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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第97話【ラスロ回想】魔王と相討ち 死を待つだけの俺を救った、意外な魔物集団とは?!

「やった……やったぞナルガ、お前の分ま……でっ……」


 ようやく倒せた魔王、

 その前で崩れ落ち、荒野に倒れた俺……

 もう動けねえ、目をやると先にやられたナルガの姿がぼんやりと見える。


(ああ、もう視界が……)


 まだ倒さなければならない魔王は何匹か居るはず、

 なのに、なのに俺はもうここで、こんな所で……うくっ!!


「……あぁ、アリナ、ヨラン、エミリ、ネリィ、

 待っているみんな、ごめん……おそらく四年くらいか、

 戻れなかった……せめて、みんな、し、ぁわ……せ……にぃ……」


 ここで俺の意識は途切れた、

 よく人間たったひとりでここまで来られた、

 魔界の魔王を全部倒すなんてやはり無謀だったか……となる所だったのだが。


(……ん? 意識が、戻っ……た?!)


 うっすら開く目、

 ぼやけた先に見えた俺の両手両足、

 と思われた物は……はっきり視界が開けると、俺は叫んだ!


「ひっ! これは、樹っ?!」

「落ち着いて下さい、身体の再生中です」

「さぃ……せ……ぃ?!」「今は私と、樹と一体化して治してします」


 見上げると、

 やさしい樹の顔が……!!

 女性の顔をしている、これは、魔物?!?!


「い、いったい」

「私はアルラウネ一族の姫、アストと申します」

「俺は、俺はどうなっているんだ」「話は後で、今はとにかく身体の再生を」


 後で聞いた話だと、

 人と身体を一体化する事で瀕死や死の直後であれば治せるらしい、

 もちろんアルラウネ一族の、ごく一部の者に限られる最高級の治癒魔法らしいが……


(こうして治った俺は、改めて女王に謁見した)


「このたびは俺とナルガを助けてくれて、ありがとうございます、女王陛下」

「良いのですよ、改めて自己紹介を、アルラウネ一族の長、アウーラです、人間よ、

 ラスロと言うらしいわね、あの魔王を倒してくれてありがとう、我々も困っていたのよ」


 以後の話を説明すると、どうやら魔王と敵対する植物系の魔物達が居て、

 そいつらは別に人間と積極的に戦う気は無い、むしろ気性の荒い魔物の方が嫌っていて、

 従えていたドリアード族も含めかなり劣勢だった所を、俺が相手の魔王をピンポイントで倒してくれたと。


(で、魔王の反応が無くなったので見に行ったら俺が死にかけていた、いやむしろ死んだ直後だったと)


 そこで回復役の姫が慌てて応急処置をし、

 巣に持ち帰りもといアルラウネのお城へ連れて行き、

 俺を治してくれた……人間の回復魔法では無理だっただろうとの話だ。


「本当に感謝します、それで俺の身体は、もう」

「ええ、娘が施した再生治療は欠損すら治しますから」

「お役に立てて嬉しいですは」「あっはい、アスト姫、ありがとうございます」


 そして、もうひとつ感謝しないと。


「そちらのラミアも助けられて良かったわ、なかなかの生命力ね」

「女王陛下、ナルガも助けてくれてありがとうございます、彼女も居ないとこの先……」

「まだまだ魔王を倒しに行くのですね?」「はい、全ての魔王を倒すつもりです」


 そうすれば元の世界へ、

 魔界から人間界へ帰れるだろうというのが、

 ナルガの見立てだ、もうそれを信じるしかない。


「しかし人間の勇者、両手に剣を一本ずつ持つラミア、

 その二者だけで魔王を倒し続けるのも無理があるでしょう、

 どうですか、強い回復魔法の出来る我が娘を貸しましょう」「えっ」


 すっ、と前に出るアスト姫。


「我々に害をなす魔物もまだまだ居ます、

 私達は、私達アルラウネ族、それに従えるドリアード族に害をなさないのであれば、

 人間は捨て置いて構わないと考えます、いっそこちらの世界では組みませんか?」「はあ、是非」


 あの治癒力は、

 心強いどころのレベルじゃない。


「ただし条件があります」「俺で出来る事なら、なんなりと」

「では私の婿になって下さい」「それならいくらで……む、婿っ?!」

「そうでなければ一族の許可は出ないでしょう」「つまり、樹になれと?」「人のままで構いませんよ」


 具体的に俺がどうなるのかは、

 恐ろしくて聞けなかった、だが……


(俺の命があるのは、アルラウネ族、アスト姫のおかげだ)


 ここは乗るしか、ない。


「婿というのは、俺の、人間の認識の『婿』で構わないか」

「はいもちろん、形式だけとは行きませんが、お婿さんになって下さい」

「……細かい擦り合わせは後で良いか、とにかく今は魔王を全て倒したい」「はい、良いですよ!」


 衛兵のドリアード達が歓声を上げた。


「ではアルラウネ族の族長として申し付けます、アストよ、

 婿となる人間の勇者ラスロのために、魔王を倒してくるのです!」

「はいお母様、行って参ります」「長い旅になるでしょう、頑張ってくるのよ」「愛があれば、すぐです!!」


 こうして俺は、

 仲間となる、いや仲魔となるアストを連れ、

 魔王退治の魔界旅を再出発させたのであった……。


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「という話なんだが、ロズリ、どう思う」

「……色々と突っ込みたい所だらけですが、

 ラスロ様は聞いた感想をお望みですよね」「ああそうだ」


 俯いたのち、

 ロズリの放った言葉は……!!


「ラミアのナルガって、誰ですか?!」

「いやいやいや、今はその話は良いだろう」

「順番からいけば、話はそこからでは」「今はドリアードの件だから!!」


 ……他にも秘密は沢山あるのだが、

 さて、とりあえず教えた部分の言い訳を頑張らないとなっ!!

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