そのころのエルさん そのいち
「いつつ・・・。頭いてぇ・・・。」
俺は、頭に響く鈍痛とともに目が覚めた。
「まさか、これが二日酔いってやつか・・・?しかし、頭いてぇわ。」
ベッドから起き上がるときに、俺が寝ていたところが濡れているの気がついた。
「うわ。すっげぇ寝汗だぞ。こんなん初めてだぜ。」
俺は、あまりの寝汗にびびった。その拍子にまたどう通が響く。
「頭痛ってか、妙に後頭部のほうがいてぇんだけど・・・。」
ズキズキする後頭部を押さえると、なぜ痛いのかわかったわ。そこにはタンコブができていた。
「二日酔いじゃなくて原因はこれかよ。ちくしょう、だれがやりやがったんだ?」
とりあえず、犯人の心当たりがないか、昨日の夜の出来事を思い出してみる。
「たしか、下であいつらを見つけて・・・。」
「よお、楽しんでいるか?」
俺は、リンとあの女を見つけ声をかけた。リンのやつはジョッキを掲げて返事をする。あいつは、なんか一心不乱に串焼きを食っていやがるな。
「おいリン、あいつどんだけ食ってやがるんだ?」
俺は、近くにいたリンに問いかけた。あいつの側にある皿には、大量の串が乗っていたからだ。
「いま15本目だな。」
いやいやいや、おかしいだろう。うちの男連中でも、10本くらいで満腹になるくらいの串焼きだぞ。それを一人で15本とか・・・。また1本食い終わりやがった。終わるか?なに、まだ食う・・・だと?
「なぁ、あいつは昔からあれだけ食ってたのか?まだ食うつもりだぞ。」
「いや、普通、むしろ少食だった・・・はず。」
リンもあれの食いっぷりには驚いているようだ。
「本当に、一体あいつは何者だ?」
「私も、よくわからなくなってきた。少なくとも、私の知っているのとは微妙に違っている気もするが。」
不安にさせやがる。まぁ、ここに危害を加えない限り面倒はみてやるがな。だが、もしもの時は・・・。
「心配するな、その時は私がなんとかするさ。ところで、アオイの飲んでいるのはジュースなのか?」
「ああん?ジュースにきまってるだろ。」
「ならいいんだが、りんごジュースが気に入ったのかえらい量を飲んでいるのでな。」
まさか・・・。
「ひょっとして、あそこにある容器は全部空なのか?」
「ああ、暴飲暴食ここに極まれりだな。もしアルコールが入ってたら、倒れてもおかしくない量だぞ。」
「・・・すまん。」
「すまん、とはなんだ?おい、ひょっとしてあれの飲んでいるのは。」
「・・・りんご酒だ。」
「エル、お前・・・。」
「リンゴ酒なんて、俺にとってはジュースみたいなもんなんだ。てか、アルコールが入ってたら分かるだろうが。どうせ成人してるんだろ?飲んだって問題ないじゃねぇか。酒なんて、これからは否応なしに飲むことになるんだ。」
「私に言うな。おい、また1本あけたぞ。これはとめないと危険だぞ。」
「まった。もうちょい飲ましてみようぜ。早いうちに自分の限界を知っておくのもいい経験だろ。」
あいつを止めようとするリンを俺は遮った。何気に俺、今いい事を言ったよな。
「いい事言ったつもりで、本当は楽しんでいるだけだろうが。」
はっはぅっは・・・、ばれてーら。




