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第60話 許し

俺は怪猫神に担がれながら、最後のアトラクションである観覧車の建設地へ向かっていた。

「いい加減自分で歩くにゃ!」

「無理だよ〜、普通の人間がいきなり音速を経験したらこうなるって〜」

「お前はもう神にゃ!」

怪猫神は俺を降ろし、歩いて行った。

「待って〜」

「私が連れて行くよ♪」

「ありがと〜・・・」

創造神は俺に首輪とリードを付け、歩き始めた。

「創造神や、何か違うところはないかい?」

「ん〜?なにもないよ?」

「・・・間違いだらけだわい!俺は犬か!」

俺は勢いよく立ち上がり、創造神に詰め寄る。

「わ〜立てたね〜♪」

「・・・本当だ」

「じゃあ行くよ〜♪」

そのままリードで引っ張られる俺だった。

観覧車前まできた俺たち。すでに骨組みが完成しており、ゴンドラのデザインについて悩んでいるようだった。

「ゴンドラのデザインをどうしようかと思ってまして」

「私が・・・」

創造神が言いかけたところで、俺は自分に繋がれているリードを引っ張った。

「ちょっと待って」

俺は創造神に耳打ちをした。

「・・・わぁ!それいいね♪」

創造神は両手を広げ、ゴンドラを作り出して行く。それは魔王たちと乗ったあの時のゴンドラだった。

「これはあの時のゴンドラですね」

「魔王さんと創造神が話し合ったゴンドラの方が思い出もあっていいかなって」

「それに、人間界らしさがあった方が魔族たちも喜ぶと思ってさ」

「なにも知らない魔族からしたら、珍しいものですからね」

「懐かしいね♪」

創造神は優しくゴンドラを撫でていた。

校長先生は即決で採用したようだ。

「これで一通りは終わりですかね。ご協力ありがとうございました」

「みんなが喜ぶといいね♪」

「完成を楽しみにしてるね」

俺たちは遊園地予定地を後にして、街へ向かった。

街を歩いていると、周りの魔族たちが騒ぎ出していた。

『アレが創造神?』『好奇神様、なんで格好を・・・』といった声が聞こえてきた。

「やっぱりまだ嫌われてるね・・・」

創造神は寂しそうに笑っていた。

「いや、半分は俺の状況だと思うよ・・・」

創造神にリードで引かれ、頭に猫を乗せ、フリフリのドレスを着た男が歩いていれば当たり前だ。

魔族たちが話しかけて来た。

「好奇神様、その格好は趣味ですか?」

「違う違う!創造神のいたずらだよ」

『違うらしいぞ』『創造神の趣味か』

そこへ入口で助けた夫婦と子供がやってきた。

「創造神様!先ほどは助けていただきありがとうございました」

「どういたしまして〜♪」

「お姉ちゃんに作ってもらった人形ね、他の子たちも欲しいって言ってるんだけど、また作ってもらえる?」

「いいよ〜♪」

創造神は同じ魔王人形を何個も作っていた。

「みんな持って行ってね〜♪」

周りにいた子供たちが集まり、魔王人形を手にした。

「ありがとう!お姉ちゃん!」

その様子を見た大人たちは驚いていた。

『聞いていた話と違うぞ?』「創造神は実はいいやつか?』

その時、一人の男が創造神に話しかけた。

「あの、家の壁が壊れているので直していただけませんか?」

「任せて〜♪」

創造神は家の前に行き、壁を真面目に直した。

「ありがとうございます!創造神様!」

「いいえ〜♪」

そのことがきっかけで、魔族たちは創造神に"アレを直して欲しい"、"これを作って欲しい"とお願いし始めた。

創造神は笑顔で魔族たちのお願いを受け入れていた。

創造神の顔には先ほどのような寂しい顔はなかった。

「よくやるにゃあ」

「アレが創造神の本質だよ。理由は面白いって事かもしれないけど、本来は困ってる人をほっとけないんだ」

「そうだにゃあ・・・」

怪猫神は創造神に神にされた時のことを思い出していた。

「まぁ、俺の場合は本当に面白そうだからだと思うけどね・・・」

「お前はもう諦めろにゃ」

いつのまにか魔族たちと打ち解けた創造神は今日一番の笑顔を見せていた。

そして、こちらを指差し魔族たちとクスクス笑う創造神を見た俺は、静かに怒り出していた。

「あのヤロウ・・・」

「落ち着けにゃ」

ここで怒ったら台無しになると思い、静かな怒りを怪猫神のお腹で鎮めた俺だった。

「なにするにゃ〜!」

暴れる怪猫神に引っ掻かれながらも猫吸いをやめない俺に、誰かが後ろから声をかけてきた。

「・・・おい」

振り返るとそこには影刃が立っていた。

「あれ?影刃?」

「・・・魔王様がお呼びだ」

「魔王さん?なんだろう」

俺は創造神に声をかけ、影刃について歩いた。

「なになに〜?」

「魔王さんが呼んでるって。なんだろうね?」

「わかんない♪」

そして城につき、魔王のいる部屋へ案内された。

「来たか」

魔王は玉座に座っていた。

「来たよ〜、なにかあったの?」

「何かあったのはお前の方ではないか?」

「・・・もう諦めてる」

「・・・そうか」

魔王も察したのか、それ以上はなにも言わなかった。

「早速だが、家族たちからの報告があってな」

「創造神よ、我が家族たちに手厚い奉仕、感謝する」

「私がやりたかっただけだからお礼なんていいよ〜」

「子供たちも喜んでおった。今の魔界で創造神を嫌う者もいないだろう」

「・・・」

創造神は真剣な表情で魔王の話を聞いていた。

「我としては、創造神を許し、魔界と神界の交友を深めたいと考えているのだが、どうだ」

その言葉を聞いた瞬間、口に手を抑え膝から崩れる創造神。その眼には涙があった。

「やっと・・・やっと許してもらえた・・・」

「私も・・・交友を深めたい!」

「今までごめんなさい」

創造神は号泣し、怪猫神も貰い泣きをしていた。

周りからは拍手が上がり、魔王が創造神に歩み寄る。

「これからはそれぞれの長として、よろしく頼む」

魔王は泣いている創造神に手を差し伸べた。

「よろしく・・・お願いします」

創造神は魔王の手を取り立ち上がった。

俺はようやく一区切りついたと安心した。

「よし!お祝いしよう!」

「お祝い?」

創造神が泣きじゃくった顔で振り向いた。

「そう!お祝い!魔界と神界がようやく繋がったんだ!盛大にしようよ!」

「・・・そうだね♪」

創造神は泣きながらも笑い、魔王も笑っていた。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第61話 和解


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