第81話 霊獣
山の神々との宴会は数日続き、様々な話を聞くことができた。人間界で語り継がれている伝承や伝説は長い年月をかけ人間たちによって改変されながら伝わっていた。
「神話って人間からしたら本当かどうかわかんないから魅力があるよね」
「あなたは神だからその気になれば全部知ることができますよ?」
「う〜ん、それはちょっと違う気がするんだよなぁ。確かに気にはなるけど、神話は神話のままでいてほしいというか・・・うまく言葉にできないけど全部知るのは違うと思う」
「そうですか」
八岐神は微笑みながら酒を呑んでいた。
「そういえば猫神様は元々野良猫から猫又になってから神になったんだよね?」
「そうだにゃ」
「猫神様以外にも妖怪出身の神っているの?」
「いると思うけど知らないにゃ」
「妖怪とは違いますけど私と同じ霊獣の神ならそこにいますよ?」
「え?まじ!?」
そういうと八岐神は一人の神を連れてきた。
「狼?響狼神とは違う神だね」
「彼女は霊牙神。人間界では大口真神と呼ばれています」
「よろしく〜♪」
随分とフランクな霊獣だった。
「とりあえずもふらせてもらってもいいかな?」
「いきなり女性にそんなこと頼むなんて君は破廉恥だな!」
「あ!ごめん!動物としてしか見てなかったからさ!」
「それもそれで失礼だな・・・」
「好奇神はいつもこんな感じにゃ」
「霊牙神は人間界ではどういう存在だったの?」
「そうだねぇ。人々を守ったり災いを追い払ったりしてたよ」
「お〜!いい神様じゃん!」
「・・・悪い神様っているのか?」
「さぁ?」
「・・・」
「それより人型の姿も見せて欲しいな〜」
「いいよ〜」
ボンッ!
そこには白髪で和モダンな神衣の神がいた。
「イメージ通り!かわいい!」
「猫神様!人型になって並んでみて!」
「え〜めんどくさいにゃ」
「お願いします!魚でどうか!」
ボンッ!
人型になった霊牙神と怪猫神が並んだ。
「ベストショットォォォ!ありがとうございますー!」
八岐神、霊牙神、怪猫神の三人は『なんだこいつ』と言った表情で見ていた。
「う〜ん、こうなると他の動物神の人型も見たくなるなぁ」
「霊獣を動物として扱うやつは君くらいだよ・・・」
「この宴会で他に動物神っている?」
「いるよ〜」
「どんな神様?」
「犬と狐と狸と猿と猪と鹿と鼠と・・・」
「待って待って!そんなにいるの?」
「まだまだいるよ?」
『全部見て見たいけど、他にも見に行きたいからなぁ』
「狐の神様って反狐神とは違う神様?」
「そうだよ〜。反狐神は創造主様が面白がって神にしたけど、ここにいる狐は霊獣だよ」
「・・・もしかして九尾の狐?」
「よくわかったね!」
「でも九尾の狐って妖怪じゃないの!?」
「人間の解釈では妖怪かもしれないけど神の解釈では霊獣だよ」
「そうだったんだ〜、呼んでもらってもいい?」
「いいけどあの子は難しい性格の子だからなぁ・・・」
「さっきみたいにもふろうとしたら一発アウトだよ?」
「マジか・・・」
「お前、やろうとしたにゃ?」
「九尾の狐の尻尾って絶対気持ちいいじゃん?」
「わかるわ〜」
霊牙神から肯定をもらえた。
「でも初対面でそれはやめときな?」
「わかった!」
「ちょっと待ってて」
霊牙神が狐の神様を連れて来てくれた。
「彼女が狐の神"金毛神"だよ」
その見た目は・・・九尾の狐だった。
「誰?こいつ」
「彼は好奇神だよ!最近神になったんだってさ」
「ふーん、で?なんの用なの」
『うわ〜、俺の苦手なタイプだ〜』
「えっと初めまして、好奇神です」
「どうも、それだけ?じゃあ私戻るわね」
「あ、はい・・・」
金毛神は宴会の席に戻っていった。
「超塩対応された!」
「最初はあんなもんだよ」
「なんでそんなに嬉しそうだにゃ?」
「絶対に尻尾もふらせてもらえるまで仲良くなる!」
『変わった神だ』
「金毛神って何か好きなものとかあるの?」
「魚にゃ」
「それは猫神様でしょ」
「どうだろうね。私もそんなに仲良くないからわからないなぁ」
「そっかぁ・・・、色々試してみるかなぁ」
俺と金毛神の長い戦いが始まったのだった。
「とりあえず今回は顔合わせだけにしておこう。最初からずけずけ行くと嫌われるからね」
「ははは!まぁ頑張ってみな!」
「反狐神なら何か知ってるかな?」
「同じ狐だから知ってるかもにゃ」
「帰ったら話を聞きに行こう」
「めんどくさいから斡旋はしないにゃ」
「魚・・・」
「任せるにゃ!」
「さすが猫神様!」
その後宴会も終わりお開きになった頃、創造神が近寄って来た。
「そういえばなんでここにいるの〜?」
「案内神に勉強してこいって言われたから人間界に来たんだよ。酒臭いな〜」
「呑んでないよ〜」
「酔っ払ってんな〜、冥王は?」
「あそこ〜」
創造神が指を指した方を見ると、金毛神の尻尾の中で気持ちよさそうに寝ている冥王がいた。
「ーー!!」
言葉にできな叫びが宴会場に響く。
「先を越されたにゃ」
「何がどうなってそうなったんだ!?」
「落ち着くにゃ」
「とととりあえず、めっめめ冥王を連れてこないととと!」
「だから落ち着くにゃ」
俺は金毛神に近づく。
「あの〜そのちっこいの連れなんで、引き取ってもよろしいですか?」
「ああ、そうなの」
金毛神は尻尾で冥王を持ち上げ、俺の方へ差し出して来た。
『触ったらダメだ、触ったらダメだ、触ったらダメだ、触ったらダメだ・・・』
「ありがとうございます」
金毛神は何も言わずに去って行った。
「・・・わからんなぁ」
冥王を連れて山から出た俺たちは、なぜか創造神も加わり次の神の元へ向かったのだった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第82話 神々の集う場所
感想・誤字報告などいただけると励みになります!




