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Episode2 風属性がない世界

是非、反応や、感想、質問など、書いてみてください。


ちなみに、エピソードごとに分量は全く違います。

すぐにストックが切れるので、緩やかになる時はお知らせします。






 私が悪役令嬢?

 あり得ない。なんで不都合にそんなゲームのキャラクターに。




 ⋯⋯認めざるを得ない。鏡で見た私を思い出しても、ほんとにゲームのセフィリア・ノクテリエ=エーデルシュタインに似ている。身長や体型は違えど、髪色や瞳の色はそっくりだ。

 なぜ銀色のグラーデーションなのかは知らないが。



 このゲームは、前世、かなりのめり込んだ部類のものだ。

 どちらかというと、ロールプレイングの方に。


 でも、ある程度、ストーリーも覚えてはいる。


 このゲームの悪役令嬢といえば、ルートの悪役令嬢はまず死ぬ。それに、好感度の状況次第で他の悪役令嬢も死。

 セフィリアだけは魔王討伐に連れていけるけれど、必ずそこで戦死。討伐に編成しなくても攻略対象に断罪される。つまり悪役令嬢は恋愛を成就させるための捨て駒。私にとって攻略対象は死亡フラグを立てるためにいるようなもの。


 死にたくないからもちろんフラグを建設するような真似はしたくないけれど。


 そのためには、やっぱりゲームのキャラに関わらないのが一番だ。

 ⋯⋯でも、攻略対象とかヒロインを避ける、というのは必然的に不可能。

 なぜなら、ルートごとの悪役令嬢は兄妹、姉弟関係だから。

 それに、貴族としての交流関係上、避けるのは不自然になって関係悪化に繋がる可能性が高い。






 …ゲームと同じような言動をしなければいいのでは?




 よし、万事解決。







 そう結論が出た矢先。


「姉さん!」



 私を姉と呼ぶのはただ一人、セヴィルアン。


「ルアン…」


 やっぱり、画面で見たよりは幼い顔立ちだけど、さすが攻略対象。顔がいい。

 騎士的なポジションだったけど、イメージに似つかわない整った顔をしている。

 武闘派とは思えない。これは偏見だろうか。


 さっきまでかあさまが座っていた椅子に半ば飛びながら腰掛ける。


「良かった、生きてる……一ヶ月も目を覚まさないから、死んじゃうんじゃないかって…」


「…………」


 ―――死んじゃうんじゃないか、か。

 少なくとも、今死ぬことはないだろう。

 私はゲームのプログラムのうちの一つ。ヒロインが幸せになるために必要な踏み台。

 たとえ死にたいと願っても、ヒロインが誰かと結ばれるまで、私のことを死なせてはくれない。

 


「姉さん、どうしたの?声が出ない?お水飲む?」


 私の思考がどんどん飛んでいくのも悪い癖だ。


「…………少なくとも、今死ぬことはないから、大丈夫」


「それって、いつかは死んじゃうってことでしょ?」


「⋯⋯⋯ええ、みんな絶対にいつかは死ぬ」


「どうして?魔法ならできるかもしれないよ?」


「⋯⋯ルアン。不老不死の魔法が流通したら、どうなる?」


「うーん。人が増えるし、働き手も減ることはない。いいことだらけなんじゃない?」


「いいえ、それはいつかは崩壊する。労働者は増えるし、経済は活性化するかもしれない。だけど、そうやっていつまでも人が死ななかったら消費数は増えるばかり。――――――そうすると、動植物は狩り尽くされ、淘汰されていく。生態系が壊れるの。時を経るに連れて徐々に人が飢餓とかで死んで、人以外の生物がいなくなったとき、人も死ぬ。それに、不老不死になった人間は、最早人間とは言えない」



「……?姉さんは、すごいね。僕にはまだちょっとわかんないや」


 …子供の年相応の考え方じゃなかったか。


「……ごめんね。今言ったこと忘れてくれない?」

 冷静を取り繕いながら、困った表情を作る。作れてるか知らないけれど。


「どうして?姉さんが言ったことなら大体覚えちゃうから、忘れられないかも」


「⋯⋯」






 ――――――――――――





 ……セヴィルアンって姉っ子キャラだっけ…?

 どちらかというと、ものすごく冷酷キャラだった。

 ヒロインと打ち解けると、内面を見せるとかどうとか。

 いや、それを言うとこのゲームのキャラはスペックが違うだけで、性格の根本は似てる。


「―――まあいいか。いずれ忘れるだろうし」


「忘れないし!」

 ルアンはぷくっと頬を膨らませて不満そうにこちらを見つめる。


 成長したら、こんな表情は見れなくなるんだろう。

 セヴィルアンは、攻略対象としては私の敵かもしれないけど、やっぱり家族として接したい。



 私の、ただ一人の弟だから。




 それに、ここまでゲームとの性格が違ったら、断罪も起こらないかもしれない。


「あ、そうだ。姉さんのステータス楽しみだね!」


「ステータス…?」


「うん!僕達、三属性持ってるんでしょ?姉さんは一ヶ月前に七歳になったから、遅くなるけど明日ステータス鑑定を受けるらしいよ?」


 あぁ、そういえば七歳だ。私。

 かあさま、明日にやること、先に伝えてくれても良かったのでは⋯?



「……火と、水と、土と風と闇と、あとは光⋯?六属性か⋯」


「何言ってるの?この世界は五属性だよ?」


「え、」


「火、水、土、闇、光の五つ」

 ルアンが天井を見つめながら指を折って数えているのを見ていても、その数は片手だけで足りている。


「え、風属性は⋯?」


「風、属性⋯?そんなのあるの?」


 いや、そんなことはあるのか?ゲームでは、どう、だっただろうか。




「―――ルアンは草木が揺れてるところとか、花弁が舞い落ちるところ、見たことない?」


 風がある、とことはわかりそうだけれど。



「見たことあるけど」


「涼しいとか感じたことは?」


「ある。⋯⋯⋯風は知ってるよ。だけど、風は魔素でできてないんじゃない?」


「あ⋯⋯そう、だったっけ」


 風に魔素がないのなら、風属性がルアンの言っている属性にないのは納得できる。

 でも、風は自然現象だから、水とか土とかに類すると考えられるはず。



 ⋯⋯おかしい。


 ―――かあさまから習ったことに書いてあるかも。


「あ、姉さん!」

 安静の言いつけを破ってベッドから降りて本棚に行こうとすると、全身にまた痛みが走る。


「―――っ」

 反射的に声を出しそうになるが、心配はかけたくないので我慢する。

 そんなに表情は動いてないだろうけど、ルアンが机の椅子に座っていなかったのが救いだ。


 心配させないようにできるだけスムーズに動く。動くだけで痛いからすぐに戻りたいのもある。机に備え付けてある本棚から、かあさまの講義用に使っていた冊子を引き抜いて椅子に座る。




 確か、三回目くらいに属性について聞かされて、かあさまが楽しそうに魔法を使って遊んでいたのを見て「なにやってるんだ」って思ったっけ。



 何ページかめくってそのときの記憶とともに内容をたどる。


『―――また、大地、水、火など自然界―――』


 ⋯⋯風が、ない。

 省略は最大の括りだからないはず。

 それに属性ごとの説明もあるけどその中にもない。


 そもそも、火が自然現象の中に入っているのもおかしい。


 じゃあ、風属性は、ない?

※ルアンはセヴィルアンの愛称です。なので、別人にしないでください。

別人にしたら私は息絶えそうになると思わないこともないこともないと思います


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