第53話 好奇神の根源
月面で結兎神と出会い、全力で月面を走った俺たちは結兎神に別れの挨拶をして神界へ戻った。
シュッ!
神界某所ーー
「どうだ、静梟神」
案内神と管理神は、今までの好奇神の行動の記録を静梟神に見せていた。
「ふむ、結論から言うと俺には無理だ」
静梟神は落ち着いた様子だった。
「なぜだ!?お前の能力なら好奇心の能力を抑えられるだろう!?」
「お前でも無理なのか?」
「ああ、もう少し早ければ対処出来たかもしれんが、好奇神自身が能力を自覚し始めている」
「自覚し始めた好奇神の能力は、俺の"静"の能力を遥かに上回る力だ」
「あいつの能力はそんなにも強大なのか?」
「そうだ」
案内神は驚いていた。
『俺が連れてきたあの人間にここまでの力があるとは・・・』
そう思っていると管理神は案内神に向かって口を開いた。
「とんでもないやつを連れてきたな、案内神」
案内神が連れてきた元人間は、神界をも巻き込む力の持ち主であった。だが、本人はまだそれに気付いていなかった。
シュッ!
俺たちは神界へ戻り、月神を見送った。
「・・・また誘ってね」
「じゃあ私もこの辺で失礼するよ!」
太陽神とも別れ、三人で神界を歩いていると目の前に一匹のの梟が姿を見せた。
「貴様が好奇神か」
「誰?」
梟は何も言わず、俺を観察している。
「・・・理解した」
シュッ!
梟は俺を見ただけで消えた。
「なんだったんだ?」
「あれは静梟神だよ〜」
「前に言ってた創造神の被害者の一人か〜」
「被害者言わないでよ〜!」
「これも結兎神の言う縁なのかなぁ」
俺は結兎神の縁で出会った神なのか、はたまた運命によって巡り合った神なのかどっちなのかわからなかった。
神界某所ーー
シュッ!
「確認してきた」
静梟神が好奇神の観察を終え戻ってきた。
「どうだった、静梟神」
案内神は険しい顔をしていた。
「まず、やはり俺には無理だ」
「・・・そうか」
案内神は肩を落とし、ため息をついた。
「どうすればあいつの力を抑えられる」
管理神が真面目に聞いていた。
「好奇神の力の根源は好奇心だ。やつが生きていた頃からの好奇心が神格化され、他の神と接するうちに、強大な力となってしまった」
案内神と管理神は黙ったままだ。
「好奇神を止める術は神界にはない。だが"冥界"ならば術はあるかもしれん」
案内神が冥界と聞いて驚いていた。
「まさか私たちが冥界へ誘うことになるとはな」
「・・・地雷に突っ込むようなものじゃないか」
管理神はため息をついて下を向いた。
神界ーー
「あの神様ってどういう神様なの?」
俺は創造神に静梟神について質問をしていた。
「あの子は静梟神っていってフクロウなんだよ!」
「へぇ〜、だからあんなに静かだったんだ」
「何しにきたんだろうね?」
「しらな〜い♪」
俺はこの時、自身の力がいかに強大であるか知る由もなかった。
「それにしても、神になってから好奇心が増した気がするけど気のせいなのかな?」
「気のせいじゃないよ〜」
「元々キミは普通の人間よりも好奇心が強かったの♪死んでから特殊な個体になり神界へ来たんだ〜」
「その頃から好奇心の片鱗は見えていたよ♪」
「そうなの?」
創造神が頷き、続ける。
「普通は人間を神界へ連れて行くなんてあり得ないんだよ〜」
「なんで?」
「神界は特殊な場所だからね♪普通の人間は存在を保つことが出来ないんだ〜。キミは無意識のうちに好奇心の力を使い、案内神を巻き込んだんだよ♪」
「でも俺は、神になる前も神界にいたよ?」
「それも好奇心の力だよ〜。好奇心が強く神界の空気に触れ、キミという個体は神になりかけていたんだ〜」
俺は、あの創造神から真面目な話が出て来たことに驚き、理解に時間がかかった。
「つまり、俺は神になる前からおかしかったの?」
「そういうこと〜♪」
「だから私が神にしなくても、神になってたよ〜」
「マジかぁ・・・」
「でも神になって良かったでしょ?」
「まぁ色々な神に出会えたし、やりたいこともできたから良かったけど・・・」
「じゃあいいじゃん♪」
俺は満面の笑顔の創造神を見て、考えるのをやめた。
「深く考えても分からないものは分からないか」
「そうそう♪」
「次は何するの?」
「何も考えてないなぁ」
「じゃあ私のやりたいことをやってもいい?」
「いいよ〜、何がやりたい?」
創造神は前に走り、こちらを笑顔で振り向く。
「魔界を案内して♪」
「案内って・・・、俺よりも影宰の方がよく知ってるよ」
「好奇神がいいの♪」
「・・・わかったよ」
創造神の笑顔に負け、魔界案内を承諾した俺だった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第54話 未定
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