第63話 冥界と冥王
昇格式典の後、上位神になった俺はいつも通りの生活を送っていた。
「そういえば、お前仕事はしてるにゃ?」
すっかり頭の上が定位置になった怪猫神。
「してないよ?」
「せっかく上位神になったんだから仕事くらいするにゃ」
「や〜、そもそも俺は勝手に神にされただけだしなぁ」
そこへ元凶が現れた。
「いた♪ちょっと手伝って!」
創造神がなにやら慌てているようだ。
「そんなに慌ててどうしたん?」
「とある神が仕事したくないって居なくなっちゃった!一緒に探して欲しいの!」
「いつものあのシュッ!で行けないの?」
「あの子はちょっと特別でそれが出来ないの!」
『そういう神もいるのかぁ』そう思いながら俺は創造神に聞いた。
「その子はどんな神様なの?」
「・・・破壊神」
「・・・破壊神!?」
「あ〜、確かにあの子は特別・・・というか難しい子にゃ」
「お願い!一緒に探して!」
「わかったわかった、俺も会ったことないし特別が気になるから手伝うよ」
俺たちは創造神により破壊神探しに巻き込まれた。
神界各所を回るが誰に聞いてもわからないと答える。新聞社に行って話を聞こうとすると怪猫神が騒ぎ出した。
「嫌にゃぁぁ!」
「そこをなんとか!破壊神を見てみたいんだ!」
「もう気絶したくないにゃぁぁぁ!」
創造神は猫用のガスマスクを創り出し、怪猫神に装着した。
「これで大丈夫だよ♪」
「本当かにゃ!?」
「式典で創ったフィルターと同じだから安心して♪」
怪猫神を説得し、俺たちは新聞社に入り編集長である臭撃神に話を聞きに行った。
社内編集長室ーー
「見てませんね」
編集長室は華やかな香水の香りがする部屋で、三人とも安心していた。
「どこに行ったとか知らない?」
創造神は臭撃神に破壊神の所在について質問をしていた。
「わかりません・・・もしかしたら冥界に居るのかもしれませんね」
「冥界!?」
俺は以前聞いたことがある冥界に興味を持っていかれた。
「わかった!ちょっと行ってみるね!」
その時、華やかな香りが一変してとてつもない異臭が辺りを包み込んだ。
「くっさ!ありがとうございました〜!」
シュッ!
俺たちは新聞社から即座に退散。
「猫神様!大丈夫?」
頭の上の猫神様が気絶していた。
「猫神様ぁぁぁ!」
「初めて創ったからちゃんと機能しなかったみたい♪ごめんね♪」
どうやら創造神の創ったガスマスクは欠陥品だったようだ。
新聞社の前で騒いでいると案内神がやってきた。
「なにをしている」
「案内神!猫神様が!」
「・・・いつものことだな」
「そんにゃこと・・・いうにゃ・・・」
「破壊神を探してるの!」
「破壊神?やつなら冥界に居ると思うが・・・」
「わかった〜!」
シュッ!
創造神は俺の手を掴み、冥界へ移動した。
冥界ーー
そこは俺がイメージしていた薄暗い雰囲気と違い明るく、活発な世界。建物が建ち並び、人間界の様な場所だった。
「ここが・・・冥界?」
「そうだよ♪」
「イメージと全然違うしなんか人間界っぽいなぁ」
「冥王は人間界が好きだからね♪それに似せて作ったんだって〜」
「その冥王は人間界に行ったことあるの?」
「ないよ〜♪私が何回か世界管理庫で見せたことがあるの♪」
その時俺は『冥王を人間界に連れて行ったら面白そうだな』と考えていた。
「また変なことを考えてるにゃ?」
「猫神様!目を覚ましたんだ!」
「もう創造神を信用しないにゃ」
「そんなこと言わないでよ〜♪」
「変なことじゃなくて面白いこと考えてるよ」
「気になるけどまずは破壊神を探さなきゃ!」
「そんなに大事な用があるの?」
「うん!」
創造神の真面目な顔を見て、只事では無いとわかり破壊神探しに協力することにした。
「まずは冥王のところに行くよ!」
そのまま、俺たちは冥王のところへ行くことになった。
冥王の間ーー
シュッ!
俺たちはいきなり冥王の前に現れた。
「おわっ!なんじゃお前ら!急に現れたらビックリするじゃないか!」
「あれが・・・冥王?」
「アレとは失礼な小僧じゃのう。こう見えても貴様よりは長く生きておるわ」
冥王の見た目は完全に小学生だった。しかも人間界の女の子の服を着ていた。
「冥王、ひさしぶり〜♪」
「おお!創造神か!ひさしぶりじゃのう」
「・・・」
「どうしたの?」
俺のイメージと全くの逆だったため固まっていた。
『あれが冥王?イメージと全然違うな。もっと威厳のある王だと思ってたんだが・・・というかかわいいな』
「イメージと違って固まったにゃ」
「ははは!冥王と聞いてもっと威厳のある王を想像しておったのじゃろう」
「正解!というか服が似合いすぎでしょ!」
「ほう!お主はこの服の良さがわかるのか!?」
「わかるもなにも俺元々人間だし・・・」
「なに!人間じゃと!?詳しく聞かせるのじゃ!」
俺は冥王に言われ、人間界のことを教えた。
「なるほどのう、人間界にますます行きたくなったわ!」
「必要なら手配しようか?」
「出来るのか!?頼む!人間界に行ってみたいのじゃ!」
俺は心の中でガッツポーズをした。
「それより、破壊神知らない?」
創造神が本来の目的である破壊神について聞いた。
「破壊神ならそこにおるぞ」
冥王が指を差した方を見ると、冥王の椅子の陰に小さく丸くなっている破壊神がいた。
「そこにいたんかい!」
俺たちの声が見事に重なった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第64話 ひ弱な神とマッチョメン
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