第87話 謎の存在
俺たちは不思議な男に会ってから、言葉数が減っていた。おそらく全員があの男のことを考えていたのだろう。
『俺たちを作った・・・どういう意味だ?』
その時俺はふと思った。
「そういえば、創造神はどうやって生まれたの?」
「私!?」
「他の神様は大体創造神が創ったんだよね?じゃあ創造神自身はどうなんだろうなって思ってさ」
「・・・わからない」
「わからないの?」
「うん・・・気がついたら何も無い真っ暗な空間にいたの」
『ということは、さっきの男は創造神を創った存在になるのかな』
だが、いくら考えても答えはわからなかった。
「まぁ、考えてもしゃあないしいっか」
俺の言葉で全員が考えるのをやめ、いつも通りに戻っていた。
「ははは!そうだね!じゃあ神様の紹介に戻ろうか!」
俺は太陽神の案内で建物に入る。そこは特に何があるわけでも無いが、落ち着いた空間となっていた。・・・が一つだけ雰囲気の違う物が置いてあった。鏡だ。
「この鏡・・・なんか雰囲気違うね」
俺は鏡を見つめる。俺が写ってる後ろでは俺の知らない神たちが動いていた。振り返るがその神たちはいない。
「?」
「ねぇ、この鏡って何?」
「それはゲートさ!中には鏡の世界が広がっているんだ!」
「鏡の世界が・・・」
俺は顔だけを鏡の中へ突っ込む。そこには休憩所と同じ空間が広がっていたが何かがおかしい。
神々の言葉が聞き取れない。
俺は顔を引っ込み聞いた。
「どうなってんの?」
「鏡の世界だと言っただろう!?全てが逆さ!」
「見える物、聴こえる音、全てが逆になるのさ」
「・・・なんか訳わからなくなりそう」
「だからそこには特殊な神様しか行かないんだ!ゲートもここにしか無いしね!」
「というかこんな物も創ったの?」
「面白そうでしょ!?」
「面白そうではあるけど・・・、創造神は行けるの?」
「行けるよ〜♪」
「まぁ創造神は特殊だもんなぁ・・・頭が」
「酷いこと言ってない?」
「いつものことにゃ」
「そうじゃのう」
「みんなひどい〜!」
鏡の世界・・・気にはなるが、言葉を聞き取ることすらできない俺は行くのをやめた。
「珍しいね!君が行くのをやめるなんて!」
「いや〜、言葉がわからないんじゃ行ってもね〜」
どうせ行くなら面白い方がいい。言葉が理解出来るようになってからまた来ようと俺は考えていた。
その時、後ろから案内神の声が聞こえた。
「おい、好奇神」
「あれ?案内神じゃん。どうしたの?」
「さっき管理神から"妙な気配を感じた"と聞いてな。様子を見に来た」
「妙な気配?」
俺たちはあのノイズの男のことだと分かった。
「あ〜さっき不思議な男に会ったよ」
「どんなやつだ?」
「俺にそっくりなんだけど、ノイズがかかってた」
「やはりそうか」
「何か知ってるの?」
「いや、なんでも無い」
「何か言っていたか?」
「"俺は作者神、俺たちを創った存在だ"って言ってた」
「!!・・・そうか」
それだけ言うと案内神は目の前から消えた。
「なんだったんだろう?」
「最後慌ててたね〜」
「案内神が慌てるなんて相当なことじゃない?」
「・・・探ってみる?」
俺の一言に全員が考えだす。そして創造神が口を開いた。
「私は私が生まれた時のことを知らない。でもあの男は知っている気がする。だから探るなら私も一緒に行く!」
「他のみんなは?」
「わしは遠慮する。気になる存在じゃが雰囲気が悍ましかった。下手に手を出して消されでもしたら嫌じゃからのう」
「私もやめておくよ。あの存在は異質だったからね」
「猫神様はどうする?」
「私はついて行くにゃ。お前の頭の上は居心地がいいからにゃ」
「そこなの?」
こうして謎の存在を追うためのチームが結成された。その後俺たちは三人は神界に戻り、案内神の元へ向かった。
神界某所ーー
「・・・という報告が上がってます」
「そうか・・・ご苦労だった。引き続き頼む」
「はい」
建物から案内神が出て来たところを捕まえる。
「はい!連行ー!」
「おい!お前らなんのつもりだ!」
俺たちは案内神を捕まえ、軽く拘束をして座らせた。
「さっきの話のことなんだけどさ、あれは何?」
「お前たちには関係のない事だ」
「そっか〜、破壊神でも連れてこようかなぁ・・・」
「お前・・・性格悪いぞ?」
「まぁ、あんな反応されちゃ気になるよねぇ」
案内神は諦めたのか、知っていることを話し始めた。
案内神の話をまとめるとこうなる。
数千年も前から追っている存在で実際に見たことがある神は何人かいるが映像には残らず、現れた時の映像にはノイズが走る。目の前に突然現れては消える。言葉を発したのは今回が初めてのことで案内神も驚いていた。いまだに何者なのかは分かっていない。
「う〜ん、ますます気になる存在だねぇ」
「他の神様の時はどういう姿だったの?」
「全てがノイズに覆われていたそうだ。今回のように容姿がわかったのは初めてのことだ」
「・・・もしかして俺関係してる?」
「それはわからん。お前に似ているということだけでは断定はできん」
「作者神と名乗っていたそうだが、神かどうかでさえわかってはいないのだ」
「私も知らない人だったよ」
「創造主様も知らないとなると、もっと上位の存在か、または次元の違う存在か」
案内神の話を聞いて、ますます謎が深まるばかりだった。
「そういえば、神魔新聞に作者神って名前が載ってなかった!?」
創造神が新聞と口にすると、怪猫神が何かを察したのか暴れ出した。
「嫌にゃー!もうあそこには行きたくないにゃー!」
「マスク作るから!」
「信用できないにゃー!」
「猫神様!魚を献上します!」
「それでも嫌にゃー!」
結局怪猫神は案内神と一緒に待つことになり、俺と創造神で新聞社に向かった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第88話 過去?
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