第78話 冥王の置き土産
スノーゴーレムに乗り、ラッセル車の如く雪を掻き分けて滑走する四人。
目の前には何も知らずに滑っている店主がいた。
「店主さん!うしろー!」
俺の声に気付き、後ろを見る店主。
「なんじゃありゃあ!」
必死になって逃げる店主だが、あっけなく轢かれ吹き飛ばされた。
「うわぁぁぁ!」
「月神ー!」
俺の掛け声で即座に助けに向かう月神。
『どうやってこれを止める?勢いは止まらないし上に乗ってるバカ三人は言っても聞かないし、亡鎧は冥王の下だから論外だ・・・』
考えていると突然辺りが吹雪始め、一人の女性が現れた。
「何をしていますの?」
「誰ですか!?今ちょっと取り込み中なんです!」
「私は雪神ですわ。・・・なんですかアレは!?」
雪神はスノーゴーレムに気付き、口を開けたまま固まっていた。
「雪神!?実はかくかくしかじかで・・・」
「わかりました。私がなんとかしますわ」
雪神はスッと消え、スノーゴーレムの前に立ち塞がった。
そして手を伸ばすとスノーゴーレムは溶けていく。
「おぉぉぉぉ・・・」
乗っていた四人は慣性の法則によりそのまま吹き飛ばされていた。
創造神は吹き飛び、太陽神は綺麗に着地し滑り、冥王は亡鎧の上に着地し滑り降りていた。
「助かりました〜!」
「礼には及びませんわ」
その後店主を助けに行った月神も戻り、全員で主犯格を取り囲んでいた。
「楽しいのは良いけど限度ってもんがあるよ!?」
「・・・」
四人は俯き、黙っている。
「雪神さんが来てくれたから良かったけど、もし人間を巻き込んでいたらどうするの!」
「まぁまぁ」
影宰が興奮している俺を必死になって止めていた。
「あのね、俺は楽しいことは好きだし面白いことも好きだ。だから今回の人間界ツアーの企画もしたんだよ?」
「でも巻き込んでないよ!?」
「そういう問題じゃないの!周りの人間や仲間たちを危険に晒すならもう企画しないし、もう帰るよ!?」
「それは嫌じゃ!人間界に来れないのも嫌じゃ!」
冥王が必死になって駄々を捏ねる。
「はぁ・・・みんなに何か言うことは?」
「ごめんなさい・・・」
四人が全員謝った。
「雪神さんも助けてくれてありがとうね?」
「気にしなくて大丈夫ですわ。それより、あなたは誰ですの?」
「・・・は?」
「見たことのない方ですが、創造神たちといると言うことはあなたも神ですの?」
「あ〜はい、好奇神と言います。最近神になりました」
「そうでしたの。私はここ最近、ずっと人間界で雪の管理をしていたので知りませんでしたわ」
「そうでしたか・・・」
『まだまだ知らない神がいるんだなぁ。というか人間界にはどれぐらい神がいるんだろうか』
そんなことを考えていると、影宰が話しかけてきた。
「好奇神様、この方達はいつまで正座させるのですか?」
「今日帰るまでずっとだよ?」
「そうですか」
四人は不満そうな声をあげていたが、俺が睨むと黙り、俯いた。
「流石にずっとは可哀想にゃ」
「そうだな、せっかくみんなで来てるんだ。許してやろうではないか」
怪猫神や魔王に言われ考えた俺は
「二度と周りの人間や仲間たちに危険を及ぼすようなことはしないって誓える?」
「「はい!」」
四人が真剣な表情で返事をした。
「はぁ・・・わかったよ」
俺の許しを得て、表情が明るくなる四人だった。
雪神は仕事があるとかで去っていき、俺たちはウィンタースポーツを再開した。
「・・・何かあったのか?」
「そういや影刃はどこにいたのさ?」
「・・・滑っていた」
「そうですか〜・・・」
『この人も相変わらずだなぁ』
「さて!トラブルもあったけど滑りますか〜!」
その後は主犯格も真面目に滑り、何事も起きず平和に滑ることができた。
そして夕方になり帰り支度をしている間、創造神と冥王は大きな雪だるまとスノーゴーレムを作っていた。
「また作ってんの!?」
「大丈夫じゃ!命を吹き込んではおらぬ!」
雪だるまとスノーゴーレムを見ると動く気配は無かった。
「なら良いけど・・・」
創造神と冥王も帰り支度をし、全員で神界へと帰ったのだった。
ズズズッ!
「オォォォオォォォ」
俺たちが帰ったあと、その山は"神々の遊び場"として有名になり、来場者が増加していったという。
そしてホテルも、"神々が泊まったホテル"として来客数が増え、支配人が嬉しい悲鳴をあげているとか・・・。
創造神と冥王が作った二体の雪像は、ゲレンデの名物となり今日も来場者を賑わせているらしい。
「冥王!なんか動いてるらしいんだけど!?」
「やばっ!バレたのじゃ!逃げるぞ!亡鎧!」
「はい!」
こうして俺たちの旅行は幕を閉じた。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第79話 海神
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