蛇口
「なんで、こんなものが・・・」
どうみても、これは蛇口にしか見えない。どうしよう、捻ってみようか。近くにあるコップを持って、僕は蛇口を捻ってみることにした。
きゅっ。
小気味いい音をを立てて、蛇口のハンドルが回る。口から無色の液体が出てきた。
「おー。」
ちゃんと蛇口してるわ。そして液体はコップに溜まっていく。とりあえず蛇口を閉めて、まずはその液体を嗅いでみる。変なにおいはしない。つぎに少し飲んでみる。うん、水だ。液体が水とわかったので、今度は水差しに水を溜めていく。水を注ぎ終わり、僕はリンのいる部屋に戻っていった。戻るときに、階段から1階の食堂をみて死屍累々の惨状を確認する。これ、どれだけ盛り上がって飲んだんだろうね。
部屋に着くと、こちらはこちらでえらいことになっていた。ベッドの上でリンがエルに抱き付かれていたのだ。それもなぜか下着姿で・・・。さっき抱き上げたときは、ちゃんと服着てたよね。
「た、助けてくれ。」
リンが、僕に助けを求めてくる。助けてといわれても、何か近付いたら巻き込まれそうなんですが。恐る恐る少し近付く。まだ範囲外らしい。リンは必死にエルを引き剥がそうとしているが、剥がされまいとエルが抵抗する。エルは目をつぶったまま、むにゃむにゃと呟いている。これ、寝言か?エルってひょっとして寝ぼけているんじゃないかな?
仕方がない。僕は、持ってきた水差しをテーブルに置いた。そして、
「ごゆっくりー。」
僕は、そっと部屋を出てリンに手を振ってから扉を閉めた。
「この、薄情者がぁ。ちょ、やめ、はなせ、あー・・・。」
とりあえず、合掌。
「あら、起きていらしたの?」
アルさんが、階段を上って僕のほうにやってきた。
「おはようございます。」
僕は、アルさんに挨拶をした。
「おはようございますですわ。二日酔いとかはございませんこと?」
「ええ、すこぶる調子がよいです。」
「昨晩は、あれだけお飲みになられていたので、少し心配していましたわ。」
僕、そんなに飲んでたのかぁ。ジュースが美味しいのは覚えてるんだけど・・・。って、なぜにジュースで二日酔いがでてくるんですかね?
「ジュースで二日酔いはしないでしょう?」
僕がそういうと、 アルさんは小首をかしげて。
「だって、あれはりんごジュースではなく、りんご酒でしたのに。」
あれは、ジュースじゃなくてお酒だったの?どうやら僕は、アルに一杯食わされたようです。




