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素振り

 連れられていった先は食堂の裏庭だった。


「ほらよ。」


 エルは手の持った木剣を、ぽいっと僕に向かって投げ渡す。受け取った木剣は、全長1Mちょっとで重さにして2キロを切れるくらいだろうか。ちょうど木でできた竹刀って感じかな。木なのに竹刀っていうのはちょっとおかしいけどね。


「ちょいとそれで構えてみろ。」


 エルが構えろと言ってくる。とりあえず、剣道の構えにすればいいかなぁ。えっと、確かこう構えて・・・。


 僕は、剣道の授業で習った構えを思い出しながら構えてみた。たしかこれでいいはず。中段の構えだっけか。


「あー、うん。それ渡すとお前らは大抵その構え方するのな。」


 エルは、僕がその構え方をするのだろうと推測していたらしい。


「剣道とか言ったか?たしかそんな名前だったよな。」


 こくりと頷いて肯定する。


「んじゃ、素振りしてみろ。剣先は地面すれすれで止めろよ。」


 言われるまま、木剣を振りかぶってから振り下ろす。


 ザクッ。


 とまらないです。勢いのついた剣先は、見事に地面にささりました。


「まぁ、やるとは思った。剣の重さをちったぁ考えろ。それと振りかぶるんじゃねぇよ。剣先は自分の頭よ後ろまで行かすんじゃねぇ。そこらを気にしてもっかいやってみろ。」


 こうして、エルによる素振りの稽古が始まったのだった。






「おーし、そろそろやめっか。」


始めてから、どれくらいたっただろうか。やっとエルから素振り終了の声がかかった。さすがにしんどい。


「そんじゃ、次は俺に向かって打ち込んでこい。」


 いつのまにかエルの手には、僕のと同じような木剣が握られていた。僕の木剣と違う点は、剣先のほうに布が巻かれていることくらいだ。防具はつけなくていいんだろうか。当たったら怪我するんじゃないかな。


「おら、好きに打ち込んでこいよ。どこからでもいいぜ。俺に掠らせでもしたら褒めてやる。まぁ、どうせ掠りもしねぇがな。」


 エルは木剣を担いで、指でチョイチョイと挑発してくる。安い挑発だ。でも、その挑発に乗ってやる。


「ではいきます!」


 僕は木剣を構え、勢いよくエルに切りかかっていった。

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