7、relief
このままでは吉鶴は暴行を受ける可能性がある。
俺はその事を考えてからスマホで110番した。
とりあえずバレない様に行動をしなければ。
そう考えていた矢先だった。
背後から「何してんだ?」と声がした。
俺は咄嗟に背後を見る。
そこに仲間だろうかまた不良が居た。
俺は構えたがその前に殴られてからスマホが目の前に飛んだ。
そして俺はよろめいた。
目の前の不良達が「秋道」言う。
「オイ。お前ら。多分コイツらに通報されたぞ」
「は?マジかよ。舐めやがって」
秋道とかいう奴の言葉に不良達は顔を見合わせてから「クソ。場所移すか」と不良達は話した。
マズイな...状況が良くない。
そう考えながら俺はゆっくり起き上がる。
すると不良が俺のスマホを持ってから投げ捨てる。
そして「舐めた真似をするなお前」と言いながら俺を見た。
「...」
「つーか女子の方が可愛いじゃねーの」
「ついでだ。犯してやろうぜ」
そう言い始める奴ら。
参った...クソめが。
考えながら俺は顔を上げる。
怯えている吉鶴と目が合った。
計画が台無しだな。
「...」
俺はゆっくり立ち上がる。
それから口の中の血を吐き出した。
やれやれ。
10年後に趣味でジムに通っていた分が今になって役に立つ時が来るとはな。
そう考えながら俺はボクシングの動きをした。
「あ?やんのか?」
「どっちみちにせよお前らは俺達を逃さないなら徹底対抗だ」
「...お前だけしか居ないのに勝てる訳無いだろ」
「やらない訳にはいかねーのよ」
そうしていると呆れ顔の不良が1人、側から角材を拾った。
それから「やってやろうじゃん。歯が折れても...知らねーぞクソガキ」と言う。
俺は「...」と考える。
マジに死ぬかもしれないが。
諦める訳には。
「ねー。お兄さん達。何してるの?」
俺は考えながら策略を練っていると背後からそう声がした。
不良が1人、俺達の前に飛んでいった。
フルボッコにされている。
え?
「紗千。大丈夫?」
「杏奈...」
「舐めた真似をしてくれるね。コイツら」
杏奈はスカートを外してからスパッツになる。
それから着ている上着を脱ぎ捨てた。
不良達は「何だテメー」と言いながら怒る。
角材を持った奴が角材を振りかざす。
だが杏奈の方が早かった。
不良の土手っ腹に拳がめり込む。
「か」
そう一言、呻き声を上げてから不良は泡を吹き仰向けに倒れる。
それから杏奈はバキバキと手を鳴らした。
そして「覚悟出来てるの?私の大切な親友達に手を出した覚悟は」と言いながら笑顔になる。
不良の1人が「何だコイツ!」と言いながら何かナイフみたいな物を取り出した。
「オイ!杏奈!危ないぞ!」
「大丈夫」
「大丈夫...って言ってもな!」
「まあまあ。空手黒帯の力を見なさいな」
それからナイフを持っている奴を見る。
ナイフを持ち出すという事はそれだけ情けない野郎だという事だが。
無茶だ。
どうするか分からん。
そう思っていたが一撃で沈めた。
その姿に残っていた不良は「クソガキが!」と襲って来た。
だが杏奈はテキパキと敵を撃破した。
それから唖然としている俺に杏奈は「行こう。一先ずは」と言ってきた。
サイレンの音がする。
逃げるか。
☆
杏奈と吉鶴。
それから瀬本と公園に逃げて来た。
杏奈は笑っていた。
周りの景色を見ながら、だ。
「楽しかった」
「ったく。めちゃくちゃだな」
「いやいや。だって君を傷付けていたしさ?」
「まあ確かにそうなんだが。やり過ぎだぞ」
それから瀬本が俺達に「ありがとう先輩達」と言ってきた。
俺はその姿を見ながら最後に吉鶴を見る。
吉鶴は「ありがとう。田山くん」と俺を笑みを浮かべて見ていた。
結局、何はともあれ救ってしまった。
困ったな。
「田山くん強いんだね」
「別に強い訳じゃない。だがあの状況ではな」
「だね。ありがとう」
そして吉鶴は俺に笑みを浮かべた。
俺は溜息を吐きながら居ると杏奈が鞄を背負ってから「んじゃまあお邪魔みたいだし帰るね」と切り出してきた。
その姿に俺は「杏奈」と言う。
杏奈は「?」と俺を見る。
「サンキューな」
「私、何もしてないよ。人助けしただけだし」
「そういうスカした感じも好きだぜ」
「あはは。ありがとう。...そういや怪我大丈夫?」
それから杏奈は心配そうに俺を覗き込む。
俺は「まだ殴られそうになって掠めた血の味がするけど大丈夫だわ」と言ってから杏奈に苦笑した。
杏奈はその言葉に「...なら良いけど」と言いながら俺を心配げに見る。
すると瀬本が「明日でも病院に行きますか?」と言ってくる。
「そうだな。とりあえずは」
「分かりました」
すると吉鶴が「あの」と手を挙げた。
俺達は吉鶴を見る。
吉鶴は「本当に私の為にごめんなさい」と言う。
その言葉に瀬本は「人助けは大事ですから」と言いながら吉鶴を見た。
「...まあそれじゃ、一先ずは解散するか」
「ですね」
それから俺は吉鶴と杏奈と別れた。
帰宅する。
そして残った俺は瀬本を見る。
瀬本は「大丈夫ですか?」と俺に聞いてくる。
「ありがとう。それから危険な目に遭わせてすまないな」
「私は構いません...大丈夫です、が」
「...吉鶴の事だな」
「はい」
複雑な顔をする瀬本。
俺はその顔に瀬本の頭に手を添えた。
それから「大丈夫だ」と言う。
瀬本は「?」となりながら複雑な顔で俺を見た。
「...10年後と違う様にはする。もう後悔の無い様に、な」
「先輩...」
「ありがとう。瀬本」
「はい」
それから瀬本は俺に優しげな笑みを浮かべる。
そして俺達も帰る事にした。
そうして翌日になって病院に行ったが特に問題は無く...完結はした。




