第59話 満身創痍
次とアトラクションに行く前に、びしょ濡れになった服を乾かすために、火の前にいる俺たち。
怪猫神は頭の上でぐったりしていた。
「大丈夫?猫神様」
「二度と実験体にはならないにゃ・・・」
「怪猫神様のおかげで、いいデータが取れましたよ」
「楽しかったね〜♪」
なんて話しながら、乾かしていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「おう!飯持って来たぞ!」
店主だった。
「なんだぁ!?お前らもここにいたのか!」
「店主さん、さっきぶり〜」
「お前・・・そういう趣味なのか?」
「違うから!創造神に着せられただけだから!」
「えへへ♪」
「へぇ〜、それよりなんでみんな濡れてんだ?」
「それだけ!?」
「皆さんが協力してくれた代償ですかね」
「まぁいいや!これ差し入れだ!みんなで食ってくれ!」
「ありがとうございます、店主さん」
「んにゃ!魚よこすにゃ!」
「お前は魚しか頭に無いのか?」
「うまいにゃ♪」
「まぁいいけどよ・・・」
「んじゃあ俺は戻るわ!また後でな!」
店主は差し入れを置いて帰って行った。
「店主さんは、こういった工事や区画整理のたびに差し入れを持って来てくださるのですよ」
「店主さんいい人〜♪」
「店主さんの料理は美味しいからね〜」
「ええ、なのでみんなが仕事に身が入っているようです」
服が乾いた俺たちは、ゴーカートへ向かおうとしていた。
「ゴーカートは影宰殿と影刃殿が進めているので大丈夫ですよ」
「その二人なら安心かぁ」
「ぶっちぎりだったもんね♪」
創造神の"ぶっちぎり"は理由になってなかったが、あの二人なら大丈夫だろうと俺は思った。
そして、遊園地の目玉であるジェットコースターへ向かった。
「ジェットコースターはこの遊園地の目玉アトラクションになります。なので他とは違うようなものを作りたいのですが・・・」
予定地はまだ更地のままだった。
「いい案が出てこなくて、手をつけてないのです」
「任せて〜♪」
また創造神が勝手に創り始めた。
ゴゴゴゴッ!と音を立てながら、骨組みが組み立っていく。高さは優に1kmを越え、そこからレールが伸びてゆく。ほぼ急降下の落下に加え、三回転ループ、さらにはスクリュー構造のレールが300mを超え、終着へとレールが続いている。
「・・・創造神?」
「ふぅ〜出来た〜♪」
「これは・・・凄いですね」
校長先生はコースを見て、速度を計算していた。
「・・・好奇神様、とりあえず試運転に乗ってください」
「・・・え?」
「実際に動いているところも見たいので」
「・・・俺?」
「早く行きなよ〜♪」
「覚悟を決めるにゃ♪」
強制的に乗せられた俺は『もう諦めるしかない』と悟った。
そして、魔界ジェットコースターが始まる。
マシンが動き出し、コースを登っていく。
「ところで、どれだけの速度が出るにゃ?」
「・・・音速を超えますね」
「!!」
二人は音速という言葉に驚き、俺に向かって手を合わせていた。
落下の瞬間、人生どころか神になってからの記憶までも走馬灯のように頭の中を駆け巡り、気付けばゴールへ到着していた。
「大丈夫!?」
「生きてるかにゃ!」
「・・・なにが起きたの?」
俺は走馬灯のおかげで、走行中の記憶がなかった。
「落下してる途中で音速を超えて、轟音を轟かせながら一瞬でゴールしてたにゃ・・・」
「・・・創造神、流石にこれはやめよ?」
「うん・・・そうだね」
俺を見た創造神は、流石にやばいと思ったのか校長先生と相談し、調整をしていた。
「・・・猫神様、お願いがあります」
「どうしたにゃ?」
「・・・足が動きません」
「引っ張り上げてください・・・」
「・・・よく頑張ったにゃ」
怪猫神は俺を引っ張り出し、かついで運び出した。
コースは高さが少し低くなり、子供たちも乗れるよう、調整されていた。
「これで大丈夫そうですね」
「好奇神・・・もう一回乗る?」
「この状態の俺によく言えるね・・・」
情けなく怪猫神に担がれている俺を見た創造神。
「だよね〜・・・」
俺はしばらく動けそうになかった。
「じゃあ猫神様。連れて行ってくれる?」
「お前!乗る気にゃ!?」
「まぁ気になるからねぇ」
「・・・呆れた男にゃ」
怪猫神が俺を座席乗せ、隣には創造神も乗ってきた。
「私も気になったから乗る♪」
それに釣られ、ため息をつきながら怪猫神も乗り始めた。
「しょうがないにゃあ」
「では、私も」
校長先生も乗り始め、魔族のスタッフがスタートボタンを押し、マシンが動き始めた。
「みんなも気になってんじゃん・・・」
先程の音速よりは遅くなり、快適に乗れるマシンとなっていた。あくまでも魔界基準だが。
「これくらいなら大丈夫ですかね」
「楽しかった〜♪」
「自分で走った方が速いにゃ♪」
三人は何事もなかったかのように降りる。
「猫神様〜、担いで〜」
「・・・弱すぎるにゃ」
「元々人間だよぉ?二人のようなハイスペックと比べちゃいけないの」
「・・・あなたも大概ですけどね」
校長先生は呆れながら笑っていた。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第60話 許し
感想・誤字報告などいただけると励みになります!




