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第91話 好奇神のルーツ

産院の病室で自身と作者神の存在を確認した俺たちは、産院を後にした。

「・・・いたね」

「うん、いた」

「多分あいつは俺が生まれる前から俺のことを知っていると思う。でなきゃあの場所にいるはずがないよ」

「私もそう思う。次はどっちに向かうの?」

「さらに過去に向かう。でもここから先、生まれ変わりがわからないからしらみ潰しになると思うけどね」

「管理神の記録にゃ!」

「そうか!記録の中のノイズを辿れば生まれ変わりがわかるんだ!」

俺たちは一旦神界へ戻り、管理神の記録を持ち出した。そして俺の生まれるよりもさらに過去の人間界へ移動した。

某年10月28日ーー

俺たちがついた場所は俺の知らない場所だった。

「どこだろうここ」

周りの景色は現代と変わり、田畑が多かった。

「猫神様、何か感じる?」

「まだ感じないにゃ」

「生まれるまでまだ時間があるからかなぁ」

「ねぇ・・・でもこの辺人の気配がないよ?」

「確かに・・・まさか人間ではない?」

「来たにゃ!」

空間にノイズが走る。だが作者神の姿はなかった。

「どう言うこと?」

「・・・こっちにゃ」

不思議に思いながらも俺たちは怪猫神について歩いた。

そこには産まれたばかりの子猫が母猫に舐められていた。

「もしかして・・・この猫が俺?」

「多分そうにゃ」

「マジか!俺の前世って猫だったの!?やったぁ!」

「そこじゃないでしょ!」

創造神の鋭いツッコミを入れられた。

「ごめんごめん。あまりにも嬉しくてついね」

「ちゃんとしてよ〜?」

「それにしても、なんで姿を現さなかったんだろう?」

「人間の姿じゃないと意味がないからとか?」

「可能性はあるね」

そして俺たちはさらに過去へと向かった。

そこは人間たちで賑わう場所だった。

「今度は人間かなぁ」

「これだけ人が多いと人間だと思うけど」

その時、人間たちが騒ぎ出す。

「おい!あの川だ!」

「なんてことだ!また死人が出るとは・・・」

俺たちは騒ぎが起きた川に向かう。そこには救助された子供が横たわり、大人たちに囲まれている。

ジ・・・ジジ・・・

「いるにゃ!」

大人たちの中に紛れて作者神が子供をじっと見ている。

「ま・・・が・・・か」

そして消えた。

「ノイズで聞き取れなかったけどまた何か言ってたよね?」

「言ってたにゃ」

「でも今度は生まれた時じゃなくて死ぬ時だった・・・」

俺たちは一度神界に戻り、得た情報を共有するため案内神の元へ向かった。

神界ーー

「どうだった?」

案内神の問いかけに俺は答えた。

「俺の前世猫だった!」

「違うでしょ!」

創造神につっこまれ俺は見たことを説明した。

「そうか・・・ますますわからないな。生まれる時だけではなく死ぬ時にも現れるとは・・・」

「姿を見せなかったのは多分、人間じゃなかったからだと思う」

「その線が濃厚だろうな」

「先ほど魔王から興味深い情報が入った」

「なに!?」

「魔界にある文献を調べていたら作者神らしき記述があったそうだ。それは魔族の子供の記録だった」

「・・・まさか?」

「ああ、その子供の生まれた日付は関係ないものであったが魔暦にすると10月28日・・・しかも体重が1028gで生まれた子供だそうだ。ノイズも確認されている。つまりお前は一度魔族に転生している可能性がある」

「俺が・・・魔族に?」

「そして魔王はこうも言っていた。"我が作者神に会った後の出来事だ。もしかするとあの時の作者神は次に生まれてくるやつのことを頼むと言いに来たのかもしれん"と」

「・・・」

何も言えなかった。作者神のことを探れば探るほど俺が俺じゃなくなっていく感覚がした。

「しっかりしろ!俺たちが付いている!大丈夫だ!」

「うん・・・ありがとう」

「ねぇ・・・」

創造神が何かに気付いて話しかけてきた。

「好奇神が魔族に転生してるとしたら、神にもなってたんじゃない?」

「!?」

「神界でもノイズや姿を見た神がいるということは、神に転生していたということもあるよね?」

「管理神!過去に破壊神に消された神や消えた神を調べろ!」

「任せろ!」

その光景をただ茫然と見ている俺を創造神が抱きしめてきた。

「大丈夫だよ」

調べるほど異質な存在になっていく俺を創造神は優しく受け止めてくれていた。

「いたぞ!」

その声に驚く俺を強く抱きしめた創造神。

俺は管理神に聞いた。

「その神の名前は・・・?」

「・・・吾亦紅神だ」

「・・・?」

「創造主様、この神に覚えは?」

「覚えてるよ。私の付けた名前を悉く嫌がった神様だよ。確か変化を司る神だった」

俺は答えを聞くのが怖かった。だが先に進まなきゃという思いもあった。

「その神は・・・どうなったの?」

「記録だとある日を境に突然消えている・・・」

「10月28日?」

「ああ・・・」

「それは人間界の暦?」

「いや、全てだ」

「・・・どういうこと?」

「神界、魔界、冥界そして人間界の四界では数千年に一度数字が重なる時がある・・・」

「数字が重なった瞬間、消えている」

「転・・・生・・・?」

「かもしれんな」

「しかし、なぜその神は吾亦紅に拘ったのだ?」

「俺、昔調べた事がある。吾亦紅は10月28日の誕生花だよ・・・。花言葉は"変化"」

「・・・繋がりそうで繋がらないな」

『俺は魔族にも神にもすでになっていたのか?作者神はそれを知っている?なんのために転生をさせてきたんだ?』

謎は深まるばかりだった。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第92話 吾もまた紅なり


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