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第24話 接近! ミュートロン軍前線基地

 ついに火星政府軍の軍港から出港したアストライオス艦。火星政府軍のSERTも合流し、宙域圏防衛戦線が編成された。

 このSERT艦隊の指揮官に任命されたクラッセルは、補佐官のオリバー・スフィールに対し、移動目標の指示を行うこととなる。


「今回はアステロイドベルトにあるミュートロン軍の前線基地へと突撃する。最終目標はその基地の敵部隊殲滅、及び我が友軍の捕虜の救出だ。オリバー、他のクルーにもこの事を伝えるように」

「了解です」


 こうして、ラディエス達にもこの事は伝えられ、至急作戦に向けて準備が行われることになった。

 ラディエスは作戦用立体マップを小型端末から出力し、表示させる。


「この作戦では、アステロイドベルトBD-77エリアに当たる区域に存在するミュートロン軍の前線基地を襲撃する。ここには味方の捕虜もいるから慎重にやろう。本作戦では先行してヒュペリオン隊が偵察を行い、その後奇襲に出るということになっている。その次にオルフェウス隊は基地にいる捕虜を助け出し、その間に俺達とクレイオス隊が敵部隊を引き付けて交戦する」

「了解した。今回の作戦指揮はラディエスに任せたい。出来るか?」

「はい、お任せを」


 マーティーの提案をすぐに快諾するラディエス。

 彼は端末を操作して、さらにポインターを表示する。


「この箇所が敵基地の入口だ。ここにシュウ達がロングレンジブラスターを発射……、というわけだ」

「分かりました。僕たちにお任せを」


 ヒュペリオン隊の三人は、敬礼を行った。

 その際、思わず笑みがこぼれるシュウ。

 どうやらこの作戦にかなり自信があるようだ。


「俺達の事も忘れんなよ?」

「分かってますって、ジュノー大尉」


 薄っすらと笑みを浮かべるラディエスとジュノー。

 お互いに、口元が思わず綻ぶ。


「呼び捨てでいいって言っただろ? まあいいや。とにかく早いうちに動こう」


 こうして、アストライオス艦隊は静かに漆黒の宇宙を飛び続ける。

 そんな中で、ついに作戦は遂行されることとなった。



 アステロイドベルトの前線基地へと接近したアストライオス艦は、各部隊の出撃態勢を整えた。

 機体のコックピット内で操縦系統のコントロールシステムを操作するラディエス。

 なんとしても成功させてみせる──

 そう思いながら操縦桿を握り始めた。


「ラディエス・ライオネル、ロードブレイダーMk-Ⅲ出撃する!」

“了解! カタパルトユニット展開、各オペレーションシステム、オールグリーン! 出撃お願いします”

「分かったぜ、アリカ!」


 こうして、ロケットブースターを吹かせてロードブレイダーMk-Ⅲが、星々の輝く漆黒の宇宙へと飛び立った。

 その間にヒュペリオン隊が出撃し、前線基地の防護シャッターに向けて、遠くから光線を発射。


「よし、発射ァッ!」

“了解!”


 シュウ達の放った光線は、シャッターを破壊しラディエス達のための突破口を開いた。

 エルダとケビンは、シュウの前方を守る形で攻撃を開始した。


「なるべくV字フォーメーションは崩さないように。エルダ、どうやら敵部隊がこっちへと近づいている。至急ラディエス大尉にも伝えておくように」

“分かりました”

「ケビンは引き続き俺と攻撃に専念するように」

“はい、お任せを”


 そして、プロメテウス隊やオルフェウス隊、クレイオス隊が合流し、戦力は確固たるものとなった。


“ラディー、ここは私が援護するわ!”

「頼むぜ、パティ!」


 敵勢の駆るシグネスとバーネイルで構成された戦闘部隊に向け、機銃を連射するパティ。

 さらにそこへと、ラディエスとゼナードもビームライフルで光線を撃っていき、戦闘部隊を少しずつ撃墜していった。

 それとは対照的に、オルフェウス隊とクレイオス隊は、接近戦で果敢に敵機動部隊に挑む。

 アステロイドベルト前線基地の中は、無数の光線が飛び交う熾烈な状況となった。


“隊長さん、このまま正面突破するしかなさそうだが……”

「あぁ、やるしかないな!」


 ゼナードの提案を受け入れたラディエス。

 彼はゼナードやパティと共に基地の最奥部まで向かうことにした。


“ラディー、ここは私が!”


 パティはビームライフルを構えて、素早く光線を連射する。

 さらにそこへと、ラディエスがインパクトブラスターを使って加勢し、雷のような光線を何度も打つ。

 敵勢の駆るシグネスは次々に撃墜されていった。

 この勢いに、思わずたじろぐ敵戦闘部隊だったが、彼らが戦っている間にジュノー達が既に捕虜を救出していたのだ。

 そのため、最早ラディエス達にとって迂闊に攻撃が出来ないというリスクは無くなっていた。


「ラディエス、こっちはもう救出済みだ! 至急お前達の方に合流する!」

“了解! よし、行くぞ”


 ラディエスは戦闘システム用のコントロールパネルを操作し、敵機に照準を合わせる。

 無機質な電子音が、彼の機体の中で響く。


「照準が合った! 今だァッ!」


 本隊を構成するシグネス一機を撃墜したラディエスに対し、そこから挟み撃ちにしようと試みる二機のシグネスが攻撃を仕掛ける。


「落ちろォッ!」


 しかし、この二機の方へと二本の光線が直撃。二機のシグネスはあっさりと撃墜された。


“隊長さんよ! こういうのは気を付けた方が良いぜ”

「すまない、パティ、ゼナード」

“大丈夫よ。現時点では残り八機ね。このまま一斉掃射で倒したいところだけど……”


 パティは一旦言葉を出し渋る。


「あぁ、まずは一斉掃射をしながら様子見をして、そこから場合によっては接近戦だな」

“了解、任せといて”


 そして、三人は機銃を構えて本隊の攻撃に備えた。

 パティとゼナードがラディエスの前方を守る形で、突撃態勢に入る。


「このまま突き抜けて行くぞ!」

“よし、分かったぜ隊長さん”


 光線が無数に飛び交う中、オルフェウス隊とクレイオス隊も合流し、その火力は勢いを増す。

 彼らの放つ稲光にも似た光線が、敵勢をどんどん追い詰めていく。


“まずいぞ! 敵機三機が接近して来た!”


 ゼナードは思わず目を鋭くする。

 そのまま緊迫した表情で操縦桿をしっかりと握り続けた。


「分かった。ここは俺とジュノーで行く」


 ラディエスはビームソードを取り出し、さらにジュノーはパワードナックルを展開して接近攻撃を開始する。


「このォッ! 許さねえッ!」


 敵機は素早くソードで切り込むものの、その隙を突いたラディエスは、自らのソードを敵の駆る機体胸部を貫く。


「グホォッ!」


 そのまま倒れ込む一機のシグネス。さらにもう二機がラディエスに襲いかかる。


“ラディエス、ここは俺がやる!”

「ジュノー、助かるぜ!」


 ジュノーは機体両腕のバーストナックルを展開し、まず右腕で一発パンチを喰らわせてシグネスを破壊。さらに指揮官機のバーネイルを左腕のナックルで突き飛ばす。


「よし、今だ!」


 バーネイルがジュノーによって突き飛ばされた隙に、ラディエスがビームソードで素早く斬り裂いた。


「よし、こちらプロメテウス隊・ラディエス。敵部隊の全滅を確認。至急基地へ戻る」

“了解です。皆さんお疲れさまでした”


 こうして、アステロイドベルト襲撃作戦は終了し、無事戦いは一段落着いた。



 この戦闘が終わってからしばらく経ち、ミュートロン軍はアステロイドベルト基地から連絡が取れないことを確認し、全てを察知した。


「ふん、役立たずめ……。あんな旧人類如きにやられるとは……。愚かな」


 デュークは通信機器の操作を終え、苛立ちながらも席から立ち、コーヒーを飲むことにした。

 果たして、ミュートロン軍は今後どんな手に出るのか。

 それはまだ、誰も知る由もない。


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