9、everyday life
瀬本結奈と恋人になった。
俺は結奈と一緒に登校をする為に家を出た。
それから暫くは無言で居ると。
結奈が「紗千さん」と言った。
俺は結奈を見る。
「どうした。瀬本」
「私は結奈です」
「あ、ああ。すまん。結奈」
「紗千さん。その。昨日付き合い始めた記念に...何か一緒に買いに行きませんか」
「え?あ、ああ。良いが」
結奈は柔和な笑みを浮かべながらゆっくり俺の腕に手を回した。
それからニコッと嬉しそうな顔をする。
俺は苦笑しながら結奈を見る。
「私、幸せです」
「あ、ああ」
「紗千さんが好きだから。是非、今世は永遠に一緒が良いです」
そう言いながら結奈は俺に寄り添ってくる。
俺はそんな結奈の甘えに苦笑しつつ結奈の腕にゆっくり手を添えた。
それから俺達は歩いていると「おはよう」と声がしてきた。
俺達は背後を見る。
そこに吉鶴が小さく手を振って居た。
「ああ。吉鶴か」
「う、うん。おはよう」
俺達の姿に少しだけ複雑そうな顔をした。
そんな顔は次には切り替わり。
俺達に笑みを浮かべた。
「昨日はありがとう。助かりました」
「ああ。まあ気にするな。大丈夫だったから俺も。寧ろ酷くなる前にお前を救えて良かった」
「うん。感謝しています」
それから俺達を見てから「あの」と言う吉鶴。
そして「その。付き合って、いるの?」と聞いてくる。
俺はその言葉に数秒間黙り。
口を開く前に横に居た結奈が「はい。私達は付き合っています」と答えた。
吉鶴は見開きながら「そっか」と苦笑する。
「分かりました。お付き合いしているんですね」
「はい。昨日告白してオッケーを貰いました」
「分かりました」
吉鶴は少しだけ複雑な顔をしてから「じゃあ用事があるので先に行きますね」と言ってから歩いて行く。
俺はその背中を見送ってから結奈を見る。
結奈は「吉鶴先輩には申し訳ないですけど私のものです。紗千さんは」と言った。
「この世の理では無理だからな」
「そうですね。吉鶴先輩には申し訳ないですがこれは決まった運命です」
そして俺達は顔を見合わせる。
それから笑みを浮かべてから歩き出した。
学校に向かう。
☆
教室に行くと「お前大丈夫なのか?」とクラスメイトに言われた。
どうも不良に絡まれた事がバレているらしい。
その原因は杏奈のせいだった。
だけどまあ。
「気にしないでくれ。杏奈が強かった」
「そうなのか。先生には?」
「一応報告はしたけど。...でも嘘は吐いた」
「だろうな」
そんな感じでワイワイする教室。
すると杏奈が「紗千」と言ってきた。
俺は杏奈を見る。
「傷は大丈夫だった?」
「ああ。無事だ。寧ろありがとうな。お前の方が心配だ」
「私の事は気にしないで。全然、怪我をしてないから」
「予想外だったぞお前。あんな強さ」
「そうだね。言ってもどうしようもないし」
空手の黒帯とか聞いた事が無い。
コイツどんだけ強いんだ。
確か何人か倒さないとそこまでいけない筈だが。
実際倒したって事だよな。
「それよりさ。紗千」
「ああ」
「付き合い始めたって?」
「あ?あ、ああ」
するとクラスメイトが「誰と?」と俺に詰め寄って来た。
俺は「瀬本結奈だ」と答える。
クラスメイトは「なにぃ!!!?!」と絶句した。
「あの美少女だと」
「殺すぞお前」
「マジ殺す。呪い祝ってやる」
クラスメイト達は頭を抱えながら亡者の様になる。
女子達は「やっぱりー」とか言いながら笑顔できゃいきゃい言う。
俺は苦笑いで「事の成り行きでな」と返事をした。
「クソッタレ。祝ってやるよ」
「祝ってやるってネタが古すぎるだろ」
「ついこないだ知った」
「だろうな!」
そしてクラスメイト達は起き上がりながら「まあ何はともあれ。大切にしろよ。瀬本さんの事をよ」と言いながら苦笑する。
俺は「当たり前だ」と返事をしながらクラスメイトを見た。
☆
結奈の事。
愛犬が死んで自殺したという。
メンタルの問題もある。
俺がサポートしてやらないとな。
「紗千さん」
「ああ」
「またお弁当作りました」
俺は結奈を見る。
結奈はニコッとしながら鞄からお弁当を取り出す。
俺はその事に「屋上行くか?」と聞く。
すると結奈は柔和に「はい」と返事をした。
「じゃあ行くか。...ありがとうな」
「良いんですよ。私が好きでやっているんですから」
そして俺達は屋上に来る。
それからドアを開けるとそこに青空が広がっていた。
俺は変わらない世界に結奈を見る。
結奈は優しげに微笑んでいた。
「今日も晴れていますね」
「だな。今日も...晴れているな」
「紗千さんは晴れと雨はどっちが好きですか?」
「そりゃお前。晴れに決まっているだろう」
「と思うじゃないですか。私は雨が好きです」
「え?それはどうしてなんだ」
その言葉に結奈は「私、雨が好きなのは晴れより何だか...その。色々と洗い流してくれそうだからです」と答えた。
俺はその言葉に「!」となる。
それから俺は結奈を見る。
「私は不思議な人ですよね」
「いや。そういうのも良いんじゃないか」
「アハハ。ありがとうございます」
それから俺達は地面にシートを広げてから座る。
そして俺は結奈から弁当箱を受け取る。
中はご飯や様々なおかずの入った弁当だった。
美味しそうだ。
今の世界にピッタリかもな。




