料理
僕の不安をよそに、食材もまるで日本にいるかのような種類があった。聞けば食材は自給自足とのこと。
というわけで僕は今戦場にいます。包丁という武器にフライパンという盾をもって、さらに鎧はメイド服…。この村の人は昼飯がメインらしく、ガッツリ系の食事をするとのこと。故に昼時のここは戦場と化すらしい。
お昼用のメイン食材はホワイトピッグという家畜用の豚さんのお肉です。これでメインの一品をつくるように言われた。どうやらそれで僕の料理の腕をみるっぽい。まぁやれるだけやってみようか。
豚肉料理でガッツリなものかぁ。しかもあまり時間をかけずにできるものがいいよね。しばし熟考。何を作るか考えている僕の耳に、アルさんの歌う声が聞こえてきた。そういえば、アルさんは僕に作るように言うと、なにやら大きな鍋でなんかしてたなぁ。
ふと調理場の奥を見ると、なにやら竈に火をくべるアルさんがいた。
「はじめちょろちょろ~。」
は?何かの呪文かと思ったら、おもっきりお米の炊き方の歌じゃないか。ってことは米か!ご飯なのか!この世界にも米があるんだ!よっしゃー、ご飯にあうものをつくっちゃおう。
豚肉はロースっぽいな。ならば野菜からはニンニクとキャベツをチョイスし、調味料からは塩と胡椒、さらに日本酒に近いお酒っぽいものと砂糖。そして日本の誇る発酵調味料であるしょうゆ様。これで勝つる!
豚肉を1cmくらいの厚みに切り、軽く包丁の背で両面を叩く。両面に塩と胡椒で下味をつける。そして食べやすい大きさにカット。お酒に砂糖を加え擬似的な味醂をつくりしょうゆを加えておく。キャベツは千切り、ニンニクは包丁の腹で叩いてつぶす。あ、コンロの使い方わかんない…。
「アルさん、これはどう使えばいいのですか?」
「着火の魔法はしてありますので、そこに魔石のついたツマミをまわせば火力が調節できますわ。」
僕のほうを見ず、竈に向いたまま返事をするアルさん。ツマミはこれかな。捻るとちゃんと火がでてきた。なんという便利な。竈は材木が燃料だったから、こちらも材木とかで火をおこすのかと思ってた。まぁ苦労せずに作れるのはうれしい。油は豚肉の脂身を使おう。
フライパンを熱してから脂身と投入。溶けたところでつぶしたニンニクを入れる。ほどなくニンニクのいい香りが漂ってきたので豚肉を焼く。両面に焼き色がついたら、さっきつくっておいた味醂しょうゆを投入し、フライパンに蓋をする。弱火にして蒸し焼き状態にもっていくよ。皿の上に千切りキャベツを盛り付け、そこに蒸し焼きにした豚肉とニンニクを置きフライパンに残った汁もかけておく。
これで『トンテキ』の出来上がり。はたしてアルさんの合格はもらえるんだろうか。




