないだろう。俺は験担ぎを馬鹿にするつもりはないが、負けた時の言い訳にするつもりもない。
 俺の呆れた返答に男達は動揺していたが、すぐに気を取り直して言い返してきた。

「あ、あるさ! 去年ここに泊まった闘武祭の参加者は予選で全員落ちたんだ。それに比べてあの宿の参加者は予選突破が数人ー……」
「宿は人を選んで泊める場所じゃないし、そもそもあんた達の言う宿の方が大きいだろ? そうなると参加人数も変わるから、誰一人勝てない事があっても不思議じゃない」

 可能性の問題として十分に在り得る事態だし、ここの宿に泊まったからと言って勝てないなんてありえないだろう。
 引き抜きにしてはお粗末過ぎる内容だ。こんなのでよく他の連中を引き抜けたものだと感心したが、俺の殺気一発で逃げるようなアホ達なら十分にありえる。
 他の奴は噂を気にしたり料金や好待遇で流されたのだろうが、俺はホクトを受け入れてくれたここが気に入っているので変えるつもりはないな。

「そんなわけだから断る。さっさと帰れ」
「そ、その宿に肩入れしたら碌な事にならないぞ!」
「ただ泊まっているだけの客に何を言っているんだ? 脅しなら余所でやれ」
「オンッ!」
「ひゃっ!」

 ホクトが一歩前に出て吠えれば、偽冒険者達は悲鳴を上げながら逃げて行った。従魔なのにこれだけ怖がるとは……確実に冒険者じゃないな。
 追い払ってくれたホクトの頭を撫でていると、宿の玄関が開いてカチアが心配そうな目でこちらに見ていた。どうやら俺達のやり取りを聞いていたようだな。

「……お兄ちゃん達は行かないの? 何かあいつ等変な事言っていたけど……」
「シリウス様なら何が来ても問題ありませんよ。カチアちゃんが気にする必要はありません」
「そういう事だ。兄貴や俺達を何とかしたかったら、国一つくらい持ってこいって感じだからな」
「安心してねカチアちゃん」
「ありがとう! あ、荷物持つね」

 満面の笑みを浮かべて走ってきたカチアが、俺達が観光で買った荷物を持とうと手を伸ばしてきた。
 子供に持たせるのは気が引けたが、これも宿の娘としての仕事と言われては断りにくい。なので軽い荷物を持たせると、カチアは先に戻って玄関の扉を開けて俺達を待っていてくれた。
 剣を振る予定だったレウスだが、さっきの連中と会話している間に気が変わり俺達と一緒に戻る事にしたようだ。そして玄関の扉を抜けた所で、先を歩いていたレウスが振り返ってきたのである。

「なあ兄貴。あの連中や、この宿は放っておいていいのか?」
「そうね。この宿に泊まったら闘武祭に勝てないって、出鱈目にも程があるわ」
「シリウス様、私達に何かできないでしょうか?」
「俺達に直接危害が加えられたのならとにかく、これは商人同士の話だから俺達には関係ない事だ」

 俺の言う事に一理あるのか、弟子達は仕方なさそうに肩を落としていた。

「だが……レウスが闘武祭で優勝すれば間接的な助けになるだろうな」

 いくら闘武祭に勝てないジンクスを撒き散らそうが、ここに泊まったレウスが優勝すれば綺麗に払拭できるだろう。更に優勝者が泊まった宿として集客を見込める可能性もある。
 そう伝えると弟子達はやる気を取り戻し、特にレウスは目に見えてやる気を見せていた。

「よっし! 絶対優勝するぞ!」
「頑張るのよレウス。シリウス様の弟子として、無様な結果は許さないわよ」
「剣の先生が優勝しているんだもの。今度はレウスの石像が建つかもしれないわね」
「それは嫌だ!」

 育てた俺が言うのもなんだが、お人好しな弟子達だな。会って間もない人達の為にここまでやる気を出すのだから。
 でも俺は嫌いじゃないし、その心を忘れずにこれからも育ってほしいと思う。

「あ、いらっしゃいませー!」

 俺達が話しこんでいる間に、カチアの元気な声が玄関から聞こえてきた。
 どうやら宿に新しいお客さんがやってきたらしく、俺達は邪魔にならないように横へずれようとして……気付いたのである。

 昔感じた……ここにある筈のない魔力を俺は捉えたのだ。

「ふふ、その保護者のような優しい笑み……変わらないわね」

 声に振り返ると、そこにはマントで全身を隠し、フードを目深にかぶった人物が立っていた。
 相手は口元しか見えないが、特徴的な声色と雰囲気から誰なのかすぐに判明した。

「想像通り、良い男になったわね。私の勘は間違ってなかったわ」

 声を震わせながらゆっくりとこちらに歩を進め、残り数歩の距離で力強く床を蹴って俺の胸に飛び込んできたのである。
 その拍子にフードが脱げ、彼女の輝くエメラルドグリーンの長髪と美しい顔が露わになった。

「会いたかったわ、シリウス!」

 それは俺が子供の頃に助けた一人のエルフ……。

「……フィア?」

 エルフの女性……シェミフィアーだった。

おまけその一


 その頃……。



 ぼりぼりぼり……。

「くぅ! まさに修羅場ね! さてさて、エミリアちゃんとリースちゃんはどうするのかしら?」
「アリア様……クッキーはもっと優雅に食べてください」


 ……昼ドラを見る主婦のような空気になっていた。





おまけその二


 エミリアとリースが『風の岬亭』で話していた内容。


「リース、三人が寝れるベッドの部屋を別に予約したから、今日はシリウス様と一緒に……ね?」
「あ……う……ほ、本気なの?」
「ええ、本気よ。リースにも早くあの幸せを知ってもらいたいわ。大丈夫、シリウス様に任せれば安心よ。リースをきっと満足させてくれるわ」
「満足!?」
「その後は、私がシリウス様を満足させて差し上げる予定なの」
「もしかして……エリナさんから教わった技?」
「前回はそれを使う余裕が無かったの。だってシリウス様が激しくて、私……あまりの幸せに気絶しちゃったの。だから次こそは従者として、そして女としてシリウス様を満足させるの!」
「気絶!?」


 ……と、エミリアは計画していたのだが、フィアの登場によりその計画は崩れ去ったのであった。






 今日のホクト


 今日、ホクト君は冒険者の都とも呼ばれるガラフへとやってきました。

 近々闘武祭と呼ばれる武闘大会が行われるらしく、町は傭兵やら冒険者でとても賑わっています。
 従魔であるホクト君は相変わらず注目を集めていますが、気にせずご主人様の後をついて行きます。

 そして町の目玉である闘技場へとやってきました。
 ギラギラした目をする傭兵や冒険者達があちこちに殺気を放っていますが、ご主人様に比べたら塵芥に過ぎませんので、ホクト君は全く気になりません。むしろホクト君と目が合うと逸らす者が大半で、実力の低さが窺えます。
 会場の雰囲気に呑まれて気が立っているのか、手当たり次第に喧嘩を売っている者もいました。

「ああっ!? 何だこの狼は! 俺を睨んできやがって殺すー……」
「オン!」
「ひぃっ!」

 ……喧嘩を売ってきてもこの程度です。
 そして闘技場の内部に入ろうとしたところで、ホクト君の後輩であるレウス君が大きく叫びました。

「なっ!? あ、兄貴あれ!」

 そこにはご主人様の知り合いである、ライオルさんの石像があったのです。

 その石像を見た瞬間……ホクト君は非常に落ち着かなくなりました。
 前世の血がそうさせるのかはわかりませんが、ホクト君は無性にマーキングがしたくなったのです。

 しかし自慢の爪でやれば石像はズタボロになりますし、トイレはこの体になってから無縁です。
 そして何より、石像に何かあればご主人様に迷惑がかかります。
 我慢できない程ではありませんが、襲いかかる衝動を堪えていると、レウス君が気付いてご主人様に声を掛けていました。

「兄貴、ホクトさんが石像にマーキングしたいって」
「何、マーキングだと? 個人的には是非と言いたいが……流石に怒られるな」

 ご主人様の雰囲気はやってもよさ気でしたが、どうやら踏みとどまっているようです。ホクト君はライオルさんをよく知りませんが、実は仲が悪いのでは……と疑問を浮かべるのでした。
 その後、ホクト君は落ち着くまでご主人様にたっぷり撫でられ、夜にブラッシングすると約束してくれたのです。


 色々とありますが、今日も大好きなご主人様に可愛がられ、幸せ一杯なホクト君でした。





 ようやくフィアが再登場しました。
 それについて報告がございますので、今日中に活動報告を挙げたいと思います。


 次の更新は六日後です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ