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第56話 魔王の大切なもの?

魔海竜にお礼をたくさんもらって店主は大喜び。怪猫神は早速魚を食べていた。

「うまいにゃ〜♪」

「魔海竜に感謝だね」

「それはそうと好奇神」

怪猫神が食べるのをやめ、俺に話しかけて来た。

「なに〜?」

「さっきの人間界の魚の話だけど」

「大丈夫!ちゃんと盛り合わせを作ってくるよ♪」

「いや、さっきの条件は"人間界の魚を私が満足するまで毎日盛り合わせで持ってくる"にゃ」

「・・・はい?」

「よろしくにゃ〜♪」

「ちょっと待って!そんなの聞いてないよ!?」

「最後まで聞かなかった好奇神が悪いにゃ♪」

「そんな〜」

俺は怪猫神ととんでもない約束をしてしまった。

「あっはっは!お前にも弱点があったんだな!」

「約束は守らないとね〜♪」

俺の味方はいなかった。

「さて!魚も手に入ったし、俺は帰るわ!」

「また後で店に寄るね♪」

「おう!」

店主は笑顔で挨拶をして帰って行った。

「次はどこに行く!?」

「そうだなぁ」

俺はしばらく考えていた。

『山は多分、影刃が素振りしてるだろうし、森は創造神が迷子になりそうだし、町外れは区画整備で魔王がいるかもしれないし・・・』

「創造神・・・影刃と迷子と魔王さん、どれがいい?」

「え、なにその3択・・・」

「・・・考えた結果かな?」

創造神が困った顔をしていた。

「えっと・・・迷子?」

「森かぁ!わかった!」

「ちゃんと場所で言ってよぉ!」

創造神にポコポコ叩かれながら歩き出す二人だった。

魔界の森ーー

海から森へと歩いて来た俺は、なぜか疲れていた。

途中、創造神が『面白そう♪』と言って川へ飛び込んだり、怪猫神が虫を見つけてはバシュン!を繰り返していたからだ。

「なんで疲れてるの〜?」

「好奇神は体力が無いにゃ」

「・・・なんでだろうねぇ!」

「あははは♪」

「にゃは♪」

俺は二人に振り回されていた。

辺りは木々が生い茂り、植物が群生し、魔界の昆虫や動物が所々見られた。

その時俺は思い出していた。

『しまった!また店主さんに聞くのを忘れていた!』

「見たことのない物ばっかりだぁ♪」

創造神は目を輝かせてあっちを見たり、こっちを見たりと忙しそうだ。

「んにゃ!」

頭の上で狩りの予備動作をして止める怪猫神。

「・・・猫神様?たびたび頭に爪が刺さるのですが」

「にゃ?」

「・・・はい」

怪猫神の圧がすごくてなにも言えなかった。

「この植物って食虫植物だよね?おっきいね〜」

創造神が食虫植物の前に立ち、振り向きながら口を開く。

その時。

バクン!

食虫植物が創造神を食べた。

「創造神!」

俺は急いで創造神の元へ向かい、食虫植物の口を開こうとする。

だが、なかなか開かない。食虫植物は顔をしかめるように葉を震わせると、創造神を勢いよく吐き出した。

「ペッ!」

「わ〜!あははは♪」

森の奥へと飛んでいく創造神を見る。

「いいな〜!・・・じゃなくて!」

「あんたらの頭はどうなってるにゃ・・・」

「探しに行かなきゃ!」

俺と怪猫神は飛ばされた方向へ走った。

怪猫神の鼻を頼りに、森の奥へと走って来たがなかなか見つからない。

「お〜い」

小さな声がどこからか聞こえている。

「お〜い!ここだよ〜♪」

上を見上げると、ウツボカズラのような巨大な植物の中に入っている創造神を見つけた。

「・・・なにしてるの?」

「面白そうだから入ってみた♪」

「羨ましいけど降りて来なさい」

「は〜い」

創造神は植物から抜け出し、降りて来た。

「結構居心地は良かったよ♪」

「次からは俺も誘うように!」

「そこじゃないにゃ・・・」

怪猫神が呆れていた。

その後、魔族ですら近寄らないであろう森の奥底へとやって来た俺たち。

光のほとんど届かない森の奥深くには一つの小さな祠があった。

「なんだろうこれ?」

創造神が祠に触れようとした時、背後から声が聞こえた。

「それに触れてはダメよ」

振り返ると魔族ではない、魔獣が立っていた。

「だれ?」

俺が呟くと、魔獣は答えた。

「私はこの祠を守る守護者」

「この中にはなにが入ってるの?」

「魔王様の大切なもの」

「見てもいい?」

俺は魔獣に聞いた。

「見たら消すわ」

「・・・なにを?」

俺たちは息を呑んだ。

「あなたたちの記憶を」

「それはダメだ!また1から創造神を更生させるのはめんどくさい!」

「ちょっと!それどう言うこと!?」

「魚を忘れるなんて嫌にゃ〜!」

「そこなの?あなたたち・・・」

魔獣は呆れていた。

「とにかく、祠の中は見せられないから帰りなさい」

魔獣の姿は消えていた。

「魔王の大切な物ってなんだろうね?」

「やっぱり、家族に関係する物じゃない?」

「魚にゃ!」

「ないない」

『魔王さんが大切にしている物と言えば、家族だと思うんだけどなぁ。でもこんな森の奥に隠すなんてするかなぁ?』

俺たちはその場を後にした。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第57話 魔界遊園地計画


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