乾杯
「ほれ。」
エルは、僕にコップを渡してきた。受け取ると、今度は何か飲み物らしき物を注いでくる。
「これは?」
「おう、おこちゃまにはジュースだ。俺たちはコッチだけどな。」
そう言ってジョッキを掲げる。コップに鼻を近づけるとりんごの甘い香りがしてきた。
「よーし、皆に渡ったな。」
皆、ジョッキを片手に持っている。
「では、俺が乾杯の音頭を取るぜ。んん、新しい出会い、そして俺たちの新しい弟子に乾杯!」
「「俺たちの弟子に!」」
皆がジョッキを頭上に掲げ、一気に飲み干していく。僕もまねをしてコップを掲げてからりんごジュースを飲む。うまーい、そしてあまーい。冷えててすごいおいしいです。で、なんで僕は弟子になっているのだろう?そして、弟子のニュアンスが違うものにきこえるのはなんでだろう・・・。
「よかったな。皆、葵に技能を教えてくれるそうだ。」
ジョッキを持ったリンが話しかけてくる。それお酒が注がれているんじゃ?
「リン、お酒飲んでるの?」
「ああ、飲んでるぞ。」
「未成年が飲んじゃいけないような・・・。」
お酒は二十歳になってから。
「ああ、私はもう二十歳だぞ。もう、二年経っているんだ。」
十八歳+二年で二十歳なのか。
「それにな、こっちでは成人は十五歳だ。だから、飲んでも大丈夫。」
そう言ってリンはジョッキの中身を飲み干す。
「やはり、私にはこちらのほうが合っているな。」
「ビール?」
「いや、エール酒だ。これを造った人物曰く、ブラウンエールとかいうらしい。まぁ、専門職じゃないので、私には製法の違いやらは説明できないがな。」
へぇ、ビールにもいろいろあるんだなぁ。しかし、このりんごジュースすごいおいしいなぁ。こくこくと飲んでいたら無くなってしまった。りんごジュースは・・・と。テーブルを見渡すとりんごジュースの入っていると思わしき容器があった。その容器に顔を寄せる。うん、これだね。僕は、コップにりんごジュースを注いでいく。ああ、りんごジュースが止まらない。
「葵、空腹だったのではないのか?」
そうだった、りんごジュースがおいしすぎて忘れていた。
「ほら、これを食べてみろ。今日、解体したレッドボアの串焼きだ。」
そういってリンは串焼きも僕にわたしてきた。いのしし肉って、臭みがあるんじゃなかったっけ?
「まぁ、だまって食ってみろ。」
いぶかしむ僕に、リンは早く食えとせっつく。
「・・・いただきます。」
串焼きの肉をがぶり。口の中に広がる肉汁。なにこれめちゃくちゃおいしい。
「おいしい・・・。」
「そうだろう。自分たちの知っている猪肉は臭みがあるといわれるが、こちらでは血抜きさえきちんとすれば、新鮮なほうがうまいとされている。どうやら、体内にある魔力の素である魔素に関係あるらしい。」
へぇ、魔素ってのがあるんだ。まぁ、今はこのおいしさをじっくりと堪能するとしよう。




