表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
549/550

7-1-59(第548話) 虹無対戦~その後~

 戦いの後、俺はどうしたかというと・・・。

「・・・おい。そろそろ起きないとやばくないか?おい、起きろ!」

「!?」

 誰かに起こされて目を覚ます。その誰かというのは、カラトムーアとカラトムーガだった。

「ど、どうし・・・!?」

 起こされ、周囲を見渡し、起こされた理由を推測する。

「て、周囲が暗くなっている!?」

 俺は急いで野営の準備を始める。

「私も手伝おう」

「!?お、おう」

 まさかセントミアさん自ら協力を申し出るとは思っていなかった俺は、思わず声が裏返ってしまう。そんな驚きを体験しつつ、俺はセントミアさんと協力しながら野営の準備をした。

(そういえば、あの二人・・・いや、神だから二神というべきか?)

 何をしているのかと思ったら、ただ俺達を見ているだけだった。少しは俺達を手伝ってもいいのではないかと愚痴ったのだが、

「我らは神故、そうそうこの世界に干渉出来ないのだよ」

「うむ。それ故、何も出来ないのは仕方がない。仕方のないことなのだよ」

(そう言いながら、戦いでは思いっきりこの世界に干渉していたくせに)

 俺は毒を心の中に留めておきながら、野営の準備を続けた。

 野営の準備を終え、ご飯の準備をし始めていたら、ルリ達も起き始めた。どうやらご飯の美味しい香りにつられたらしい。続々と起きてきたルリ達は、俺が作っているご飯を見て、目を輝かせる。

「もしかしてこれ、ホットケーキ!!??」

「?あ、ああ。疲れただろうからな。疲れた体に甘いものは効くからな」

「確かに、アヤトが作るホットケーキは絶品ですからね」

「ホットケーキが夕ご飯だなんて最高です!」

「・・・ホットケーキは至高にして最高の一品」

 リーフ、クリム、イブは早くも涎を垂らし始める。

(今までの疲れと空腹からくる影響、かもしれないな)

 この場には俺達ぐらいしかいないからな。少しくらい涎を垂らしていても文句はないだろう。死ぬか生きるかの戦いをした後だからな。

「出来たぞー。それじゃあ食べるぞー」

 俺は食事開始の合図を出す。ルリ達はホットケーキを食べ始める。

(よく考えたら、激戦でさっきまで眠っていた人達にホットケーキを食わせるって結構まずい・・・?)

 もっとお粥とかうどんとか、消火にいいものを出すべきだったのだろうか?そんなことを考えていたのだが、

(・・・いらぬ心配、だったか)

 食事のスピードに個人差はあるものの、全員問題なく食べることが出来ているようだ。

「・・・それでアヤト、これからどうするのですか?」

「これからって?」

「・・・この戦いに関する報告です。流石になんの報告もしない、というわけにはいかないでしょう?」

「・・・腐っても王女。報告しなければならないということは頭の中に控えていた、か」

「ちょっと。腐っても王女ってどういう意味です、イブ!?」

「・・・言葉の通り」

「な!!??」

「おかわり!!」

 リーフ、クリム、イブの3人がこれからについて話し始めたことに対し、ルリはもう一枚目のホットケーキを完食し、二枚目を食べ始めた。

「それでアヤト、本当にこれからどうするつもりだ?」

「う~ん・・・、」

 正直、今すぐ報告すべきだとは思うが、こんな真夜中に行動したくないからな。真夜中に行動したら、魔獣共に強襲される危険があるからな。更に、今の俺達はいつもよりかなり弱っているから、魔獣共に強襲されたらひとたまりもないだろうからな。万全を期すなら、今すぐ各国に向かうより、一晩ここで過ごしてから向かう方がいいだろう。

 俺は自身の考えをここにいる者達に伝えてみた。

「そこまで私達の気を遣って・・・流石はご主人様です」

「そこまで私達のことを・・・ありがとうございます」

「さっすが、お兄ちゃんだね!」

 クロミル、モミジ、ルリは俺の考えを褒めてくれた。

(なんか、真正面から褒められると照れるな)

 内心照れつつ、食事は進む。

 話し合いの結果、ひとまずここで一晩を越し、明日の朝、各国に足を向かわせる、という結論に至った。各国に向かう方法なのだが、

「そういえばリーフ達はどうやってここに・・・え?全部レンカが魔道具を作ったからここまで来ることが出来たのか!?」

 そう言えば俺、各国へ一瞬で行ける宝珠を持っていたから、リーフ達は使うことが出来なかったのか。だからレンカが代用品を作った、ということか。

(レンカの奴、凄いな)

 自身が魔道具だから魔道具に精通しているのは理解していたが、まさかここまでとは思わなかったぞ。でもまぁ、レンカが魔道具に精通していたからこそ、俺は助かったんだな。

「助かったよ、レンカ」

 俺はレンカにお礼を言う。

「いえいえ。持ち主の役に立つ事こそ、魔道具である私の誉です」

「・・・そうか」

 レンカにはレンカの考えがある。そう思う事にして、レンカの考えを尊重しようと何も言わないことにした。

 食事を終えた俺達は、俺を除いた人達で片付けを始める。

(俺は夕飯を作ったから片付けしなくていい、とは言われたものの、俺だけ何もしないのはなぁ・・・、)

 とは思ったものの、激戦を終えた後に夕飯も作ったので、片付けまでする余裕が無いな。なので俺は大人しく休憩することにした。

(これから、か・・・、)

 セントミアさんに指摘されて、俺はこれからのことについて考え始める。

(流石に何も言わないわけにはいかないか)

 とはいえ、何をどのように報告すればいいのだろうか。

 正直にありのままを報告すれば、確実にセントミアさんは無事ではないな。よくて一生タダ働き。普通に考えて死刑。悪ければ拷問の末、死刑。

(どれも嫌だな)

 俺としては避けたい問題だ。だがまぁ、セントミアさんについてはある程度考えているから大丈夫・・・だと思いたい。俺の嘘八百がどこまで通用するかによるが。

(問題はあの二神、だよな)

 あいつらの暴走について、どう言い訳したものか・・・。

(それも嘘八百で誤魔化すか?)

 となると俺はこれから、嘘まみれの報告を各国のトップにするということだな。・・・これ、噓がばれたら不味くね?

(だからと言って全て正直に話すのは・・・、)

 と悩んでいたら、

「・・・何か悩んでいる?」

「!?い、イブか!!??」

 びっくりした~。後ろからいきなり話しかけないでほしい。びっくりし過ぎてショック死してしまうところだったじゃないか。

「・・・?なんか悪いことしたみたいで申し訳ない」

 そう言い、イブは俺に頭を下げてくる。

「いや、頭下げなくていいから。いいからあげてくれ。俺が過剰に驚き過ぎただけだから」

 俺は過剰に驚いた理由をイブに話す。

「・・・なら、表向きと裏向きで分けてみるのはどう?」

「・・・どういうこと?」

「・・・話せる範囲、公言しなくてはならないこと最低限はきちんと話し、後はぼかしていいと思う。けど、話す人数は絞るにしても、真実は話すべきだと思う」

「・・・なるほど」

 つまり、事情を詳しく知らなくてもいい人達には魔獣が大量発生したみたいな軽いさわり程度に伝えるが、大事な人達には真実を全て話せ、と。

「一体誰に話すべきなのかね」

 それこそ王族とかそれに近しい人・・・ああ。

「国のトップには伝えた方がいいんじゃないか、そう言いたいのね」

 俺は確認の意味でイブに問いかける。

「・・・ん♪」

 するとイブは気分良く返事をする。

(だとしてもセントミアさんの事を正直に伝えるのは・・・あ)

 俺はここで一つの案を思いつく。

(この方法なら・・・うん、嘘は言っていないな)

 この案の筋書き通りなら、セントミアさんが裁かれることはない・・・と思う。多分、そう信じたい。

 俺は話す事を脳内で何度も反復させながら夜を過ごした。

 一晩を超え、俺はリーフ達に、今回王様達に話す内容を伝えてみた。

「・・・と、こんな感じで話そうと思うのだが、どうだろうか?」

「・・・いいと思う」

 イブのこの一言で、

「ですね。なら次は誰に話すか。いつ話すかを決めますか」

「準備が必要でしたらなんでも申しつけてください。私が準備いたします」

「クロミル殿だけにそんな苦労はさせません。魔道具である私も手伝わせてもらいます」

「クロミルお姉ちゃんもレンカお姉ちゃんも何かやるのー?ならルリもやるー♪」

「あ、えっと・・・何も出来ない私でもよければ、いくらでも力をお貸しします、よ?」

「・・・それじゃあ、よろしく頼む」

 ということで、俺はクリム達の協力を得ながら準備を始める。


 数日後、俺は即席で大きな部屋を自作し、そこに各国の重鎮を座らせていた。事前の連絡はリーフ達に任せ、俺はひたすら会議の場を整えていた。ここに各国の重鎮が集まるわけだからセキュリティ面は重視しないといけないし、飯も美味いものを準備しておかないとな。

(だが、この場を襲撃する奴なんているのか?)

 今俺達は無の国の跡地にいる。人気は一切ない。人気どころか魔獣の気配も一切ない。こんな何もないところを誰が襲撃するというのだろうか。ちなみに、ここに各国の重鎮が集まることに関して、極秘に進めているのでほとんどの者が知らないはず。あの王族達が口を軽くしてあちらこちらに話すとは思えないが、万が一話したとしても大丈夫だろう。

(そもそもこの場に来られる者なんているのだろうか?)

 だとしたら、襲撃の対策なんてする必要はないのでは?・・・いや、もしもの時を考えて対策はこうじるべきだな。

 数日経過し、いよいよ各国の重鎮達との話し合いが始めようとしていた。クリム達は話し合いに向けて準備をし、各国の重鎮を迎えに行っている。当の俺はというと、

「・・・やばい。今すぐ逃げ出したい。し、死ぬ~」

「いや、死にはしないだろう」

 緊張で死にそうになっていた。セントミアさんが俺に冷静なツッコミをしてきたが、そんなツッコミ、俺には聞こえんがな。

「おい、俺を誰だと思っている!?生粋の引きこもりボッチなんだぞ!!??普段、人と話さない人間が国の重鎮達と話すなんて・・・心が死んでしまう!」

「・・・とても私と戦った者と同一人物とは思えないな」

 セントミアさんは更に呆れていた。

(だって、人と話すんだよ!?人と話すなんて拷問よりきつい・・・ことはないな)

 救いがあるとすれば、どの各国の重鎮とも初対面ではない、という点だ。

 赤の国の重鎮は、クリムの父親。

 青の国の重鎮は、ラピスの身内。

 緑の国の重鎮は、カリーナとエーガン。

 黄の国の重鎮は、ザッハとその姉妹達。

 白の国の重鎮は、グード、シーナリ、ジャルベ。

 魔の国の重鎮は、イブの父親と母親。

 以上の者達が出席するらしい。

(名前を聞く限り、どの人も俺が話したことがある人達ばかりだ)

 これなら大丈夫・・・かもしれないな。もしかしたら他にも重鎮の名前を言われていて、知らず知らずの内に記憶から抹消している可能性も否定出来ない。見知った人物ばかりとはいえ、気を抜かないよう引き締めていこう。

「!?どうやら来るようだぞ」

「!?」

 セントミアさんの言葉に、俺は気を引き締める。確かにセントミアさんの言う通り、何者かの気配がある。そしてその気配はどんどん近くなっていくな。

(この気配・・・ということは・・・、)

 最初に来たのは、

「・・・それじゃあお父様方、ここに座って、全員が来るまで待っていてください」

「うむ」

 クリムとその父、スレッド=ヴァーミリオンだ。

(後もう一人いるな。あの人も見覚えがあるような、ないような?)

 誰なのかは知らないが、この場に呼ぶくらいだ。国の重鎮なのだろう。

「・・・」

 クリムの父は、俺を少し見た後、指定された席に座った。俺に対して何か言いたそうにしているが、この後ちゃんと発言の時間を確保しているので、今は黙って待っていてほしい。

 この後、続々と各国の重鎮がこの会合場所に集まり、指定の席に座っていく。そして、全員着席した。

(いよいよか)

 俺は覚悟を持って話し始める。

「まずはこの場に集まっていただき誠に感謝する」

 俺は言葉の後、周囲に一礼する。

「色々言いたいことはあるだろうが、まずは一通り聞いてほしい」

 その後、俺は頭を上げ、今回の一連の件について話す。



・今回の件の発端は、ある強力な魔獣の目覚めから始まったこと

・その強力な魔獣の咆哮に他の魔獣共はビビり、強力な魔獣から距離を取ろうと逃走したこと

・その為、各国に魔獣の軍勢が向かってしまったこと

・そして、今回の発端となった魔獣は無事に討伐出来たこと



 大まかに話し終えた俺は、

「・・・以上で、今回起きた騒動の一連の流れです。この流れを公式に、表向きに伝えてくれると助かる」

「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」

 俺の表向き、という発言に全員が驚きを隠さなかった。無理もないか。だって暗に、真実は違うと公言しているようなものだからな。

「ひとまずここで話は一段落ついたが、続けて話を続けても問題ないか?休憩が必要なら休憩を挟もうと思うのだが?」

 俺は周囲を見渡す。

(・・・どうやら休憩は不要みたいだな)

 おそらくだが、休憩が不要ではなく、俺の表向き、という発言の真意が聞きたい感じだな。

「・・・それでは、ここまでの内容は紙に記してあるので、各国に知らせるときはこの紙を配布するので見ながら伝えてほしい」

 俺はリーフ達を促し、各国の重鎮達に書類を渡す。重鎮達は書類を見た後、すぐに書類を置いた。

「それじゃあ次はここだけの話として、真実を話すとしよう」

 さぁ、ここからは俺の嘘がどれだけ通用するか、だな。

(頑張ろう)

 俺はまた話し始める。



・今回の件は、俺の隣にいるセントミアさんが発端となった

・セントミアさんが発端だが、セントミアさんは操られていた

・操っていたのは、自称神と名乗る者、カラウトだった

・カラウトはセントミアさんを操り、この世界を滅ぼそうとした

・それを阻止する為、俺はセントミアさんを止め、リーフ達と協力してカラウトを倒した



 話し終えた俺は飲み物を口に含む。

(この空気、嫌いだなぁ)

 分かっていたことだが、この静まりきった空気、誰かなんとかしてくれないかね。下手な一発ギャグを言って場を和ませたいところだが、今言うと空気が凍えるどころか絶対零度の視線を向けられそうで恐ろしいな。

「・・・アヤトの言葉が全て真実だと言える証拠はあるのかね?」

 イブの父親、ゾルゲムは俺に質問する。

「ない。こればかりは俺の言葉を信用してもらうしかないな」

「信用、か。カラウト、という神、本当はいないのだろうに」

「!?」

 やば!?俺は一瞬焦ったが、すぐにポーカーフェイスを維持する。

「ふ」

「・・・何故ここで笑う?」

 俺は突然笑った黄の国の王、ザッハに質問する。

「何故ってあんな分かりやすい嘘、見抜けない方が馬鹿だろう?冒険者の俺ですら分かったんだ。王族として様々な教育を受けてきた者達ならあんな嘘を見抜くくらい造作もないだろうな」

「・・・」

 俺は周囲を見る。

(・・・どうやら俺の嘘はばれているらしいな)

 二重で嘘をつき、ポーカーフェイスを維持すればいけると思っていたのだがな。どうやら俺の考えは浅はかだったらしい。

「・・・それで、真の事を教えてくれるな?」

「・・・カラトムーア、カラトムーガ、この言葉に聞き覚えがある者はいるか?」

 俺の言葉に、全員お互いを見渡し、首を横に振る。

「カラト・・・ムーア・・・ムーガ・・・まさか!?」

「そうだ」

 俺はザッハを肯定する。

 ヤヤ、ユユ、ヨヨの三人にはミドルネームとしてカラト、ムーア、ムーガが使用されている。その事を俺は肯定したのだ。

「・・・随分昔に読んだことがあります。昔、その名を冠した神がいた、と」

「「「「「!!!!!?????」」」」」

 カーナの発言に、国王達は驚きを隠せていないようだ。俺も出来ればこの名を言いたくはなかったのだがな。

「まさか、この事態を引き起こした元凶は・・・、」

「・・・口外厳禁だ」

 俺のこの一言で全てを悟ってしまったのだろう。再び黙ってしまった。

「まさか、神と、戦った、というのか・・・?」

「・・・神を信仰している者達からすれば俺は邪教徒だろうな」

 俺のこの一言で、空気は更に重くなった。特に白の国の重鎮達の空気が重いな。

(無理もないか)

 なんの神を祀っていたのかは不明だが、心から慕っていた神がこの世界を滅ぼそうとしていたのだ。この事実に落胆したのだろう。

「一旦今日はここまでにしよう」

 いつの間にかこんな時間になってしまったな。本当はもっと早く終わる予定だったのだが、想定以上に質問があったな。

(俺の想定不足だな)

 夕飯を終えた俺達はその日を終え、会議は翌日に持ち越された。持ち越されたと言っても、俺から話す内容は既に終えているので、主に各国の重鎮達からの質問がほとんどだった。

 やれ、どんな戦いだったのか。

 やれ、何故神がこの世界を滅ぼそうとしたのか。

 やれ、お前はどうやって神に勝利したのか。

 言いたくないことは出来るだけぼかしたが、この際無魔法について話した方がいいと思い、無魔法について話してみた。そして無魔法について話す流れでセントミアさん含めたヌル一族についても話す事にした。

「・・・その無魔法?だったか?聞いたことがない魔法だ。お主は出来るのか?」

「どうやら俺にはその無魔法に適性があるらしい。なにが出来るかというと・・・、」

 俺は一瞬で六色の魔力の塊を作ってみせる。

「こんなことが出来る」

 俺の魔法を見た後、全員が意味不明な何かを見ているような、信じられないものを見ているような視線だった。

「こんなことって言われてもよく分からないのだが・・・?」

 そう言われたので、

「無魔法の特徴は、簡単に言うと【想像】と【創造】で、自分で【想像】した魔法を【創造】出来る。これがこの無魔法の特徴なんだ」

 簡潔に説明したところ、

「「「「「「・・・」」」」」」

 全員、ピンときていないようだった。なので俺は、あることを口にした。

「まだ俺は試していないが、やる気になれば・・・命を魔法で造ることも可能、だと思う。そうだろう?」

 俺は隣にいるセントミアさんに聞く。

「ああ」

(おそらく、パラサイダー・ヌルやメイキンジャー・ヌル達は無魔法によって創造された眷属みたいなものだろう)

 だからセントミアさんなら可能だと知っていると思ったのだが、やはり可能だったか。もしかしたら、無魔法でも命の創造が出来ない可能性もあったのだが、そんなことはなかったらしい。やはり無魔法はチートだな。

「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」

 俺の発言内容に、各国の重鎮達は驚きを隠すことが出来ていない。この二日で、この重鎮達が驚く様子を何度も見ているな。

「・・・他にも、その無魔法に適性を持つ者がいるのか?いるなら・・・、」

「俺とセントミアさん以外にはいないはずだ」

 ・・・あれ?そういえばルリも無魔法に適性を持っていたような・・・?まぁ、ルリはいつも俺が近くにいるから大丈夫か。

「・・・そんなでたらめな力を持った者が今回のような暴走をしたら、一体誰がその暴走を止めてくれるというのかね?そんな力に対抗するには・・・、」

「俺が止めるさ」

 ゾルゲムの発言に被せるように、俺は宣言する。

「俺が全部止めるさ。だから安心しろ。だからここにいる人達には、今回の件の原因となった差別を極限まで減らしてもらいたい」

「?どういう意味だ??」

「そもそもこのセントミアさんが暴走した原因というのは・・・、」

 俺は、かつて受けていたヌル一族が受けたいじめ、境遇について話す。

「・・・そして、その弱りきった時、心につけこまれてしまった」

「・・・要するに、この一件の元凶は、理不尽な差別から生まれてしまった産物だと。このようなことが今後起きないよう、国民がより安心に、幸せに過ごせるようにしてほしい、と」

「ああ」

 ゾルゲムが話す内容に対して、俺は肯定の意志を示す。

「それでさっきの質問の続きなのだが、仮にお主が暴走したら、誰が止める?我らでは止められぬぞ?」

「私達が止めます」

 ゾルゲムの質問に、リーフが胸を張って宣言する。

「もちろん、私独りだけだったらアヤトを止めることなんて出来ません。ですから、ここにいる私達で協力して、ね?」

 リーフの言葉に、

「もちろん!思いっきりぶん殴ってやるわ!」

「ルリ、頑張るー♪」

「アヤトさんが大変なら、見過ごすことなんてこと出来ません」

「ご主人様の危機、私が何もしないわけにはいきません」

「・・・ん」

 クリム、ルリ、モミジ、クロミル、イブが元気に答える。

「・・・そうか。なら大丈夫そうだな」

 ゾルゲムの言葉の後、

「アヤト、言っておくが、大切にしろよ」

 ザッハは俺に忠告する。何を、とは名言していなかったが、俺には分かる。

「もちろんだ」

 その後、更に質問がきて、静寂が訪れる。その静寂が、会議終了の合図となった。

「それじゃあ今回の一件に関する報告はこれで終わりだが、他に何か報告したいことはあるか?ないなら・・・、」

 と発言していたら、ゾルゲムが手を挙げる。

「?ど、どうぞ??」

 一体何を言うつもりなのだろうか?俺は恐る恐るゾルゲムに話を振る。

「近々、魔の国を・・・黒の国に改名する。国民達にも同意をもらっている」

「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」

 な、なんだと!!!??魔の国を改名する、だと!!??初耳の情報に俺は驚く。

(最近まで俺魔の国にいたけど知らなかったな)

 ほぼ魔の国の城内に籠っていたからだろうか。そんなことも知らなかったとは。

「・・・そうか。まぁ・・・それで納得しているならいいじゃない、か?」

 俺からすれば魔の国だろうと黒の国だろうと関係ない。やることは変わらないからな。

「分かった。私達もそう周知しよう。詳細は後で聞かせてもらうぞ」

 魔の国以外の重鎮達は首を縦に振る。

「他に言いたいことがある者はいるか?」

 そう聞くと、ザッハが手を挙げた。

「お前達はこれからどの国に籍を置くつもりだ?」

「?どういう意味だ?」

 俺はザッハの言葉の意味が分からず質問する。

「お前ほどの実力者が一国に肩入れすると、それだけで各国の勢力分布が大きく変わる。それに、お前と一緒にいる者達も一緒に付いて来るだろう?」

 ザッハは一瞬だけリーフ達に視線を移動させる。

「お前ほどではないが、かなりの実力者ぞろいだ。そんな者達が一国に集まったら、残りの五カ国はどう思う?」

「どう思うって・・・何も思わないのでは?」

「間違いなく警戒するな。何せ、お前らが本気を出せば一国・・・いや、この六カ国全て滅ぼすことが出来るだろうな」

「いや、俺はそんなことするつもりは・・・、」

「無論ここにいる俺達全員は、お前がこの世界を滅ぼそうとしないことはじゅうじゅう承知だ。だが、他の奴らはどうだろうな」

「・・・そうか」

 俺はセントミアさんを見る。セントミアさんは俺の視線、そして視線を向けられた意図を理解する。

「・・・しばらく考えさせてくれ。その後に答えを出すつもりだ」

 俺だってまだまだこの世界を旅してみたい。

 まだこの世界を堪能していないからな。もっともっとこの世界の美味しい食べ物を食べたいしな。

「まぁ、今すぐ答えを出せ、なんて言うつもりはない。俺もこの地位は、悩みに悩んで決めたことだからな」

「そうか」

 そういえばザッハは冒険者から今の地位に成り上がったんだよな。その成り上がりは、一日二日悩んで決めるほど軽い決断ではないだろう。

「それじゃあ、いい判断を期待しているよ」

 そう言いながら、ザッハはこの会合の場を後にした。

(そういえば、青の国の奴ら、ほとんど発言していないよな?)

 まさか今までいなかったとかか?そう思い振り返ってみると・・・敬礼していた。

(まさかこいつら、今までずっと敬礼していたのか?)

 俺達の話をずっと聞きながら敬礼していたのだろうか。人の話を聞きながら敬礼することは難しいことはないと思うが、疲れないのだろうか。

「お前達、大丈夫か?」

 俺は青の国の奴らを心配し、声をかけたのだが、

「大丈夫であります!全てはアヤト様の為に!!」

「「「「アヤト様の為に!!!!」」」」

「・・・」

 どうしよう。青の国にいた時よりもやばくなっていないか?俺に対する扱いがまるで神なのだが?

「そ、そうか。まぁ・・・頑張れ」

「「「「「はい!!!!!」」」」」

 こいつらに関しては、俺はもう考えないことにした。こいつらはこういう人間。俺に対してはひたすら敬礼する、頭のネジがどこか抜けている人間達なのだと。

 ・・・え?そういうお前も頭のネジがどこか抜けているのではないかって?

 ・・・まぁ、俺のことはひとまずいいじゃないか。

「・・・それでアヤト、これからどうするつもり」

「ザッハ様の言葉を鵜呑みにしなくてはいいと思いますが、今後のことを考えるとなりますと・・・、」

「そうだな・・・、」

 さて、これからどうするかな。

次回予告

『7-1-60(第549話) 虹無対戦~その後の未来~~FIN~』

 各国の重鎮への報告を終えた彩人達にある課題が渇せられる。その課題とは、今後どの国で暮らすとしても、軋轢を残してしまうのではないか、という点である。彩人達はその課題にある答えを出す。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ