ハードモード
「装備は使えん、魔法も使えん、当然魔力を使うスキルも使えん。これからどうなるかわからない。すぐにシステムが復旧するかもしれないし、しないかもしれない。そもそもゲーム内かどうかもわからない。異世界トリップとかいうやつかもしれない。使えん装備とひ弱な体。悲嘆に暮れたよ。」
りんがため息をつく。あんまりため息つくと幸運がにげるよ。
「まず、最初の問題はお金だ。なにせ文無しだからな。パンひとつも買えないし、宿も借りれない。装備を売る者や狩りに行く者、いろいろ行動を起こしていったよ。」
「リンはどうしたの?」
問われたリンは、ばつが悪そうにあさっての方向をむいた。
「動けなかった・・・。」
ポツリとつぶやく。
「動けなかったと言ったんだ。さっきも言っただろう、フルプレなんぞ着てうごけるはずもないと。更にその時の武器は、今クリフが持っているあのハンマーだったんだ。どうみてもか弱い女子が身に着けシロモノではない。」
ははーん、さっきのこけたら動けなくなったってのは自分自身のことだな。
「動けなくなっていた私を助けたのがクリフだった。興味深そうに見るクリフに、駄目元で私が助けてほしいと言ったら、私とハンマーを肩に担いで教会に連れていってくれてな。後で聞いたら私のハンマーが気に入ったらしく、それが縁で今ではクリフが保護者みたいなものになって、面倒を見てくれているという訳だ。その礼にあのハンマーは進呈したのさ、どうせ私には使えないし。」
クリフさん良い人。筋肉馬鹿とか思っててすいません。
「まぁ私は幸運に恵まれたが、他のプレイヤーは大変だったそうだ。最悪だったのは、そのままの装備で狩りに行った人たちだ。彼らはモンスターも倒せずに怪我してくる始末。またいきなり生産に走った人たちも大変だった。それもそうだ、ゲームみたいに、スキルでポンと完成品ができるわけでもないしな。まだ賢明だったのは装備を売って、扱える装備に買い換えた者人たちだ。冒険ギルドに行って登録をし、討伐依頼を受けてから狩りにいったらしい。初心忘れるべからずだな。だが、それでも苦労して狩った獣を解体するのはできなかったらしく、結局、行き着く先は、冒険ギルドや職人ギルド、果ては都市の住民や兵士など色々な人たちから技能を教えてもらうことから始まったのだよ。それはゲームをリセットして改めて始めた気分だった。しかもちゃんと時間をかけて1から習うハードモードでな。」




