迷走
「まったく、昼間っから盛りやがって。ミリがみてたらどうすんだ、教育に悪いだろうがよ。」
只今、エルからの絶賛お小言中です。教育に悪いのはあんたの素行だと思う。
「リン、おめぇは仕事で行ってきな。クリフから休んでいいと言われてるだろうが手伝ってこい。まぁ、とりあえず今日は別行動しとけ。」
エルは気まずい様子の僕たちを見て気を使ったのか、リンに向かってそう言った。リンは頷くと僕を見て、耳まで真っ赤になってあわてて走っていった。
「あのリンが、珍しい反応してやがるな。おい、いったいリンのやつに何をしたんだ?」
むしろ、それは僕が聞きたい。あのリンが、あんなことをしようとするとは思えなかった。もうちょっとでキス・・・。
「何、お前まで赤くなってんだ。」
エルがあきれながら言う。
「そんな煩悩は、体動かして吹き飛ばしちまえ。てな訳でおれが稽古をつけてやろう。」
なにが、てな訳なんだか・・・。だけど、これから生きるためには色々覚えたり、鍛えたりしないとだめなんだろうから、渡りに船といえばいいのかな。でも何やら一抹の不安が・・・。
「おねがいします。」
「おっし、そうと決まれば姉貴のとこにいくぞ。」
なぜにアルさんの所に?僕が疑問に思っていると、エルはニヤリとしながら僕の持っている袋を指差した。
「おめぇが持ってるのは皮鎧だろ?姉貴なら、おめぇの体に合うように調整してくれるからよ。」
そういえば、リンもそんなことをいってたな。
「ほら、とっとといくぞ。」
僕は袋を担ぎ、言われるままに後を付いていった。
「ああ、朝起きたら、後頭部がえれぇ痛かったんだが、おめぇはなにか知らねぇか?おまけに寝汗がめちゃくちゃすごくてよ。変な病気でも罹ってねぇか、心配になってくるんだよ。」
僕は、ブンブンと首を横に振る。それは、リンがよく知ってると思うよ、とは言えないよね。
くそ・・・、私は一体何をしようとしてたのだ。エルがいなかったら、アオイとキ、キ、キスを・・・。それも女になったアオイと・・・だと。私はいつの間に百合属性になっていたのだ?元の世界での18年、こっちでの2年でも、そのような趣味はなかったというのに。
さっきの感情はなんだったのだ。震えるアオイをみていたら、守らなければという感情が爆発してしまったかのような。保護欲?母性?うーむ、私には似つかわしくないような・・・。まぁ、いいさ。どのようなことがあろうとも、私はアオイと共に生きていくのだから。




