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第22話 ゲリラ部隊との戦闘

 フロリダ政府軍は、数週間前より問題視していた近辺の廃墟を不法に占拠するミュートロン軍のゲリラ部隊を相手に戦闘状態であった。


「こちらウェイル、聞こえるか? 未だにミュートロン軍は降伏しない……。やはり強硬手段に出るしか……」

“それをやったら間違いなく俺達が返り討ちに遭う……。よそう”


 この状況の中、治安維持部隊はただただ敵の連中が来るのを待ち伏せするだけ──

 何もできない状況にあった。


「瓦礫の影を縫って、その隙に敵を討て!」

“了解!”


 陸戦改修型ストライルの持つビームピストルの砲口が、火を吹き唸る。


「何をッ! このまま旧人類にやられるものか! これからは俺達の時代だ!」


 敵兵は、鹵獲して黒く塗装したストライルを使い、ビームマシンガンで反撃に出た。

 その反撃は凄まじく、無数の光線がフロリダ政府軍を襲った。


「まずい! このままでは全滅は逃れられん! 撤収!」


 フロリダ政府軍は苦労の甲斐もなく、撤収を余儀なくされた。



 翌日、ワシントン政府軍の方へと、フロリダ政府軍司令官のジョニー・パイソンから通達があった。

 その内容は、フロリダ政府軍基地付近の廃墟地帯に住み着いているゲリラ部隊を殲滅してもらいたいという旨。

 この事を受け、ディノはプロメテウス隊などの部隊に指示を出すことになる。



 それから数分が経過し、ミュートロン軍のゲリラ部隊を殲滅するための作戦会議が開かれた。


「今回の作戦では、ゲリラ部隊を殲滅する訳だが……」


 ラディエスは少々険しい目で作戦用マップを見つめた。


「ゲリラ部隊は、フロリダ基地の北東から20キロ先にある廃墟となったビル街を占拠している。その上、フロリダから夜間戦闘仕様のストライルを何機か奪い、鹵獲した機体を悪用して周辺の保安部隊を殲滅しているとのことです」

「アリカ、細かく調査してくれたんだな。助かるぜ」


 アリカは微笑みながら頷いた。


「ここにゲリラ部隊が潜伏したのは、少なくとも三週間前。周辺の住民からしたら不安でしかない。隊長さん、どうするよ。このまま戦いが続いたら、一般人にまで被害が及ぶぞ」


 ゼナードもまた、この問題を深刻に受け止めている。


「そこで、今回は武装類に関しては、従来のビームライフルだと爆風が大きくなりかねないので、ビームピストルやサイレンサーを用意することになった。あと使えるのは、ビームソードだな。これについては、なるべく騒音に関しても最小限に留めたいというフロリダ側の意向だ」

「分かったわ」


作戦資料を確かめるパティ。

 彼女は端末機器を操作し、マップを非表示にしてから使用する武装についてのデータを確認した。


「ひとまずゲリラ兵の撃退が出来ればいいという訳だ」


 ジュノーのその言葉に、ラディエスはコクリと頷く。


「僕たちはアリカと、事前に敵部隊の位置を確認するよ。そして攻撃開始後に僕らも合流する」

「シュウ、頼んだぜ」


 シュウは席に座りつつ、ラディエスに向けてサムズアップをして見せた。


「ひとまず、武器類の調達は既にできているから、明日にはフロリダへ向かうぞ」

「了解!」


 こうして、彼らは着々と明日の作戦への準備を進めていった。



 そして作戦当日、輸送機から降りたラディエス達は、フロリダ基地の入口で一度保安部隊と顔合わせをすることになった。


「私がフロリダ政府軍の司令官をやっている、ジョニー・パイソンだ。よろしく頼む」

「私はラディエス・ライオネル大尉であります。どうぞよろしく」


 一同はフロリダ政府軍の兵士達に敬礼を行い、真剣な眼差しを見せる。


「これだけいれば鎮圧できそうだ。ひとまず保安部隊の面々も挨拶を」

「はっ、司令官。自分は保安部隊の隊長を務めているタイラー・バンデムだ。階級は少佐だよろしく頼む」

「私は副隊長のウェイル・ブラウン。階級は同じく少佐。よろしく」


 彼らは強く握手を交わしてから、戦闘準備を整えて輸送トラックを経由してゲリラのいる廃墟へと向かい、攻撃態勢に入った。


「ゲリラ部隊のアジトに到着した。シュウ達は敵勢力の解析を」

“了解! 任せてくれ”


 シュウは背面の偵察用小型飛行システムを飛ばし、敵機の分析を行った。

 さらにケビンやエルダ、プロメテウス隊のアリカも加わり四人で敵部隊の様子を覗うことになる。


「敵勢は地下の方へとアジトを造っているようです。地上には警備をしている機体が六機、テントがいくつかあるくらいですが……」

“そうか、分かったよアリカ。ならばあとは攻撃を仕掛けるだけだな”

「頼みます」


 その後、ヒュペリオン隊は空中から敵のいるアジトの方へと入っていった。


「今だ! 喰らえ!」


 シュウはすぐさまビームピストルを構えて光線を発射。


「何ィッ!? ウワアァッ!」


 ケビンは鹵獲機のストライルを一機撃墜し、もう一機は空中へと飛び立ち反撃を行う。


「このォッ! 所詮は軟弱な生き物如きにやられてたまるか!」


 敵機はビームライフルをお構いなしに攻撃を繰り出すも、こちらはビームピストルのみ。

 シュウは、ロングレンジブラスターが使えればと思い、もどかしい気持ちでいっぱいになる。


「このままある程度接近して……、撃つ!」


 シュウは中距離からの攻撃で光線を撃ち、もう一機も仕留めた。


「ラディエス、ジュノー、今だ!」

“了解!”


 こうして、プロメテウス隊とオルフェウス隊は突撃を開始した。

 今回はロードブレイダーMk-Ⅲも最低限の装備のみであり、ウェポンパックは付けていない。


「近距離で使えるのも標準装備のソードだけか……。仕方あるまい! 行こう」

“分かった、隊長さん”

“オーケー。既に敵機は地下から出て来てるみたいね”


 プロメテウス隊の三人は、すぐさまピストルで攻撃を仕掛ける。

 敵機の中には迷彩仕様のバーネイルやシグネスもいた。彼らはお構いなしにライフルを頭ごなしに撃ちまくる。


「この野郎! ぶっ殺してやる!」


 ゲリラ部隊であるブラッディ・クロウの隊長、ディンゴ・マークスは、ミュートロン軍のはみ出し者であった。

 彼は同じ境遇のミュートロン軍兵士を集め、この廃墟を根城にしてフロリダに住む人々を震え上がらせていた。その間に、数々の兵士を葬って来たのだ。

 ディンゴは、がむしゃらになってビームライフルの引き金を引き続け、光線を乱れ撃った。


「させるかよ! 俺達は今まで数々の強敵を倒してきた。負けて堪るか!」


 ジュノーとアンディは、ピストルで的確に敵機を撃墜していく。

 さらに、そこへとタイラーやウェイル率いる保安部隊も加勢。


「保安部隊、全員突撃!」

“了解!”


 保安部隊も攻撃を仕掛けていき、敵味方間で激しい銃撃戦となる。


「今のうちに行くぞ!」

“了解!”


 ラディエス達は敵ゲリラ兵の駆るシグネスに対し、接近戦に持ち込んだ。

 ビームソードの刃が、けたたましい音と共に強く激しくぶつかり合う。


「このォッ! しぶといな……」


 長期戦を覚悟するラディエス。彼は操縦桿をしっかりと握り締め、素早く剣を取り回す。


「死ねぇッ!」

「させるかッ! 今だ!」


 その時、ラディエスの持つソードの刃が敵の駆るシグネスの胸部を貫く。

 そのまま機体は姿勢が崩れ落ちて倒れた。


「よし、ゼナード、パティ、そっちはどうだ?」

“こっちも何とか仕留めたぜ!”

“残っている機体は……、八機ね”


 敵勢は怯むことを知らぬかのように、積極的に攻撃を仕掛けていく。

 交戦が飛び交う十字砲火の中で、ジュノーやアンディ達も次々に敵機を倒していった。


「へへっ、必ずしも強い武器が有利と思ってたら大間違いだ! 全ては技量だ」


 ジュノーは敵勢の持つ武装を嘲笑しながら、ゲリラ兵の機体を撃墜していく。


「アンディ、ラディエス達によると残っている機体は、中枢部にいる敵機だけみたいだ。とりあえず俺達も加勢するか」

“分かりました。行きましょう”


 こうして、ジュノー達も中枢部へと向かい、それに遅れる形で、空中戦を繰り広げていたシュウ達も合流しようと試みる。


「喰らいなさい!」

「何ィッ!? ウワアァッ!」


 エルダの手により、空中にいた最後の一機も撃墜に成功し、その残骸をケビンが抱えて地上へと降下する。


「よし、いよいよ中枢部だ。油断しないように頼むよ」

“了解!”


 こうして、全部隊がゲリラ兵のアジトの中枢部に終結した。



 アジトの地下中核エリアでは、プロメテウス隊とオルフェウス隊が接近及び中距離戦を、ヒュペリオン隊と保安部隊の面々が援護射撃を行っていた。


「こいつめ……。俺達をコケにしやがって!」


 ディンゴはビームライフルで掃射を行うも、それはラディエス達からしたら豆鉄砲に過ぎず、易々と回避される。


“ディンゴ隊長! ここは我々がお守りします!”

「助かるぜ、ありがとよ」


 ディンゴの側近はすぐさまライフルでジュノーに向けて光線を撃つものの、あっさりと避けられた。


「こいつらめ! まだ粘るか!」


 ジュノーはすぐさま敵機の足元に蹴りを入れ、そこから敵機胴部にピストルを連射する。


「グハァッ!」


 敵機は吹き飛び、煙を吹きながら倒れた。

 こうして、残るはディンゴの駆るバーネイル一機のみとなった。


「クソォッ……、とうとう俺だけになっちまったか……。なら、もうやけくそだ!」


 ディンゴはビームバズーカをラディエスに向けて撃つ。


「落ちろォォッ!」

「まずいッ! ならこうするか……」


 ラディエスはすぐさま機体をうつ伏せの状態にして、ピストルを連射。

 ディンゴの駆るバーネイルの脚部が、思い通りに動かなくなる。


「くっ……、まだまだ!」


 そこからディンゴの駆るバーネイルに、ラディエスのビームソードが機体の胴体を貫通した。


「そんな……、この俺が……!」


 ディンゴの機体は煙を上げながらよろよろと歩いたのちに倒れ、爆発四散した。

 この爆風で、敵勢のアジトの地下部分が崩れ始める。


「全員脱出するぞ!」

“了解!”


 こうして、今回の戦闘は終わった。

 彼らは一旦フロリダ基地へと向かい、報告を行う。


「そうか。ゲリラ兵は全員駆逐したか。よくやってくれた。本当に感謝する」


 ジョニーはラディエス達と握手し、笑顔を見せた。


「いえいえ。当たり前のことをやったまでですよ」

「本当に助かった」


 その後、ラディエス達はワシントン基地へと戻り、その間にディノに戦果についての報告を行った。


“任務を遂行したのか。よくやってくれた。それと、基地に着いたら君達に重要事項について話す。少し休憩してからで良い”

「分かりました」


 果たして、ディノの言う重要事項とは何か? 


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