魔力と精霊力
「で、わしらに相談とはどのようなことかの?」
教会の一室に集まった面子を代表して村長が口火を切った。ここには僕とリンの相談する側と、村長とクリフさんとフォレスティアさんの相談される側、さらに呼びに行ったエルとなぜかアルさんまでがいた。
「相談というのはアオイのことだ。少しばかりというか、私にもよく分からない事情があってな。そこで、あなたたちに相談に乗ってほしいのだ。」
リンはそういいながら頭を下げたので、僕も慌てて同じく頭を下げた。
「相談に乗るのは何の問題もないが何かあったのかの?」
「ああ、あった。私が異邦人なのは知っているだろう。このアオイもそうだ。」
皆がウンウンと頷いて…、あ…フォレスティアさんだけがキョトンとしている。
「そこのエルフ…は、異邦人を知っていないのか?」
リンは話の腰を速攻で折られて不機嫌そうに聞いた。フォレスティアさんは頷いて肯定した。
「とりあえず、そこのエルフにも分かるように掻い摘んで言うとだな。私たちは異邦人と呼ばれるこの世界の住人ではないのだ。ゲームをしていたらここに飛ばされたのだ。時期はもう2年前にもなるか。私たちの世界は魔法なんてものはなく、代わりに科学が発達している世界だった。当然だが精霊力なんてものもないぞ。そこで私たちは普通に生活していた。その世界でしていたゲームが、こちらの世界に非常に似ていたのだよ。偶然かどうかはわからないがね。」
リンは大雑把に説明をすると、フォレスティアさんはなにやら慌てだした。
『魔法がない?精霊力もない?どうやって生きていくのよ…。魔獣に出くわしたら一溜りもないじゃない。いったいどんな世界で生きていたのよ。』
「すいません。今はそういう世界だと認識してくれればありがたいです…。」
今いる中で、フォレスティアさんの言葉が分かるのは僕だけみたいなのでフォローしておきます。
「で、ここからが相談の内容になってくるのだが…。まず、私たちがいた世界では、今はこんな姿をしているがアオイはれっきとした男だ。」
リンが言うと、今度はフォレスティアさんだげが『昨日聞いたのよね』と納得し、ほかの人たちは何言っているんだ?という表情になった。
「おいおい、こいつはどっから見ても女だろうが。なぁ、そうだろ姉貴?」
エルが口をはさむ。
「そうね、確かにアオイさんは女性ですわ。着替えさせた時にしっかりと見せていただきましたもの。勿論、その時の記録も記憶もしっかりとありますわ。」
…なんか犯罪チックな言動がある気が。いやチックはいらない。それはれっきとした犯罪ですよ…アルさん。
「そう外見、肉体的には立派な女だ。もっとも無駄に立派なモノもあるが…。だが中身は男だ。料理や家事などを恙なくこなせる女子力を持ってはいたが、性別的にはれっきとした男だ。言いたいことはあるだろうが、とにかく話が進まないので異論はあとにしてくれ。」
なにやら納得いかない的な空気が漂う。
「で、そこのエルフに聞きたいのだが、アオイには本当に精霊力なるものがあるのか?」
リンに話を振られフォレスティアさんが『あるわよ』という感じに頷く。
「村長、精霊力というのはこちらでは誰でもあるのものなのか?」
フォレスティアさんが頷いたのをみて、今度は村長に話を振った。
「エルフ族やそれに近い種族の者ならあるじゃろうが、わしら人族には精霊力ないのぉ。わしらにあるのは魔力のほうじゃし。もっとも異邦人のお嬢ちゃんら以外で、魔力のない人族は見たこともないんじゃが…。そうなると、そこのお嬢ちゃんは異邦人でも人族ではなくエルフだったりするのかの?」
今の体のほうはよくわからなくなってますが、中身はちゃんとリンと同じ人間です…。人間なはず…。




