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「ねぇ、リン。これって、カタカナで書けばいいの?」


 住民台帳を前に素朴な疑問がわいたので、隣にいるリンに小声で聞いてみた。会話はちゃんと通じてるから、日本語とかの日常会話でいいっぽいけどねぇ。


「ああ、カタカナでいいぞ。ついでに言っておくと数字もアラビア数字だ。よくわからないのだが、なぜか漢字も使われている。だから、日常会話も読書も問題なくできる。」


 なんというご都合主義だよ。まぁ、僕としてはそのほうが助かるんだけど。よし、書き込むかな。僕はペンをインクにつけた。


「ああ、いい忘れていたが。」


 今まさに書き込もうとする僕を制止するかのようにリンが話しかけてくる。


「絶対にというわけではないのだが、一応、リアルネームとアバターネームの組み合わせでの登録を私たちはお願いしている。葵の場合はプルシアン=ブルーではなく、アオイ=プルシアンという具合になるのだが。これの理由は後で話す。」


 まぁいいけど・・・。


「えっと、アオイ=プルシアンっと。年齢は18才。」


 カキカキ・・・。うん、おもったよりうまく書けた気がする。


「あとは名前の最後のところに爪印すれば完了だ。」


 爪印ってよく時代劇とかである、刃物で傷つけて血で押すやつ?痛そうなんだけど・・・。


「安心しろ。ちゃんと朱肉がある。」


 僕の表情で何を連想したのかわかったらしく、リンは安心させるように言ってきた。それを聞いて村長は、懐から朱肉と思われる平たい容器をだして僕の前においた。ふたを開けると間号事なき朱肉だった。僕は、朱肉に右親指をつけてから、台帳に書いた名前の後ろに押し付けた。


「これで手続きは完了じゃ。お嬢ちゃん、いや、アオイ=プルシアン。わしらの村へようこそじゃ。」


 村長はにこにこしながら手を出してくる。


「よろしくお願いします。」


 差し出された手を握り握手をする。こうして、僕は村人の身分を手に入れた・・・らしい?


「では、次は組合に行くぞ。」


 リンは、ここでの用事は済んだとばかりに腰を上げる。


「では、私たちはそろそろお暇する。」


「うむ、はよういきなさるといい。今ならあやつもおるじゃろうて。」


 僕たちは、お礼を言って部屋を後にする。玄関を出ると、メイドさんが見送ってくれた。


「アオイ様のこれからに幸多からんことを。」


 メイドさんの言葉に、心がなぜかほっこりした。

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