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第67話 冬の人間界

人間界ーー

シュッ!

俺たちは人間界へ到着した。季節は冬。辺りは銀世界が広がり、雪の降り積もった少し人里離れた人間界だった。

「ここが人間界かぁぁぁぁ!」

いつか来たかった人間界にようやく来れた冥王はテンション爆上げで走り回っている。亡鎧も初めての人間界に少しテンションが上がっていた。

「今はこうなってるにゃあ」

昔、生きていた頃と比べながら、怪猫神は周囲を見渡していた。

「昔はどんなだったの?」

「畑と田んぼしか無かったにゃ」

『相当な年上じゃん!』

「今回は少し冷えるな!」

店主は体を擦りながら震えていた。

「冬だからねぇ、寒いのは当たり前だよ〜」

「猫神様は大丈夫?」

「毛皮着てるから大丈夫にゃ」

「・・・その毛皮脱げるの?」

「何バカなこと言ってるにゃ?」

「・・・ごめんなさい」

怪猫神に弄ばれている俺の後ろで楽しげな声が聞こえて来た。

「きゃ〜♪つめた〜い♪」

「ははは!創造神!どんどん行くぞ〜!」

雪合戦が始まっていた。

「何俺を抜いて楽しそうなことしてるんだ〜!」

俺は雪玉を作り、創造神たちに向かって思いっきり投げた。

バシュッ!

魔王の顔面に命中。

「魔王さんごめ〜ん♪」

「貴様、覚悟はできておるな?」

「・・・え?」

魔王が雪を丸め、こちらへ向かって投げ始める。

その瞬間、俺の腹部に衝撃が走り、吹き飛ばされる。

「うぼぁっ!」

「うむ、鈍ってはおらんな」

「魔王様、次の弾です」

影宰と影刃が大量に雪玉を作っていた。

「よし」

「よしじゃねぇ!雪合戦の球速じゃねぇよ!」

「貴様から始めたのであろう?」

魔王は冷ややかに見下していた。

「ごめんって!魔王さんに当てるつもりはなかったんだ!」

言い終わった瞬間、顔に衝撃が走りまたしても吹き飛ばされる。

「もうよせ魔王よ。あいつが居なきゃツアーが始まらんじゃろ」

冥王が魔王を止めてくれたおかげで、俺は生き延びることができた。

「すまんな、少しムキになった」

魔王は吹き飛んだ俺に向かい、手を差し伸べて来た。

「ほんとごめんよ〜」

後で聞いた話だが、この時の俺の顔は少し変形していたらしい。

「この雪玉はどうします?」

影宰が大量の雪玉を見ていた。

「雪合戦続行〜♪」

「頼むから普通の球速でお願い!」

その後、作った雪玉がなくなるまで雪合戦は続いた。みんなで楽しむ中、破壊神は亡鎧の影に隠れ、月神は心を読み全ての玉を避け、店主はなぜかフライパンで打ち返していた。結果、被害者は俺だけで済んだのだった。

「なんで企画者が早々に怪我するのさ・・・」

「お前が魔王に当てたのが悪いにゃ」

「・・・そりゃごもっとも」

冥王が待ちきれなくなったのか声を荒げていた。

「早く人間界を案内するのじゃ!」

「はいは〜い。じゃあみんな行くよ〜。

俺たちはようやく最初の目的地へ向かったのだった。

目的地へ向かっている間冥王は、はしゃぎながら走り回り、その後ろを亡鎧が追いかけるという少し間違えたら警察沙汰のような光景を目にしながら、俺は魔王と話していた。

「魔王さんに聞きたいことがあるんだけど」

「なんだ?」

「冥界の更生を協力してるって聞いたけど、どんなことさせてるの?」

「うむ、区画整理の工事員や生態調査が主な仕事だな」

「もしかして遊園地の建設の時もいたの?」

「ああ、お前も見たことがあると思うが?」

「いたっけ?」

俺は創造神と怪猫神に話を振った。

「見てないよ〜」

「見てないにゃ」

「そうか、しかしなぜそんな事を聞く」

「いやね、その更生に俺も協力したいなって思ってさ」

「お前がか?どうするんだ?」

「まだ更生の仕組みを知らないからなんとも言えないからそこまで深く考えてないんだ」

「・・・今晩、冥王と話してみるか」

「よろしくね」

「うむ」

そして俺たちは目的地へ到着した。

動物園ーー

そこは人間界で屈指の広さを誇る動物園。陸•海•空様々の動物が見れる動物園で人間界からも人気の娯楽施設になっている場所だ。

「おぉ・・・おぉ・・・」

すでに亡鎧が泣き始めた。

「亡鎧早すぎるにゃ」

「申し訳ありません・・・」

「よかったのぉ亡鎧」

「・・・はい!」

俺は入場券を人数分購入しようとした時、スタッフから注意を受けた。

「申し訳ありません、動物の入場はお断りさせていただいております」

「にゃ!?」

俺は入場券を買うのをやめ、一旦みんなの元へ戻った。

「どうする猫神様?」

「仕方ないにゃ」

怪猫神は頭から降り、亡鎧の後ろへ隠れた。

ボンッ!

現れたのはくすみグレーの超オーバーサイズパーカーに白Tシャツ、黒のワイドパンツ、大きめスニーカーを着た怪猫神だった。

「これでいいにゃ」

「おぉ〜、気怠さがある感じでいかにも猫っぽいね」

「ダボダボの方が楽にゃ」

無事に入場券を買えた俺たちは動物園の中へ入って行った。

園の中は人々で溢れかえり、解き放たれた小型の鳥たちが飛び交い、賑わっていた。

「鳥さん・・・」

亡鎧は感動で顔がくしゃくしゃ、怪猫神は鳥を必死に追いかけ、店主は魔王と影刃に挟まれていた。

「魔王様、影刃さん。なんでまた俺は挟まれているんですかね?」

「貴様はまた料理で暴走するだろう」

「・・・」

前科があった店主は何も言えなかった。

「みんな行くよ〜」

俺たちは陸の動物エリアに向かった。

そこには犬や猫をはじめ、ライオンやトラ、キリンやゾウなどの大型の動物までいる。

俺と創造神、月神はライオンを見ていた。

「ライオンかっこいい〜♪」

「・・・お腹空いたって思ってるみたいね」

「月神って動物の心も読めるの!?」

「読めるわよ?」

「すげぇ〜」

あっちでは亡鎧と怪猫神、影刃がゴリラを見ている。

「あそこにも亡鎧がいるにゃ」

「違いますよ、面白いことを言う猫ちゃんですね♪」

「・・・」

影刃は黙ってゴリラを見つめていた。

『筋肉のつき方が素晴らしい』

そして突然、亡鎧がボディビルダーのようなポーズをし始める。それを真似てゴリラも同じポーズをし始める。いきなりボディビルコンテストが始まった。周りからは拍手が上がり、盛り上がっていた。

「何やってるにゃ・・・」

「ついやってしまいました」

「それにしてもゴリラは頭がいいですね〜」

泣きながらボディビルダーのポーズをしている亡鎧であった。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第68話 みんな個性的


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