第13話 ゴウト、再び!
ワシントン基地の一部施設が修復中ではあるものの、修理班はアクティブウインガーなどの改修やプログラム改良を図る。
そして、そこへとプロメテウス隊の面々が合流していた。
「よし、Mk-Ⅲのウェポンパックをコイツの背面に装備できるようにしておいた。これなら攻撃力も十分確保できるだろう」
「でも、交換時はどうするんです?」
アリカは不思議そうに首を傾げた。
「それについても問題なしだ。いちいち中に入ってから武器の換装をせずに済むようになってる。各武装にも接続システム切替プログラムを搭載しておいた。空中ですぐさま武器を装備できるようになってるからな」
「なるほど。それなら問題ない……、でしょうか?」
それでも彼女は不安そうな面持ちである。
「おいおい、心配すんなって。換装の時はバリアが自動で展開するし、大丈夫さ」
「ならいいのですが……」
「そんな心配するなよ、アリカ。とんだ杞憂だと思うぜ」
ラディエスは、優しく穏やかに微笑む。
「でも、以前のこともありますし……」
「まぁ、アリカの考えてることは分からなくはないわ。でも、前よりは撃墜される可能性は減ったと思うの。だからベンさん達の事をもっと信頼した方が良いと思うわ」
「そう……、ですよね。ごめんなさい」
アリカは申し訳なくなり、ベンに謝る。
「いいっていいって。気にしてないから」
「ありがとうございます……」
申し訳なさそうな顔でアリカは少し縮こまった。
「アリカ、そんなに自分を思いつめるな。とりあえず機体の修理に加えて強化も出来たみたいだし良かった。修理班の皆さん、ありがとうございます」
ラディエスはにこやかな表情でベン達に感謝する。
「いざってときは任せな!」
「はい、これからもよろしくお願いします」
こうして、プロメテウス隊はそのまま修理ドックから出ていった。
一方、ミュートロン軍は以前の地球侵攻作戦で、敵軍の弱体化に成功し、補給や修理のためにセカンド・アースに戻っていたが、ワシントンに突撃しようと試みていた。
ゴウトとウィル、ドレイクの三人は、作戦会議を終え、余韻に浸る。
「さてと、ついにワシントン基地も陥落すれば、地球侵攻はより容易くなるな」
ゴウトは、作戦指示をひとしきり終え、並々ならぬ手応えを感じている。
「そうですね。このまま奴らをハチの巣にすれば、奴らから地球を……」
ドレイクは足を組みつつ、荒れ果てた地球を妄想し、不気味に笑う。
「我々は、あの脆弱な遺伝子を持った奴らを粛正し、優れた遺伝子のみを残す……」
「それが我々ミュートロンの最終目的……。これが実現するのも時間の問題ですな」
ウィルの表情は余裕に満ちていた。次は前回以上の成功を収められる──
確かな自信に満ちていた。
「さてと、整備も今頃終わっている事だろう。行くとしよう」
「了解!」
こうして、キュロス隊は再攻撃を行うべく、セカンド・アースを離れた。
第二次ワシントン基地破壊作戦は、密かに始まる。
それから半日後のこと。ワシントン基地のレーダーは敵軍の熱源反応を感知。
ラディエス達は、大至急出撃することになった。
「今回の武装は……、肩をディフェンスタイプ、バックパックはブーストタイプ、四肢の部分はストライクタイプにするか……」
ラディエスは、端末を使って出撃時の装備を決めた。
「ラディー、こっちは準備OKよ」
「こっちも行けるぜ、隊長さん!」
パティとゼナードの顔が、機体の通信用画面に映る。
二人はラディエスに対しは敬礼をした。
“今回の作戦では、施設の被害を拡大させないようにお願いします!”
「分かってるさ、アリカ。サポート頼むぜ」
“はい。まだ改良型アクティブウインガーは調整不足ですので、私が状況に応じてオートコントロールで出撃させます”
硬い表情でアリカはコントロールパネルを操作し、起動プログラムを調整する。
「そうか。分かった」
ラディエス達はそのまま基地から出撃し、機銃を構えた。
「敵は上空から攻めて来ている! ゼナード、パティ、援護頼む!」
“分かった、隊長さん。早いところ片付けてやろうぜ”
“接近速度も速いわ……”
プロメテウス隊の三人は、ビームライフルで敵MUのドールクスを撃墜していく。
「ドールクスが数機……。まだ本隊ではなさそうだな」
“そうね。ひとまずソードで斬っていった方が先決ね”
ラディエス達は接近攻撃に切り替え、ビームソードを使い敵を斬り裂いた。
「上手くいってるな……。よし、ウィル、ドレイク! 奴らに急接近するぞ」
“了解! ゴウト大佐”
こうして、キュロス隊を筆頭とする戦闘部隊は、プロメテウス隊の方へと攻撃を仕掛けようとする。
しかし、彼らを遮ろうとする者もいた。
「喰らえッ!」
「むうッッ!? 遠方から援軍の機体が……」
敵部隊の機体を狙撃したのは、ヒュペリオン隊のシュウだった。
“シュウ、助かったぜ!”
「大丈夫ですか? ここは僕たちが援護しますよ」
“すまないが、頼む”
ヒュペリオン隊の三人は、そのまま援護射撃を続行し、はるか上空に群がる敵を少しずつ仕留めていく。
「来たな! 発射!」
「何ィッ!? ウワアッ!」
ケビンの撃ち放った光線は、敵機の胸部を貫いた。
“ケビン、流石ね”
「射撃訓練の成果が出たみたいだ」
エルダも一矢報いるべく、ビームソードで素早く敵機に斬りかかる。
「喰らいなさい……!」
「グワアァッ!!」
ヒュペリオン隊の凄まじいスピードに翻弄される敵部隊の中には、怯えて逃げて行く兵士もいた。
その一方でプロメテウス隊は、キュロス隊本隊と交戦状態にあり、ラディエスはゴウトと戦う中ビットシールドを展開しながら凄まじい速さで戦闘を行っていた。
「今度こそ……、仕留める!」
「ふん、下手な小細工を!」
ゴウトはシールドの隙間を縫い、ラディエスの隙を突こうとする。
「今だ!」
「させるかよッ」
必死な表情でラディエスは、ゴウトが近づいてきた瞬間に蹴りを浴びせ、そこからミサイルを発射し、さらにビームライフルで攻撃を仕掛けた。
“ゴウト大佐! このままでは機体が……”
「ウィル、ドレイク、援護を頼む!」
“はっ、お任せを!”
彼らの援護射撃に対し、パティとゼナードは対抗し、さらに突撃を図る。
「このおォッ!」
ゼナードはライフルからソードにすぐさま持ち替え、その攻撃はドレイクの機体を貫いた。
“大佐アァッ!”
「ドレイク! くっ……、このままではウィルどころか俺もやられかねん……。全員撤収だ! いいな?」
“了解!”
ゴウトはすぐさまウィルや傘下の部隊に撤収命令を出し、踵を返す。
戦いを終え、ラディエス達は紅茶を飲んでリラックスしていた。
「それにしても、今回はシュウがいなかったら危なかった。あいつは今寝てるけど、朝になったらお礼を言っとこう」
「そうね。今回はアリカの出る幕はなかったけど、今度は頼んだわよ」
パティは、アリカの肩を優しく叩く。
「でも、それまでにはアクティブウインガーの調整は終わりそうですけどね」
「それもそうね」
彼らの束の間の休息。それは長くは続かない。
本当の安息の時が来るのはいつか?




