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おろして

「おろして・・・」


 なぜかミリちゃんのお母さんは、ミリちゃんを左手で抱きかかえ右肩に僕を抱えて食堂を後にした。


「あー、やべぇ。姉貴のやつ怒ってやがったな。こりゃ、正座からの説教は確定か・・・。」


 いえいえ、それ以上だと思いますよ。不穏な単語をつぶやかれてたし・・・。


「うちの人のところに逃げるか。でも、旦那のいる中央まで遠すぎるんだよなぁ。向かう途中、魔獣でもでたら終わりだしな。くそ、素直に仕置かれるしかねーのか。」


 そうそう、素直にお仕置きでも受けてください。そしてその前に僕を降ろしてください。というか、僕を軽々と担いでるんだけど重くないんですかね?今の体重しらんけど・・・。


「ミリは、おかーさんに用事があったんだよな?」


「おじーちゃんが、宴の準備するっていってたのー。それでおかーさんを呼びにきたのー。」


「ってことは、思いのほか猪を早く仕留めれたってことか。こりゃマズったねぇ。遅くなると思い込んでたから、夜に飲めねぇぶんを昼に飲んじまった。きっちり目ぇ覚まさないといけないね。」


 そう言うと、お母さんはミリちゃんをおろした。


「ミリは、先にお爺のところに行って、おかーさんは道具とってくるって言っとくれ。場所は広場だろ。」


「わかったのー。おじーちゃんのとこにいってるー。」


 ミリちゃんがぱたぱたと走っていく。ついでに僕もおろしてくれませんかね・・・。


「そいじゃ、ちゃっちゃと取りに行くかね。っと、その前に目を覚ましに水浴びしてこないとな。」


 言うや否や水浴びをしに走り出した。僕を担いだまま・・・。





 さらさらと川のせせらぎが聞こえる。そういえば、ゲームの中ではこの村の近くに川が流れてたよなぁ。地理的にはゲームとかわらないのか。ほどなくして、目的地である川についたらしい。着いた途端、僕は地面に投げ出された。


「で、お前さんはいったい誰だ。見覚えがないってことは村のもんじゃないね。」


 警戒する低い声、獲物を狙うような視線。ただの酔っ払いかとおもったけど違ったようだ。


「会っていきなり、あなたに担がれてドナドナされた哀れな異邦人?」

 

「知らねぇよ。とにかく見たことねぇやつが、大事な娘と一緒にいたら親として警戒すんだろうが。って、いま異邦人って言ったか?」


 なんか異邦人って単語に食いついたな。


「ええ、僕はおそらく異邦人です。」


「おそらくってなんだよ。お前、本当に異邦人か?はっきりしろや。」


 僕は、彼女の鋭い眼光に睨まれる。


「異邦人であります!」


「最初にそう言えばいいんだよ。で、お前は中央から来たのか?それとも、他所から新たにきたのか?」


 思わず、背筋を伸ばして敬礼までしてしまった。ところで中央ってなんだろ?


「中央ってなんですか?」


「中央って言ったら中央だ。お前みたいな異邦人がいるところだよ。知らねぇってことは他所からのやつか。何時ぶりだよ・・・他所から来たやつは・・・。」


 僕の質問に答えてくれた。でも、それ答えになってないわ。まぁ、最後のほうはちょっと聞こえなかったけど、中央ってところに僕以外のプレイヤーがいるってのがわかった。そこに行けばひょっとしたら知り合いに会えるかもしれない。僕みたいな境遇な人もいるかもしれない。これは中央とやらに行くしかない。こうして、僕にはそこに向かうという目的ができた。

ゲームの名称等修正いたしました。

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