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第52話 月神のストレートパンチ

メガロドンから逃げ切った俺たちは空を飛びながら休憩していた。

「次は何から逃げるのかしら?」

「次はまだ考え中かなぁ」

後ろで創造神が怪猫神と戯れている。

「月神が行きたいところに行くのは〜?」

創造神が呟いた。

「私の行きたい場所?」

「いいね!どんなところでも私たちは付き合うよ!」

「・・・月面」

「月面!?俺も行きたい!」

「決まりだね!」

「・・・いいの?」

月神は不安そうに聞いてきた。

「全然いいよ!絶対楽しいから!」

俺たちは月面へ向かう。

シュッ!

その頃神界では案内神と管理神が話し合っていた。

「少しでも被害を遅らせる為に何か対策をせねばならんな」

「静梟神に頼むのはどうだ」

「・・・静梟神か、確かに好奇神の能力を抑えられるかもしれん」

「頼みに行くか」

「そうだな」

案内神と管理神は静梟神の元へ向かった。

月面ーー

シュッ!

俺たちは月面へ降り立つ。目の前には宇宙空間が広がり、何一つ音が無かった。

「これが月かぁ。思ったよりも砂っぽいんだね」

俺は月面を足で擦ったりしていた。

「体が軽いにゃ!」

「ふわふわ〜♪」

創造神と怪猫神は無重力で遊んでいた。

「この月って太陽神の太陽と同じで月神の分身なの?」

「そうよ」

自分自身の分身の上に立っている月神を見て、俺はなんとも言えない不思議な感覚だった。

その時、怪猫神が何かに気付いたのか俺の頭に飛び乗る。

「どうしたの?」

「何かいるにゃ!」

怪猫神は頭の上で爪を立て、今にも飛び掛かる体制をとっていた。

「いたっ!猫神様!爪が!」

「静かにするにゃ!」

「・・・はい、いたっ!」

怪猫神が警戒する方向を見ると、一羽の兎の姿があった。

「・・・兎?」

この時、俺は『そういえば神話で兎の話があったなぁ』と爪が刺さる頭で考えていた。

「その兎よ」

月神が俺の心を読んで答えた。

「やっぱりそうなんだぁ」

「おいで、結兎神」

月神が呼びかけると、結兎神はピョンピョン跳ねながら、こちらへ向かって来た。

「かわいい〜♪」

創造神は結兎神を見て目をキラキラさせている。

怪猫神は警戒を解き、爪をしまっていた。

こちらへ向かう途中、結兎神が光に包まれ、人の姿へと変わる。

「月神様〜!私寂しかったんですよ〜!」

白髪の少女となった結兎神が月神に抱き付いた。

「ごめんなさいね」

月神が結兎神の頭を撫で、抱きしめる。

「この子は結兎神。私の分身である月の管理をしてくれているの」

「月神様、この方たちは?」

「私の友達よ」

「そうでしたか!よろしくお願いします」

「よろしく〜♪」

それぞれが挨拶を交わしてる中俺はふと『猫神様と競争させたらどっちが速いんだろうか?』と思っていた。

「面白そうね」

月神が俺の考えを読んで答えた。

「やっぱり?ちょっと見てみたいんだよね♪」

俺と月神を除く全員が首を傾げていた。

「猫神様と結兎神はどっちが速いのかなって思ってさ♪」

「あ〜確かに気になるね〜♪」

「流石好奇神だね!」

「ただこの空間だと正確に見れないからなぁ」

「私が創るね♪」

創造神は神界と同じ条件のスペースを作り始めた。

「おぉ〜、流石創造神♪」

「でしょ♪」

スペース内には約1kmの走る場所が作られ、怪猫神と結兎神は猫の姿と兎の姿に戻りスタンバイした。ゴール前には太陽神と月神が立っている。俺はゴールにいる二人に合図をする。そして・・・

「よ〜い、ドン!」

バシュンッ!

目の前から一瞬で消えた二人。すでにゴールしていた。

「創造神・・・見えた?」

「見えなかった♪」

速すぎた二人。俺たちはゴールへ向かった。

「どっちが速かったの?」

「タッチの差で怪猫神が速かったよ!」

「勝ったにゃ〜♪」

「悔しいですね」

「でも、久しぶりに全力で走れて気持ちよかったですよ。せっかく出会えた縁ですから、皆さんも一緒に走りましょう!」

俺たちは顔を合わせて、全員が走り出した。

バシュンッ!

走りながら創造神がスペースを広げている。

「あははは!気持ちいい〜♪」

「みんな速いね〜」

「神だからね!それでもあの二人はずば抜けてるよ!」

俺の目の前に障害物が創られる。

「おわっ!ちょっと創造神!目の前に障害物まで作らないでよ!」

「あはは!ごめ〜ん♪」

「・・・♪」

無言で走る月神だったが、その表情はどこか楽しそうだった。

やがて月面全体が創造神の創ったスペースで埋まる頃、全員が止まった。

「つっかれたぁ!」

「私も〜・・・」

「流石の私も疲れたよ!」

「・・・」

月神だけがうつ伏せで動かなかった。

「楽しかったですね!」

「だにゃ〜♪」

動物神たちだけがピンピンしている。

「月神・・・大丈夫?」

「・・・」

返事はないが手を上げて応えていた。

上がっていた息が落ち着き始め、俺は結兎神に質問をした。

「そういえば結兎神の能力ってなんなの?」

「私の能力は"縁"ですよ」

「縁?」

「はい、さまざまな事柄の縁を結びます」

「へぇ〜、例えばどんな縁を結ぶの?」

「そうですね〜、あなたと他の神を巡り合わせるとかですね」

「他の神と会えるの!?」

「全く接点のない神は無理ですよ?」

「出会う可能性があった神と巡り会わせることができます」

「どういうこと?」

「例えば、今のあなたが出会える可能性のある神様が十神いたとします。」

「その中でも、あなたが選ばなかった道で出会うはずだった神様との縁を結ぶことができます。」

「なんかよくわかんないけど、色んな神様に出会えるってことだよね?」

「そうですね、あなたにはその考え方の方がいいかと思います」

結兎神は説明を諦めたようだった。

「もう一つ質問していい?」

「いいですよ?」

「創造神に付けられた最初の名前って何?」

「えっと・・・」

結兎神が口を閉ざす。

「毬兎神だよ〜♪」

創造神が自信満々に答える。

「キラキラネームだぁぁ!?」

「流石にそれは嫌がるよ!」

「なんで!?かわいいじゃん!キュートだよ!?」

復活した月神が言い放つ。

「・・・あなた、ネーミングセンスがないわね」

「・・・」

相当ショックだったのか、口を開けたまま動かない創造神であった・・・

読んでいただきありがとうございました!


次回 第53話 好奇神の根源

仕事が忙しくなり、更新頻度を1日1回に落とします。

落ち着いたら2回更新に戻します。

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