第93話 もふろう作戦
その日俺と怪猫神は人間界に来ていた。
「金毛神は何が好きなのかなぁ?」
「知らないにゃ」
なぜ人間界かというと、反狐神が人間界で仕事をしているからである。
「やっぱりあぶらげかなぁ?」
「だから知らないにゃ」
「え〜そんな態度じゃ魚買わないよ〜?」
「酒なんかどうにゃ?」
「お酒かぁ。確かに宴会で呑んでたもんねぇ」
なんで話しながら怪猫神とデートを楽しんでいる俺だった。
とあるデパートーー
そこには狐の着ぐるみが子供たちに風船を配っていた。
「反狐神、何してるにゃ・・・」
「え!?この着ぐるみが!?」
俺たちは着ぐるみに引っ張られて裏へ連れて行かれた。
「怪猫神!バレるからやめてよ!」
着ぐるみを脱ぐと、そこには怪猫神と同じくらいの身長の女の子がいた。
「お前に用があったにゃ」
「着ぐるみに入ってる間は喋れないんだよ!」
「こいつが金毛神について聞きたいらしいにゃ」
「話聞けよ!」
「お疲れ様〜。俺好奇神、よろしくね〜」
「おつかれ〜、反狐神だよ」
「それで?聞きたいことってなに?」
「金毛神のことなんだけどさ・・・」
俺は金毛神の尻尾をもふもふしたいことを反狐神に熱弁した。
「なるほどねぇ」
反狐神はなぜかニヤニヤしていた。
「お前・・・金毛神に惚れたな?」
「違うよ?」
「あれ?」
反狐神は当たっていると思っていた答えが違ったことに驚いていた。
「ならなんで尻尾をもふりたいんだ!?」
「気持ちよさそうだから」
「そこに恋心は?」
「ないよ?」
「・・・」
反狐神は首を傾げていた。
「あのねぇ、俺は人間だった頃に妻も子もいたんだよ?」
「死んでようが神だろうが、妻と子に捧げる愛情は変わらないの」
「だから恋心はないよ。あるのは好奇心だけ」
「じゃあお前は金毛神のなにが知りたいんだ?」
「どうやったら仲良くなって、尻尾をもふもふできるか」
「・・・なぁ怪猫神。こいついつもこんなんか?」
「こんなんにゃ。まともなこと言ってるけど頭の中はもふもふでいっぱいにゃ」
「・・・」
反狐神は黙って尻尾を向けてきた。
「それはもふってくださいと捉えて良いのだな?」
「・・・本当にもふることしか考えてないな」
「どっちだ?反狐神!」
「ダメだ」
俺は膝から崩れ落ちた。
「上げて落とすなんて酷いじゃないかぁ」
「誰も触らせるなんで言ってないぞ」
「くそ〜!」
「アホにゃ・・・」
俺は弄ばれた後、再び金毛神について聞いた。
「どうやったら仲良くなれると思う?」
「アイツは基本的に群れんからなぁ。神付き合いもあまりせんから私もわからん」
「そっかぁ・・・、好きな物とかは?」
「酒を飲んでいるところをよく見るくらいだなぁ」
「やっぱりお酒かぁ」
俺は人間界の酒を何種類か買って帰ろうと決めた。
「ちなみにあぶらげは?」
「狐なら大体好きだけど、アイツ妖狐だよ?」
「可能性は低いか・・・でも一応買っていくか」
その後反狐神と別れた俺と怪猫神はお酒とあぶらげと魚を購入し、神界へ戻った。
神界ーー
「それで、金毛神は今どこにいるんだろう?」
「知らないにゃ」
頭の上で買った魚にがっついている怪猫神の尻尾はとある方向を指していた。
「あっち?ありがとう♪」
その方向に歩いていく。やがて一つの建物が見えてきた。
「この中にいるのかぁ・・・」
俺は意を決して扉を開ける。そこには・・・誰もいなかった。
「だましたなぁぁぁぁ!?」
「いるなんて一言も言ってないにゃ」
「今日は動物神に弄ばれる日なんか?それはそれで嬉しいけどさぁ・・・」
「・・・キモいにゃ」
その後も神界を歩き回り、金毛神を探す俺たち。
途中何度か怪猫神に騙されたが楽しかった。
「見つからないねぇ」
その時後ろから声をかけられる。
「なにしてるの」
振り返ると、それはもう美しい毛並みの尻尾、冷やかに見下した冷たい瞳、しっかりと手入れをされた艶々した髪を持つ金毛神が立っていた。
「やっと会えたぁ!」
金毛神は少し引き気味に距離を取った。
「なんなの?」
「君に会いたかったんだ!」
「好奇神・・・それ完全に片想いしてるやつのセリフにゃ」
「何の用?」
「これ!プレゼント!お酒とあぶらげ!」
「ふぅん・・・」
金毛神は俺の顔をじっと見つめている。
「なに?」
「別に・・・」
金毛神はお酒とあぶらげを受け取り去っていった。
「一歩前進!よかったぁ!」
「なにも変わってないにゃ」
「受け取ってくれたよ!」
「見下してたにゃ」
「綺麗な瞳だよね!」
「ほとんど喋らなかったにゃ」
「まだ恥ずかしいのかなぁ」
「キモいにゃ」
「知ってる〜♪」
何はともあれ、一歩前進したのだった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第94話 作戦会議
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