50話 月神
魔界での食事会が終わり、神界へと戻ってきた俺たち。
「流石に疲れたから帰って寝るね〜」
創造神は子供たちの相手をして疲れ切っていた。
「流石の創造神も疲れるか」
「そりゃそうにゃ。神だって疲れるにゃ〜」
「猫神様は泡吹いてたもんね♪」
「あれは強烈だったにゃ〜」
なんて話しながら歩いていると、前から太陽神が手を振ってこっちへ向かっている。
「お〜い!変わり者くん!」
「太陽神?どうしたの?」
「キミが会いたがっていた神に会わせてあげようかと思ってね!」
俺はなんのことかわからなかった。
「誰のこと?」
「月神だよ!私の対になる神さ!」
「前に言ってた神か!」
「そうだよ!」
「でもあの時は会えないって・・・」
「言ったね!あの時はまだ時期じゃなかったんだ!」
「時期?」
「キミのいた人間界では太陽と月が交わる時があるだろう!?」
「・・・日食!」
「正解!その時だけ私たちは同じ場所にいることが出来るんだ!」
「でも日食って年に数回とかじゃないの?」
「それは人間界での解釈だよ!人間界と神界では空の巡りが違うんだ!」
「だから人間界では珍しい日食でも、神界では定期的に巡ってくるのさ!」
「そうなんだ〜」
「反応が薄いね!この手の話は好きじゃなかったかい!?」
「いや、好きなんだけど・・・早く月神に会いたくてさ」
「あはは!正直だね!じゃあ会いに行こうか!」
こうして俺たちは月神に会いにいくことになった。
神界某所ーー
俺たちは太陽神に案内され、神界のとある場所へやってきた。
「ちょっと薄暗いね。神界にはこんなところもあったんだ」
「色々な神が居るからね!もう少しで見えてくるよ!」
歩いていると一つの社が見えた。
「あれが月神がいるところ?」
「そうだよ!基本的に社にいることが多いんだ!」
俺たちは社に着き、太陽神が扉を開ける。
そこには黒い髪、白い肌、黒い神衣を纏った女性がいた。
「やぁ月神!前に話してた変わり者くんを連れてきたよ!」
「・・・よく来たわね」
「・・・はじめまして」
太陽神とは違い、落ち着いた様子の神様だった。
『流石太陽神とは対になる神様だなぁ』
「よく言われるわ」
「え!?」
「あはは♪早速やられたね!」
「俺の考えてることがわかるの!?」
「ええ、私は心が読めるの」
「マジか!すげぇ!」
月神は俺の反応を見て少し驚いていた。
「そんな反応をしたのは太陽神以来ね」
『そうなの?』
「そうよ、この力を嫌ってみんなはあまり近づかないわ」
『いや、普通に凄いんだけどなぁ』
「太陽神の言っていた通り"変わり者"ね」
月神はクスッと笑った。
「心を読むのと普通に話すのってどっちが楽なの?」
「どちらでも構わないわ。もう慣れてしまったもの」
「心を読むのって意識して読むの?それとも自然と頭に入ってくるの?」
「自然と入ってくるわ。だから頭の上にいる怪猫神のことも入ってくる・・・モササウルス食べたの?」
「美味しかったにゃ♪」
「猫神様!よだれが顔に!」
「ごめんにゃ♪」
『常時発動型かぁ・・・凄いけど疲れる能力だなぁ』
「そうね、だから自然とこの場所が私の居場所になったの」
月神は淡々と話すが、どこか寂しそうに見えた。
「太陽神のことは平気なの?」
「彼女は表裏がないから気が楽よ」
「あはは♪私は思ったことを口に出すからね!」
『でもそれだけで離れるのはもったいないなぁ』
俺の心を読んだのか月神は目を丸くしていた。
「外に出たら面白いことがいっぱいあるよ♪」
「そうだね!キミと一緒に行動したから私にはわかるよ!」
『月神にも外に出て、面白いことがいっぱいあるって知ってもらいたいけど、太陽神と一緒にいる時間が限られているのがなぁ・・・どうにかならんかな?』
「あなたはいつもそんな事を考えているの?」
「そうだよ♪面白いこと、気になることは全部見たいんだ♪」
「あなたも表裏がないのね」
月神が少し微笑んだ。
「二人の時間の制約ってどうにもならないの?」
「そうね、太陽と月は普段は決して交わらないから抗えないわ」
「こればっかりは私たちにはどうにもできないんだ!」
『う〜ん・・・みんなと一緒が楽しいんだけどなぁ』
「あなたといると気が楽ね」
「そうなの?」
「あなたも表裏がないから太陽神と同じで気が楽なの」
「・・・他にも気が楽な神はいるの」
「創造神と怪猫神ね」
「あぁ〜」
俺は『だと思った』と思いながら頷いていた。
月神と読心や力について話していると太陽神が呟き出した。
「・・・おかしい」
「何が?」
「普通なら一緒にいられる時間は過ぎているはずだ!」
「・・・確かにそうね」
二人とも驚いていた。普通はあり得ないことが起こっているからだ。
太陽神は俺を見た。
「・・・これもキミの力なのかい!?」
「俺!?何もしてないよ!?」
「私たちの制約を"好奇心"が上回った・・・?」
「あははは!キミの力は本当に凄いな!」
「ちょっと待って!本当に何もしてないんだって!」
「あなたの力で私が巻き込まれた。私たちの時間の制約よりあなたの"面白そう"という力の方が強かった。そう言った方がわかりやすいかしら」
俺は頭が追いつかなかった。
『俺の力ってそんなに強いの?ちょっと怖いんだけど・・・あ!でもこれで月神も一緒に行けるじゃん!』
「あなたって本当に面白いわね」
「だって外に出れるんだよ!?」
「でも私は出ないわ。周りの声が疲れるもの」
「周りの声なんて気にしない!それに俺たちが周りの声なんて気にならないくらいに騒ぐから大丈夫だよ!」
そう言うと俺は月神に手を差し伸べた。
それを見た太陽神と怪猫神も手を差し出す。
「・・・私も、一緒でいいのかしら?」
「もちろん!面白いことはみんなで楽しむものだよ!」
「そう・・・」
こうして月神は少しだけ微笑み俺たちの手を取った。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第51話 面白そうだから!
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