第22話「エドガーが、ついに言った」
エドガーが来た。
「マリアさん、練習に付き合ってください」
「練習?」
「好きだと伝える練習です」
(来た)
「分かりました」
「マリアさんがミアさんだと思って聞いてください」
「はい」
エドガーが深呼吸した。
「……ミアさん」
「はい、殿下」
「農業の話、全部聞きたいです。ずっと聞きたいです。それだけじゃなくて、好きです」
(言えた)
(一回で言えた)
「よかったと思います」
「本当ですか」
「ちゃんと伝わりました」
「やったー!」
「落ち着いてください」
「すみません。でも……言えました」
エドガーの顔が赤かった。
「練習でこれなら、本番も大丈夫です」私は言った。
「マリアさんがいてくれると思うと、なぜか落ち着きます」
「応援していますから」
翌日、エドガーとミアが農業研究会の帰り道に二人でいた。
私は遠くから見ていた。
エドガーが何かを言った。
ミアが少し驚いた顔をした。それから、笑った。
(言えた)
(本番でも言えた)
夕方、エドガーが走ってきた。
「マリアさん!」
「転ばないでください」
「言えました!」
「よかったです」
「ミアさんが、「私も好きです」と言ってくれました!」
「おめでとうございます、殿下」
「やったー!!」
(すごく大きい声だった)
(学院中に聞こえたかもしれない)
◇
──柊詩の手記より。
『エドガーが告白成功。ミアが「私も好きです」と言った。書いた世界で、私が書いていなかった一番大事な場面が、ちゃんと生まれた』
次話:「マリアの物語が、完成に近づいた」




