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ワールド・ティーチャー -異世界式教育エージェント- 作者:ネコ光一

十章 新たなる旅立ち

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家族

「口を閉じろ、下種が」

 豹変した俺が横柄な態度を取りながらそう言ってやると、バルドミールと異母兄あにのカリオスは呆気にとられていたが、すぐに顔を真っ赤にして怒り始めた。

「き、貴様ぁ! 父に向かってその態度はなんだ!」
異母弟おとうとだからってふざけるなよ。今すぐその足をどけろ! それは私が稼いだ金で初めて買った特注品だぞ!」

 今にも掴みかかってきそうな勢いで唾を飛ばしているが、俺は偉そうな態度を崩すつもりはない。煙草があったら、間違いなく挑発もかねて吸っている場面だな。

「ふざけているのはそっちだろ。それよりいつまで俺の家族面をしている? 五年前に言った筈だろ。お前達とは縁を切るってな」
「やかましい! たとえそうだろうと、平民如きが貴族にする態度ではないわ!」
「貴族? そんなのはどこにいるんだ。俺の前には、頭の悪い下種しか見えないが?」
「父上、こいつの態度は許せません。一度後悔させてやるべきかと」
「そうだな。おいバリオよ。外の護衛に、あの女と亜人を捕まえるように命令して来い!」
「……畏まりました」

 バリオが恭しく礼をしながら部屋を出て行ったが、弟子達の実力ならばあの程度の護衛くらい問題はないだろう。
 冷静な俺の態度に気付かない親子は、何も知らないままこちらを指差しながら笑っていた。

「ははは、外にいるあいつらが捕まるのを指を咥えて見ているがいい」
「平民と言う立場をしかと理解しないからこうなるのだぞ」
「立場……ねぇ?」
「「っ!?」」

 試しに殺気を放ってみると、笑っていた二人は息を詰まらせ体を震わせていた。この程度の殺気で臆する胆力の弱さにびっくりである。
 鍛えが足りないなと笑っている俺に親子は苛立ったのか、怯えを振り払ってこちらを睨みつけてきた。

「な、何をしたのだ貴様! 笑っていないで答えろ!」
「笑いたくもなるさ。子供に睨まれて臆する二人が、どうやって立場を理解させるのかと思ってな」
「くっ……今のは気の迷いだ! 言ってわからないなら、実力でわからせてやろう!」

 恐怖を抑え込んだカリオスは立ち上がり、壁に飾ってある剣を手に取った。そのまま何度も型らしき素振りを行い、最後に切っ先をこちらに向けて自信満々に笑いかけてきた。

「さてと、調子に乗っている異母弟おとうとを私が教育をしてあげよう。なに、殺しはしないから安心したまえ」
「やってしまえカリオス! 愚かなこいつにお前の剣の腕を見せてやるがいい!」

 彼が見せた型は、見本とも言えるような綺麗な剣舞だった。
 こんな父親の息子だから戦えないと思っていたが、それなりの強さを持っているようだ。素直に感心した俺は軽い拍手を送っていた。

「何だい? 今更拍手なんか送ったって許しはしないぞ。さあ、お仕置きしてあげるから立ちたまえ」
「立つのが面倒だ。御託はいいからかかって来い」
「いくら異母弟おとうとだからって容赦はせんぞ!」

 ソファーに座ったままの俺にカリオスは容赦なく剣を振りかぶってきた。お仕置きと言うわりには、確実に命を奪いそうな鋭い一撃を放ってきたが、俺はソファーから動かず座ったままだった。
 というか、動く必要がなかったからである。

「美を追求した剣が戦闘に役立つわけないだろ」

 お前がやっているのは儀礼などで使われる剣舞であって、戦闘で使うような剣じゃない。軌道が丸わかりで、フェイントも何も入っていないその一撃を、俺は剣の腹を叩く事によって逸らした。逸らされた剣は座っていたソファーを切り裂き、刀身が半分まで埋まったところで止まった。
 自分の稼ぎで買ったソファーが無残にも切り裂かれ、カリオスは思わず叫んでいた。

「なっ!? 私のソファーが!」
「ソファーの心配をしている場合か?」

 ショックを受けて隙だらけなので、俺は手を伸ばしてカリオスの頭を鷲掴みした。そこで正気に戻って手を外そうとするが、少し握力を込めたら大人しくなった。

「あ、ぐっ! たかが平民がこのような真似をして……」
「先に手を出してきたのはそっちだろ? 貴族だからってやり返されないと思っているのか?」
「や、止めんか貴様! カリオスの冗談を真に受けおって!」
「どう考えても本気としか思えなかったんだが、ちょっと本人に聞いてみようか」

 掴んだ部分から相手に魔力を流し込むと、カリオスの体は痙攣したように震え始め、遂に……。

「がっ……あ、あああああぁぁぁっ!?」
「か、カリオス!? どうしたのだ!」

 屋敷中に響き渡る叫び声を上げ始めたのだ。まるで電流を流されたかのように悶え狂い、手を放せば体を支えきれず床に倒れていた。
 俺がやったのは、相手の体にただ魔力を流しただけである。実は流す魔力の調整次第で、相手の体に様々な効果を及ぼすというのが判明しているのだ。対象の自己再生を活性化させて治療を早める『再生活性』や、感覚を麻痺させて麻酔と同様の効果を及ぼすのも、全てこの調整次第である。
 だが、自然に吸収して魔力を馴染ませるならともかく、一度に大量の魔力を流し込むと、自分に適した魔力ではないので体が拒絶するのだ。それは体中を駆け巡り、まるで電気が体中を走り回っているような激痛を味わわせる。目の前に倒れているカリオスがその結果を表しているだろう。
 カリオスを見下ろしながら立ち上がった俺は、逃げようとするバルドミールを飛ばした『ストリング』で拘束し、倒れたカリオスの頭を再び掴んで持ち上げた。

「今のはお試しだ。さてと、質問するが……さっき言った事は本当か?」
「じ……冗談に決まってー……ぎゃああああぁぁぁっ!?」

 嘘だとわかったので、再び魔力を流して激痛を与える。前世も含め、欲深い奴と散々渡り合ってきたのだ。相手の嘘か本音くらい見極められる。
 特にこいつ等はわかりやす過ぎて、逆に感心したくらいだ。親子揃って冗談だとか言っているが、明らかに下心満載でリースを見ていたし、エミリアとレウスは家畜に向けるような目だった。

「見え見えの嘘はやめろ。お前が本音を言わないと今のを繰り返すぞ?」
「ほ、本当だ! 私はあの子供達に手を出すつもりはー……ぐああああぁぁぁっ!?」

 まだ認めないので、少し強めに魔力を流し込んだ。相手に触れていないと使えない魔法ー……と言うより技術だが、内部から攻撃するので防御しようがない。適当に『スタンゼロ』と名づけている。
 やり過ぎると学校の迷宮で戦った殺人鬼みたいになるだろうが、あれから色々と改良を加えているので、殺そうと思わない限り死ぬ事は無い。
 気絶しようにも、流した魔力が痛みと同時に体を活性化させているので意識は保ち続け、俺が飽きるまで苦痛を与え続けられる性質の悪い魔法になった。拷問魔法と呼んでもおかしくはない。

「だから嘘は止めろと言ってるだろ。もっと強くしてやろうか?」
「ひっ!? そ、その通りだ。私はそう思っていました!」

 これだけ脅せば本当だと無理矢理言わせている気もするが、こいつに遠慮する必要は全く無いので気にもならない。だが、認めるだけじゃ駄目なんだよ。

「どう思っていたんだ? もう一度、俺に詳しく説明してくれないか?」
「はぁ!? さっき説明しただろう!」
「もう一回いくか?」
「っ!? あ、あの青髪の女を自分の物にして調教しようとしてました! そして亜人も奪って貴族に売りつけようとしてー……がああああぁぁぁっ!?」

 相手にわざわざ言わせてから『スタンゼロ』を発動させた。本音を言った筈なのに、何故やられるのかと言わんばかりにカリオスは俺を睨んできた。涙と鼻水塗れの顔で睨まれたって迫力も何もないけどな。

「な、んで。私は、本当の事を言ったのに……」
「俺の弟子を売ろうとしたり、調教するなんて言う下種を許すと思うか?」
「貴様が言えと言ったんだろうが!」
「俺は嘘をつくなと言ったんだ。見え見えな嘘をつくアホには当然の処置だろう」
「ふざけるな! これではどちらを選んでも一緒だろうが!」
「そうだな、結果は一緒だな。これは嘘をついたら痛くなるだけの話で、あんなアホな事を考えて口にした時点でお前は詰んでいるんだよ」
「あ……ああ、そんな……馬鹿な」

 お前にこの拷問を回避する手段は無い。どちらを選んでも苦しむと理解したカリオスは絶望した表情になっていた。

「じゃあ次の質問に行こうか。お前、外で見た白い狼をどうしようとしたんだっけ?」
「か、格好良いので、自分の物にー……ぎゃああああぁぁぁっ!」
「さっき言った台詞と違うだろう。お世辞で騙されると思ったか?」
「あ……う、売ろうとしていました! あれほど珍しい魔物なら高く売れると思ってー……ああああぁぁぁっ!」
「人の相棒を奪うどころか、勝手に売ろうとしていたと。お仕置きだな」
「も、もう止めてくれぇ! 私が、私が悪かったー……ひぃああああぁぁぁ!」

 理不尽な程に痛めつけているが、これは俺なりの調教なのだ。
 今回のようにアホな事を言い出したり、悪意を持って俺達に関わろうとすれば、この痛みを思い出すように精神的外傷トラウマを刻み込んでいるのである。
 その後も数十分に亘って拷問は続き、人や亜人を見下したり、くだらないプライドを守ろうとする度に『スタンゼロ』を発動させた。
 いい加減カリオスの体から色んな液体が漏れ始めているので、そろそろ終わらせるとしようか。

「これで最後だ。今後、俺達にくだらない理由で関わらないと誓うか?」
「誓い……ます……」
「復唱しろ!」
「今後、私は貴方達に二度と関わりませんし、獣人を見下しません! だからもう許してください!」
「いいだろう。褒美に気絶させてやる」
「がぁっ!? あ……あぁ……」

 最後に発動させた『スタンゼロ』は痛みでは無く、意識を奪う感覚で魔力を流したので、カリオスはようやく気絶する事が出来た。
 白目であるが、どこか口元が緩んでいるのはようやく解放された喜びだろうか? 現在のカリオスは様々な体液に塗れて気持ち悪いので、思わず放り投げていた。床ではなく、自分の買ったソファーに投げてやったのがせめてもの情けだな。

「さてと……次はお前の番だな」
「ひ、ひいいぃぃっ!」 

 そして『ストリング』で拘束され、無様に床を転がっているバルドミールと目が合った。カリオスへの拷問を見せられ恐怖したのか、バルドミールの股間が濡れているがどうでもよかった。

「お前には母さん達が色々と世話になったようだし、そこら辺をじっくりと聞こうじゃないか」
「ま、待て! 私はお前の父親だぞ! 私がいなければお前は産まれてこなかったのだぞ!」
「それが?」
「は? い、いや、だから私が居なければお前はここに居なかったのだ。もっと敬うべきだろう?」
「産まれてから碌に顔を見せず、大切な俺の母達を蔑ろにしていた相手をどう敬えばいいんだよ」

 俺を望んで産んでくれたのはアリア母さんで、育ててくれたのはエリナ母さんだ。何もしていないこいつを父と思った事は微塵も無い。
 縛られて動けないバルドミールの腹に手を置き、俺はにっこりと笑いかけながら言った。

「それに母さんの家であるエルドランド家を潰し、アリア母さんとエリナが亡くなっても気にも留めなかったお前だ。俺の立場からすれば、敬うどころか憎むべき対象だろ」
「あ、あれは貴族では当たり前の行動ー……ぎゃあああぁぁぁっ!?」
「欲望のまま女性を抱く為に、家を潰すのが貴族の当たり前なのか? それに、わざわざ金まで払って絶縁したのに、今更くだらない理由で金を毟り取ろうとする親面したアホはどこの誰だ?」
「あ……ぐぅ……ば、バリオと護衛はどうした!? 主人が襲われているのに何をしているのだ!」
「人の話を聞こうか?」
「ひぃっ!? き、聞きます! 聞きますからもう止めー……おあああぁぁぁっ!」

 カリオスと同じように、こいつにも精神的外傷トラウマをしっかりと刻み込んでおくとしよう。
 ちなみに『サーチ』の反応によると、エミリア達の反応は健在で、護衛達と思われる反応は一纏めになって微動だにしていない。無力化に成功したと思われるので、安心していいだろう。
 気になるのはバリオと思われる反応だが、彼は玄関前から動きが無い。まるでこの状況を静観しているようで気にはなるが、弟子達が無事ならば放っておいて問題はないだろう。

「あ、そうだ。お前の場合はカリオスと違って母さんの敵でもあるからさ、力加減を間違えて死ぬ可能性があると思えよ」
「や、やめろ。やめてくれぇ……」

 恐怖を煽る為の嘘だが、今の状況なら迫力満点だろう。
 それでは、アリア母さんにエリナ母さんを苦しめ、従者達やリースを不快にさせる元凶に地獄をたっぷりと味わわせてあげよう。

「最初はアリア母さんの家を潰した理由から詳しく語ってもらおうか。そうそう、魔力はたっぷり残っているから安心してくれよ」
「な、何故貴様はこんな事をする!? 今更過去を蒸し返して何になるというのだ!」
「少なくとも俺はすっきりすると思う」
「すー!? そ、そんな理由で……だと?」
「理不尽だと言いたいのか? 母さんの人生を狂わせたお前が言う台詞じゃないな。それに今からやるのは過去の清算とか、恨みを晴らすとかそういう話じゃないんだよ」
「だったら何故!?」
「これはお前の調教なんだよ。俺達の姿どころか、名前を聞いただけで今日の出来事を思い出す為の……な」

 そもそも俺達を呼び止めず、放っておけばこんな事にならなかったのだ。欲に目がくらんで金を毟り取ろうとした自分を恨め。
 二度と俺達に関わりたくないよう、念入りに恐怖を刻んでおくとしよう。




「お疲れ様でした」
「……ああ」

 外傷は全く無いのに、顔をぐちゃぐちゃにして気絶している二人を引き摺りながら玄関へ向かうと、扉の前で待機していたバリオが頭を下げてきた。
 自分の主人がぞんざいな扱いをされているというのに、一度視線を向けるだけで静かに笑うだけだった。

「お前の主人はこうなっているが、何も言わないのか?」
「私では貴方に敵わないと理解しております。それに、二人には良き薬でしょう」
「……もう見限っているのか?」
「はい。ですが一つだけ訂正がございます。私の主人はこのバルドミール様でなく、そのお父上でございます」

 それから少しだけ話を聞いたが、このバリオは俺の爺ちゃんにあたる人の従者らしい。すでに亡くなっているが中々のやり手だったらしく、バリオも心から信頼して仕えていたそうだ。
 しかしその主人が亡くなり、子であるバルドミールがドリアヌス家を継いでから貴族の品格は下がる一方。気に入った女を見れば見境無く手に入れようとして、エルドランド家のように没落させたのも一つや二つじゃないそうだ。
 バリオは主人への忠誠心から必死にドリアヌス家を支えていたが、バルドミールはいくら助言をしても聞かず、庶子とはいえ年端もいかない我が子を追い出したのを切っ掛けに見限ったそうだ。その子供はおそらく俺の事だと思う。
 そしてこの屋敷を管理すると言ってバルドミールから離れ、たまに休暇で来るこいつらを相手をしながら、余生をのんびりと過ごしていたそうだ。

「ドリアヌス家の財産管理をしていたのは私です。なので、調整していた私がいなくなり、数年も経てば潰れると思っていたのです」

 こんな下種の家が今まで潰れずに保ってこれたのだ。それを支え続けてきたバリオは相当優秀なのだろう。だがそれも数年前の話で、自分のいなくなったドリアヌス家は衰退し続けるだけだとバリオは思っていたそうだが……。

「ですが、幸か不幸かカリオス様が道具を発明して少しだけ立て直してしまいました。それも一時的に過ぎないのに、調子に乗った結果がこれです。全く、先立たれた旦那様が知ったらどれほど嘆くやら」

 バリオはボロボロになったバルドミールとカリオスを冷めた目で見下ろしていたが、顔を上げた時には柔らかい笑みを浮かべていた。

「それにしても貴方はお優しいですね。最悪命は無いと思っていましたが、五体満足で気絶させるだけとは」
「いや、実はまだ終わっていない。仕上げをするために、馬車の物が必要なので外に出るところだったんだ」
「なるほど。よろしければ私も見学しても?」
「ご自由に」

 バリオは一度頭を垂れてから、玄関の扉を開けてくれた。
 そして親子とバリオを連れて外に出ると、すぐに弟子達が気付いて俺の元へ駆けてきた。

「兄貴ーっ!」
「シリウス様! ご無事ですか?」
「ああ、こっちは問題ない。それよりお前達の方はどうだ?」
「はい、私達はシリウス様がいなくなってからしばらく待機していたんですけど、急にあの冒険者達が襲ってきたんです」
「そうなんだよ兄貴。何か姉ちゃんとホクトさんと俺が珍しいからっていきなりだぜ?」

 視線を横へ向けてみれば、ロープで縛られた冒険者達が地面に転がされていた。御者台に座ってた男も仲間だったらしく、仲良く三人揃って気絶している。
 まともな冒険者ならあの下種に雇われたくないようだし、自然と性格の悪い冒険者が集まるわけだな。
 馬車の近くではホクトの毛を手櫛で梳いているリースがいたが、珍しいことに彼女は怒りを露にして頬を膨らましていた。

「いきなりホクトを縛ろうとしたり、エミリアとレウスが高値で売れそうって平然と言うんですよ。いくらなんでも許せません」
「私達が若いからって甘く見ていたらしく、ホクトさんとレウスがあっという間に片付けましたので、私達に怪我はありません。それより、シリウス様は何があったのでしょうか?」
「外まで響き渡る叫び声が聞こえてたけど、もしかして兄貴が持ってるそれ?」
「ああ、実はだな……」

 弟子達に屋敷内の状況を説明した。
 最初は見るに耐えない状況になった親子を憐れんでいたが、リースを調教しようとしたり、エミリアとレウスの処遇やホクトを売ろうとしたと聞くと、虫けらを見るような目になっていた。

「私やリースはシリウス様のものなのに、それを奪おうとするなんて。当然の結果ですね」
「わ、私はシリウスさんのものじゃないよ!? た……たぶん。それより、本人の意思を無視してそんな事を言うなんて、本当に酷い人達です」
「そいつらを連れてきてどうするんだ兄貴。埋めるのか?」
「生き埋めより、まずはこいつらに現実と言うのを教えてやらないと思ってな」

 掴んでいた親子を放り、リースの魔法で生み出した水をかけてもらうと、二人は呻きながらも目を覚ました。
 そして俺の姿を見るなり……。

「ひ……ひやああぁぁぁっ!」
「はひぃっ!? ひ、ひぃ!?」

 立ち上がろうとしたが腰が抜けていて、手と膝で這い蹲りながら逃げようとしていた。うむ、我ながら見事な調教成果である。

「……シリウスさん、この人達に一体何を?」
「ちょっと色々と思い知らせてやっただけだ。お前達を狙ったのだから当然の処置だろ」
「流石シリウス様。見事な手際です」
「兄貴にかかれば、どんな奴だって従順さ」

 親子の豹変にリースは困惑しているが、姉弟の方は誇らしげに頷いていた。相変わらずこの姉弟はぶれないな。
 そんな弟子達に苦笑していると、親子は恐怖を振り払うかのように俺を見て叫んでいた。

「こ、ここここの……化物めぇ! 実の親ですらこのような仕打ちをする貴様なぞ、もはや子ですらないわ!」
「寄るな化物ぉ! 人の皮を被った悪魔めぇ!」
「……レウス。この人達をどうすればいいかわかりますね?」
「当然だ姉ちゃん。兄貴を貶す奴等は、俺達がー……」
「はいはい、落ち着きなさい」

 ぶつけられる罵倒に姉弟が殺気を放ち始めているが、俺は姉弟の頭を撫でて落ち着かせた。
 だが今回は少しだけ違う。この親と名乗る下種達にはっきりと教える為に、俺は姉弟の首を抱えるように引き寄せて言ってやった。

「血が繋がっていようが、お前達に親や兄弟を名乗る資格は無い。俺の家族はお前達じゃなくて、隣にいるこいつ等だ」
「シリウス様……」
「兄貴……」
「もちろんリースとホクトもだぞ。皆、俺の大事な弟子で仲間で家族だ。関係の無いお前達に化物呼ばわりされたって、痛くも痒くもないな」
「シリウスさん……」
「クゥーン……」

 背後に立つリースとホクトにも笑いかけてやると、リースは笑みを浮かべて隣に立ち、ホクトは俺の背中に顔を擦り付けてきた。
 迷い無く言い放つ俺に気圧された親子だが、近くに立つバリオの存在に気付いて笑みを浮かべた。

「ば、バリオっ! そこで何をしている! 早く奴を……早く奴を何とかしろ!」
「何とかしてこいつを追い払ってくれ! そうすれば後で……」
「落ち着いてくださいバルドミール様。そしてお坊ちゃまはシリウス様との力の差をご理解ください」
「へ、平民ならば、我が家の権力を使えばどうとでもなるだろうが!」
「いい加減にしなさい! 今度こそ本当に殺されますよ。それに彼はまだ話す事があるようですから、真面目に聞かないと更に酷い目に遭いますよ」

 酷い目に遭うと聞いてバルドミールは素直に頷き、カリオスは歯噛みしながらもこちらに視線を向けてきた。
 どうやら今の親子にとってバリオは最後の希望らしく、話す内容も一理あると思ったのか、彼の言葉を素直に聞き入れて従っていた。こちらへ上手く誘導してくれたので、俺はバリオに感謝しつつ仕上げに入った。

「エミリア」
「はい!」

 名前を呼んだだけでエミリアは馬車へ走り、リーフェル姫から貰ったマントを持ってきて背中に羽織らせてくれた。そして背中に描かれたエリュシオンの国章を見せつけてやると、バリオとカリオスは口を広げて固まっていたが、バルドミールは首を傾げて疑問符を浮かべていた。

「あ、あれは!? まさかこんな平民が……だと?」
「エリュシオンの国章が何だ! そんな物、エリュシオンへ行けば幾らでも……」
「それはありませんよバルドミール様! エリュシオンでは、許可無く物に国章を付ける事を許されておりません。つまりあれは、国から直々に授けられた代物というわけです」
「なっ!? う、嘘だ! あいつは貴族ではない! そうか、私の名前を勝手に……」
「残念ですが、地方貴族であるドリアヌス家の名前があったところでエリュシオンは動きません。つまり、彼は実力であのマントを授けられたわけです。城の兵士程度では貰えませんので、おそらく相当上の役職かと」
「ち、父上。私は以前、エリュシオンへ行商している商人から聞きました。とある平民が王族に勧誘され、近衛のマントを授けられたと。つまりあいつは……」

 説明する手間が省けたな。それにしてもこんな田舎まで俺が勧誘された話が広まっているなんて、それだけ話題になるような出来事だったのだろうか。
 何にしろ理解してくれたのなら話は早い。王族の近衛(予定だが)にうだつが上がらない地方貴族が、平民だとか言って馬鹿にする事はもうできまい。
 追い出した子が、自分より偉くなっている現実にバルドミールは力無く笑うだけだった。

「ふ、ふはは……これは夢……だな。こんな子供が、私より偉くなっている筈などあるわけないだろう」
「いいや、現実さ。信じられないと言うならば、目の前で王族に認められた実力を見せてやろう」

 俺はマントを翻し、アルメストの町がある方角に向けて手を伸ばした。その昔、ここから真っ直ぐ町へ向かえる道を作ろうとしたらしいが、鬱蒼とした森が広がるせいで断念し、遠回りになる現在の道しか作れなかったと母さんから聞いた。

「あんた達はあの道が狭いって文句を言っていたよな? だったら……新しい道を作ってやるよ」

 放つのはロードヴェルの『山崩落マウンテンプレッシャー』を砕いた『アンチマテリアル』だ。
 イメージの練り直しと練習の甲斐もあって、あの頃より精度と威力が増した魔力弾が手から発射され、轟音を立てて樹や森を薙ぎ払っていく。
 結果……鬱蒼とした森に屋敷へと繋がる一直線の道が出来上がった。足元は悪いが、大きい馬車でも余裕で通れる広さだ。
 ちなみに『サーチ』で人が居なかったのを確認しているし、『アンチマテリアル』の射程も森が切れる位置までにしておいた。
 破壊を目の当たりにしたバルドミールとカリオスは呆然としていて、振り返った俺と視線が合うと、再び体を震わせてバリオに縋りついていた。

「助けて! 助けてくれバリオ! あんな化物を一体どうしろと言うのだ!」
「嫌だ! 殺される! 何で……何であんなのがあの小娘から生まれたのだ!」
「……わかりました。私が交渉してみましょう。危険ですので、お二人はお下がりください」

 バリオの言葉に何度も頷き、二人は素直に離れて近くの樹に身を隠した。苦笑しつつバリオはこちらに歩いてきて、俺の前に立って大きな声を出しながら頭を下げた。

「どうか、お二人の無礼をお許しくださいシリウス様! まだお怒りが収まらぬと言うのならば、私の命を代わりに捧げましょう」

 見限ったと言っていたのに、どうして庇うような真似をするのかと思うが、親子に聞こえるように声を出している時点でバリオの意図が読めた。ここは彼の思惑に乗ってあげるとしよう。
 弟子達に待機の指示を出し、俺は偉そうに胸を張りながらバリオに手を向けた。

「ほう、お前は死んでもかまわないのか?」
「老い先短い命ですが、ドリアヌス家の未来の為に役立つのならば本望です。ですから、どうかお二人に恩情を与えください」
「……いいだろう。お前の忠義に免じて許してやる」
「恩情、感謝いたします」

 この人は中々の狸だな。親子から見て、バリオは自分の命を盾に救ってくれた忠臣としか思えまい。二人から絶大な信頼を得るどころか、大きな貸しを作ったわけだ。この騒ぎが落ち着いたら、この屋敷の所有権を貰う予定ですとか呟いている。
 許されたのがわかった親子がお互いを抱き合いながら喜んでいる光景を背に、バリオは再び頭を下げて礼を言った。

「茶番に付き合っていただき、真にありがとうございます」
「後始末してくれそうだったからな」
「はい、十分に理解していると思いますが、落ち着いた後で関わらないように言い聞かせておきましょう。まあ、貴方達を害する権力も金も能力すら無いので無理な話でしょうが」
「はは、違いないな」

 後に聞いた話だが、バリオは母さん達がバルドミールの本邸にいた頃にエリナ母さんと知り合ったそうだ。
 しかしバリオはエルドランド家への工作を止められなかった負い目と、エリナ母さんはドリアヌス家を憎んでいたこともあって、二人は仲良く会話する仲じゃなかったそうだが、お互いの従者としての能力は認め合っていたらしく、不思議な絆はあったそうだ。
 余生を過ごす先をこの屋敷に選んだのも、エリナ母さんが苦楽を共にした場所だからという理由らしく、命が続く限り守っていこうと思ったからだそうだ。
 そう真剣に語る彼は信頼できそうなので、山奥にあるエリナ母さんの墓を教えてあげたら、定期的に様子を見に行って掃除をすると約束してくれた。とても助かる話だが、無理だけはしないようにしっかり言い聞かせておいた。

 くだらないゴミ掃除もあったが、こうして俺のお家騒動は終わりを告げるのだった。



 バリオと別れてアルメストに着いた俺達は、ガルガン商会へ顔を出してガッドと再会した。しかし今日は色々とあって遅くなっていたので、詳しい話は明日にしてまずは宿を紹介してもらった。
 そして紹介してくれた宿はアルメストでも一、二を争う大きな宿で、更にガッドの口添えでホクトも宿に入れてくれるのを許可してくれたのである。ちなみにホクトを初めて見たガッドは驚きはしたものの、俺に相応しい従魔だと笑っていた。元冒険者で商売の世界を生きているせいか、中々胆力が強い人だと思う。

「ガルガン商会のお得意様ですし、最高の部屋をご用意しましょう。個室と皆さんが入れるような大部屋がありますが、どちらを選びますか?」
「個室ー……」
「「「大部屋で!」」」

 ……多数決により、全員が大部屋に泊まることになった。
 案内された部屋は床一面に高級な絨毯が敷かれ、お風呂も完備された立派な大部屋だった。大きなベッドも四つあるので、この部屋ならゆっくり出来そうだな。
 ベッドに寝転がりながら旅の疲れを癒していると、絨毯の上で寝ているホクトを見て思い出した。そういえば、さっき町でホクト用のブラシを買ったんだよな。
 というわけで、早速ホクトをブラッシングしてやろうとブラシを取り出したが、姉弟の方が先に反応していた。が……ホクト用のブラシと判明すると、尻尾と耳を垂れさせて落ち込んでいた。後でやってやると言ってやればすぐに立ち直ったので、気にせずホクトをブラッシングするとしよう。
 ホクトを呼ぶと尻尾を振りながら近づいてきたので、絨毯の上に寝かせて俺はブラッシングを始めた。

「クゥーン……」
「気持ちいいか? やはりこうしていると落ち着くな」

 ホクトの体は大きいのでブラッシングするだけでも大変だが、この心地よい毛を堪能できると思えば苦にはならない。というか、昼間の下種のせいでちょっと心が荒れていたので、こうしていると心が洗われるようだ。やはりアニマルセラピーは効果抜群だな。
 それにしてもこの毛は本当に不思議だな。ブラシが全く引っかからないし、抜け毛もほとんどない。おまけに水や汚れどころか血さえも完全に弾くので、輝く白をいつまでも保ち続けている。この抜け毛を溜めて枕やクッションにするのもいいかもしれない。
 そのままブラッシングを続けながら、俺はガッドと話した内容を思い出していた。


 ガルガン商会に着いてすぐに宿を紹介してもらったが、実はガッドに二つだけ用事を頼んでいたのだ。
 一つは、カリオスが売ったという道具の存在についてだ。
 一体どんな物かと詳しく聞いてみれば、涼しい風を起こす魔道具……つまり扇風機みたいな物だった。魔法陣で動く魔道具なので、羽が存在しないから扇風機と例えるのも変か。
 とにかくそれは、水の魔法陣と風の魔法陣が描かれた大きな箱型の魔道具で、魔力を流せば水気を含んだ風を起こす仕組みだそうだ。カリオスはそれをガルガン商会とは別の商会に売りつけ、売り出した時期が暑い時期もあって飛ぶ様に売れたらしい。
 持ち運びが不便で、二つの魔法陣を同時に使うので魔力の消耗が大きい等の欠陥はあるそうだが、次の暑い時期にも大量に売れるだろうとガッドは睨んでいた。
 というわけで、俺は前世の知識から本物の扇風機を提案してみた。
 羽根車を回すモーターは無いが、代わりに魔法陣を使えばいいのだ。扇風機の全体像と、一番難しいであろう羽根車を細かく説明した図を渡し、少ない魔力で羽根車を回す魔法陣の描き方も教えてやった。
 それらを渡されたガッドは目を輝かせ、俺の手を握って歓喜していた。

「凄い発明品だぜ旦那! こいつはあの魔道具よりコンパクトだし、魔力消耗も少ないうえにコストも安い。確実に売れるぞこいつは!」
「これを売りまくって、カリオスの魔道具を廃れさせてくれ。間接的に仕返しをする」
「任せてくれ!」

 ガルガン商会もドリアヌス家が鬱陶しいらしく、ノリノリで俺の提案を受けた。これが売れてカリオスの道具が売れなくなれば、ドリアヌス家の収入も減るだろう。やるからにはとことんやるのが俺だ。

 そしてもう一つは、エリュシオンへ手紙の配達を頼んだ事である。
 内容はもちろん今日の事で、権力を振りかざし、気に入った女性を見つけたら相手の家を潰してまで手に入れようとする横暴貴族がいるという内容だ。ちょっとした報告書みたいなものだな。
 その貴族の長男が、リースを調教したいと下心満載で宣言していた……と、書くのを忘れてはいない。
 エリュシオンの権力がここまで届くか知らないが、リースを溺愛する王と姫だ。秘密裏に何かしらの罰を下すだろうな。適当な理由を付けて爵位剥奪程度で済めばいいかもしれないが、下手すれば暗殺者とか送られそうな気がする。

 これからドリアヌス家は経済打撃に加え、王族から何かしらの処罰が下るわけだ。数ヵ月後には、あの家はどうなっているのか想像もつかない。
 まあ、今更奴等がどうなろうと知ったこっちゃない。俺はもうすっきりしたし、もはや俺達にちょっかいをかける余裕すら無いだろうし、忘れるのが一番だろう。

 それから気持ち良さそうに目を閉じているホクトのブラッシングは続いたが、八割ほど終わったところで俺の手は止まった。
 突然止まった手にホクトが顔を向けてきたが、俺の隣を見て納得したようだ。

「……で、お前達はそこで何をしている?」
「順番待ちです」

 自分用のブラシを持ちながら、エミリアは満面の笑みで俺のすぐ横に座っているのである。その隣にはレウスも並んでおり、何故か櫛を持ったリースも並んでいた。

「シリウス様のブラッシングは最高です。こう、天にも昇る心地と言いますか……とにかく幸せになれるのです!」
「ホクトさんには負けるけど、俺の尻尾だって負けていないぞ兄貴!」
「あの……何だか私も参加しなきゃいけない気がしまして。家族ですし……これくらいはいいですよね?」

 ホクトは楽しみに待つ弟子達を見て、仕方がないなと言わんばかりに小さく吼えて俺から離れた。狼だけど、この中でお前が一番の大人だよ。
 エミリアはすぐさま俺の前へ座り、尻尾を振りながら俺に自分用のブラシを渡してきた。

「どうぞシリウス様! 私の尻尾を存分に堪能して下さいませ!」
「わかったから、尻尾を振るのを止めなさい」

 興奮するエミリアを宥めながら、俺は弟子達のブラッシングを始めるのだった。それで人族のリースは尻尾が無いから、髪を梳いてやればいいのだろうか?

「ああ……幸せです……」
「おお……そこそこ! やっぱり兄貴のブラッシングは最高だな!」
「えへへ……姉様とセニア以外の人から梳いてもらうなんて初めてですけど、気持ちいいです」

 毛の艶を見る限り、弟子達の健康状態に異常は無さそうだ。
 エミリアの尻尾は相変わらずふわふわで気持ち良かったし、レウスの尻尾は跳ねたりして癖はあるが、肌触りは悪くない。
 リースの髪は先端が少しだけ丸くなる癖毛だが、櫛の引っかかりは全く無いしさらさらである。ホクトとはまた違った感触にちょっと癖になりそうだ。

 弟子達のブラッシングを終え、俺は部屋のソファーに座ってお茶を飲んでいた。
 このお茶は部屋の備え付けやルームサービスではなく、エミリア自らが宿の厨房を借りてきて用意してくれたのである。
 そんな彼女は俺の隣でブラッシングの余韻に浸って身悶えていた。レウスはブラッシングの気持ち良さから眠りに落ち、今はベッドで大の字になって寝ている。ちなみにリースはホクトにブラッシングの続きをしてあげていた。

「はふぅ……満足しました。今日は気持ちよく眠れそうです」
「……あにゅきぃ……」
「シリウスさん程じゃないけど、気持ちいいかなホクト?」
「オン!」

 バルドミールと俺は確かに血が繋がっているが、親のいなかった俺にとっては血ではなく、傍に居て心休まるのが本当の家族だと思っている。
 そんな俺達は師匠と弟子で、あるいは主と従者という上下の関係なだけで、血が繋がっているわけじゃない。
 だが、今の俺にとってこいつ等は無くてはならない存在になった。これからも命続く限り守り、そして守られていくとしよう。

 思い思いに過ごす弟子達……いや、家族を眺めながら、俺は心休まる時を過ごしたのだった。

 おまけその一

「血が繋がっていようが、お前達に親や兄を名乗る資格は無い。それに俺の家族はお前達じゃなくて、隣にいるこいつ等だ」
「シリウス様……」

 エミリアからの好感度が上昇しました。
 エミリアの好感値が限界に達しました。
 引き続き、十回目の限界突破処置を行います。
 エミリアは『絶対なる愛の従者』へとクラスアップしました。




 おまけその二

 シリウスがバルドミールと再会した数日後。
 エリュシオン城内、リーフェル姫の私室にて。

「リーフェル様、難しい顔をして何を読んでいらっしゃるのですか?」
「セニアも読みなさい。貴方も知る権利があるわ」
「では失礼して。…………リーフェル様、申し訳ありませんが、数日ほどお暇をいただきたいのですが……」
「駄目よ」
「そう……ですか。ですがこれは……」
「ちゃんと視察団を派遣するから、それと一緒にね。少しばかりいい加減で、屈強な男が大量に紛れ込んでいるけど、上手く暴走ー……もとい、舵をとるのよ」
「お任せください」
「あと、お父さんに伝えては駄目よ。絶対に城を抜け出して、暴れると思うから」
「わかりました。この手紙は金庫の奥に仕舞っておきましょう」

 余談であるが、どこからともなく嗅ぎつけたカーディアスが、視察団に紛れ込もうとしたそうだが、リーフェル姫が麻痺毒を盛ってどうにか止めたそうな。
 更に数日後、ドリアヌス家は……。




 と言うわけで、ようやく次でノエルとディー達に再会する話になり、十章が終わりです。
 待たせた人は申し訳ありません。
 十章の最後にキャラ紹介を入れようと思いますが、その辺りの更新日数は今のところ不明ですので、次の話で報告したいと思います。

 次の投稿は、何もなければ四日……書いている内に色々浮かべば五日になりそうです。
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