漂う何か
いつもと違う時間での更新です。
ゴリゴリと薬研で乾燥させた薬草を潰す音が響く。
食器の片付け(という名の質問タイム)も終わり、アルさんが村を見て回ってきたらどうです?と提案されたので、メイド服から普通の服に着替えて散策にでた僕は、なぜか薬師のフォレスティアさんという女性に捕まり、さらになぜかフォレスティアさんの仕事を手伝わされているのであった。
「これくらいでどうですか?」
ある程度細かく粉砕したところで、フォレスティアさんに確認を求めた。彼女は薬研の中の薬草の粉末を見る。
「……。」
無言のまま頷く。どうやらこれでいいらしい。
『てぃあはこれでいいといっているのです。このままほかもたのむといっているのです。』
了解ー、このまま残りも砕いちゃいましょうかね。というか、頭の上からそろそろどいてくんない?
『おことわりなのです。ここはフィーのとくとうせきなのです。あおいは、てぃあのためにきりきりはたらくのです。』
そう今、僕の頭の上にはフィーという謎の生命体が乗っかっているのだった。
『なぞのせいめいたいではないのです。』
遡ること少し前、僕は当てもなく村の中を歩いていた。露店などはまったくないので、行き交う人もまばらだったりする。道中、おばさんに声をかけられ世間話をするも、いつの間にやら「うちの息子の嫁に~」とかいわれる始末。体よくお断りをして立ち去ろうとするのだけれど、なぜか違うおばさんに同じような嫁勧誘をされるという不可解な現象が起こる。見ず知らずの人を息子の嫁にしようとか、一体何を考えているんだろうか。
なんとか嫁勧誘を突破し、見つかると面倒なので、人気のないところに腰を下ろして休憩をしていると、ふよふよと空中を漂う何かを見つけた。でっかい埃の塊…ではないねぇ。よく見ようと目を凝らすとなんとか形が分かってきた。羽…がある。人のような形。ひょっとして妖精というのですかね?
気持ちよさそうに漂う妖精(仮)は、僕の方に近づいてくるが、まったく僕を気にするでもなくそのまま通り過ぎようとする。僕は思わず、通り過ぎようとした妖精(仮)の羽をつまんで捕まえてしまった。
『ぎにゃーーーーーーーーーーーーーーー。』
捕まえた途端に頭に響く悲鳴。どうやら、この妖精(仮)が悲鳴を上げたみたいだ。なみだ目になって慌てふためく妖精(仮)をみて、正直すまんかったと思う僕だった。




