第86話 不思議な体験
飄雲神に逃げられた俺は少し落ち込んでいた。
「俺何もしてないんだけどなぁ・・・」
「ははは!彼女は昔からあんなもんさ!」
そこには太陽神がいた。
「あれ?太陽神じゃん!何してるの?」
「ここに来る理由は一つじゃないかい!?」
「そりゃそうだ」
「太陽神はここによく来るの?」
「そうだね!たまにサボりに・・・いや、休憩に来るよ!」
『今サボりって言ったにゃ』
「じゃあここの神様について詳しい?」
「全部がそうじゃないけどある程度は知ってるよ!」
「案内よろしく!」
「まぁそのくらいならいいかなぁ」
『案内役ゲットォ・・・』
俺たちは太陽神について歩く。その間にも休憩所にくる神、出ていく神がおり、全ての神が平等に使える場所なのだとわかる。
「今までどんな神に出会ったんだい?」
「伝説上の人物と霊獣と動物神と自然神かなぁ」
「じゃあこの神様は初めてだね!」
そう言うと太陽神は一人の神を紹介した。
「この神様は爆走神!バイクの神様さ!」
「・・・はい?」
その神の見た目は至る所からマフラーが生えており、常にアイドリングをしていた。
ブォン!ボボボボ!
「なんでバイクの神様が空にいるのさ!というかバイクの神様ってあり!?」
ブォォォォン!
「うるさいよ!」
ブォン・・・
「あっはははは!この神は創造神が神にしたのさ!」
「だと思ったよ!爆走神!バイクの姿になれる!?」
俺が聞くと黙ったままバイクの姿に変わった。
そのフォルムは某ライムグリーンがイメージカラーの車種だった。
「かっこいい!跨っていい!?」
ブォンッ!
表情は読み取れないが多分乗っていいのだろう。
「乗れるの?」
創造神が聞いて来た。
「若い時に乗ってたよ!さぁ走ろう!爆走神!」
そういうと爆走神は名前の通り爆走を始めた。
「ふぉー!気持ちいいー!」
爆走神は俺を乗せ、休憩所を飛び出し空を飛び始める。久しぶりにバイクに乗り、あの頃を思い出し少し涙がこぼれそうになった俺だった。
休憩所に戻ると、創造神が自分も乗りたいような顔をして待っていた。
「創造神は乗れるの?」
「乗れない♪」
「じゃあタンデムかぁ。爆走神、もうひとっ走りお願いできる?」
ブォン!
俺と創造神を乗せた爆走神はもう一度走り出した。
その後、休憩所に戻って来た俺たち。爆走神は人型に戻っていた。
「いかがでしたか?」
「・・・」
「お前喋れたんかい!」
「喋れますよ?神ですからね」
「最初から喋ってよ・・・」
「この方が面白いかと思いまして」
「しかしながら、好奇神様のバイク捌きはなかなかのものでしたよ」
「昔乗ってたからね。しかも似たような車種に」
「だからですか。いつもと違う姿になれたのは」
「普段は違うの?」
「いつもはネイキッド型になりますね」
俺と爆走神以外はなんの話か分かっていなかった。
「じゃあまたね。乗せてくれてありがと!」
「はい、またどこかで」
爆走神と別れ、次の神を紹介して貰うため太陽神について歩き始めた。
「次も変わった神様を紹介しようか!」
「できればまともな神がいいんだけど・・・」
「まぁまぁ、そう言わずに!」
そして太陽神に紹介された神は今までとは雰囲気が違った。他の神とは違い、全身真っ黒だ。
「・・・」
「太陽神・・・本当にこの人神様なの?」
「そうさ!この神は殞亡神。死を司る神様さ」
「死!?」
いきなりの"死"という言葉に驚きを隠せない俺。
「・・・死神?」
「そう!人間界で噂されている死神の正体が殞亡神さ!」
「そうだったのか」
「全然喋らないね」
「・・・」
「喋らないんじゃない、喋れないんだ」
「なんで?」
「殞亡神は死を司る。つまり命ある物全ての機能を停止させることができるんだ。そして言葉も同じさ。殞亡神が放った言葉は機能を停止して死に至る。だから喋れない」
「・・・マジか」
俺は深く関わるのはやめた方がいいと思い、軽く会釈をして殞亡神と別れた。
「あんな神様もいるんだね・・・」
その時、いきなり目の前に一人の男が現れた。その男は俺によく似た格好の神だった。しかし所々ノイズがかかっている。
「・・・俺?」
「よく似てるにゃ!」
「そっくり〜♪」
「双子じゃったか!?」
その神は一言も喋らない。
「私も知らない神様だ」
その時、その神様が口を開いた。
「俺は作者神。お前たちを作った存在だ」
一言だけ呟き、消えた。
「今の・・・なんだったんだ?」
「作者神なんて聞いたことないよ?」
「創造神でさえ知らない神様なんていたんだにゃ」
全員が『あれはなんだったんだ』と思っていた。
不思議な体験をした俺たちは誰も口を開くことなくただ歩き出した。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第87話 謎の存在
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